一体この人は何者?と思うくらい広域の才能に驚く加古里子さんですが、いつもいつも様々な本でお世話になっております。
この本は今図書館で借りてきているもの。ドクター好きなモニョさんにどうかしら?と思って中もろくに見ずに借りてきたのですが、相変わらずとっても良いです。モニョさんも、今借りてきているものの中で一番気に入っているようで、毎晩のように寝る前にこれを選んできては私の膝に座ります。
救急病院という普通の病院とは違う病院の緊迫感や、扱う患者さんの緊急性・重大性、しかし中には、酔っぱらいのおじさんが電柱を自分で蹴飛ばして足の骨を折って運ばれてくるなど、ちょっとスパイスを効かせつつも、本当に様々な患者さんが運ばれてくる様子が短いお話の中でとても良くわかる様になっていて、読んでいても楽しいです。また、最後にいつの間にか夜が明けていくあたりや先生や看護師さんたちもついうとうとしてしまう場面では一言もそういう説明は文として出てこないのにも関わらず、病院が24時間態勢であること、お医者さんや看護婦さんが夜だからといって眠ってしまうと大変なことになることが自然と分かり、同時に「お話」という面でも、しっかりとした起承転結、山あり谷ありで良くまとまっているものだと本当に感心します。
かこさんの本の楽しみは「あとがき」にもあるのですが、この本のあとがきにはこんなことがかいてありました。
「いま、日本の医学は、非常に高い水準にあるといわれています。ところがいったん病気になると、治療も施設も看護も、入院も費用も対応も相談も、なかなか満足のいく状態になっていないことがわかります。 保険制度や大学病院は立派でも、最後は個人の力によらなければならないというのは、非常に残念なことです。 「病人になったら、まず医療状態をなおさないと直らない」のでは、困ったものです。 こうした問題を考えてもらうため、最も医療の原点である救急医療の活動を描きました。 かこさとし 」
1986年に初版されているこの本、出来たら買いたいと思って調べてみましたがおそらく絶版?
24年の時が流れ、本自体は手に入らなくなってしまっても、今も変わらない問題がそこにあることを加古さんはどう感じていらっしゃるのでしょうか。
どんな方なのか、一度お目にかかりたい方の一人です。