けんけんブログ -guide diary-

国際山岳ガイド近藤謙司の冒険案内記!
“ハイキングからチョモランマまで”

Mt.Everest Avalanche

2009-06-23 00:00:00 | エベレスト09
2009年5月7日。
ネパール時間午前10時30分頃に起こったエベレストでの雪崩の動画です。

その圧倒的な規模とスピードが伝わりますでしょうか。
隊員たちはこの氷河を3往復、スタッフたちは5往復以上もしたんです。



この日の午前中はプジャをしていて、それがちょうど終了し、
ベースキャンプは、ほのぼのとした空気に包まれていましたが、突然の轟音が。

西稜の末端6000m付近に垂れ下がっている懸垂氷河の一部が自然崩壊し、
アイスフォール帯の登山ルート上をたった数秒で通過して、氷河を覆い隠します。

雪煙は、2分以内に5200mのベースキャンプに到達し雪を降らせます。
偶然にもトイレテントからダイニングテントに戻るときに発生し、
ポケットのオリンパスT8000を動画モードを起動しました。

落下した氷の塊は、学校の体育館程度の大きさだったろうけど、
増幅した爆風と細かく飛び散った氷の粒は、新宿の高層ビルや
東京ドームを超える規模に拡大していただろう。

心配だったのは、マックさんとラムカジがC1からBCに向けて行動をする日で、
その安否が確認できなかったこと。無線で声を聞くまではドキドキでした。

結局、マックさんは寒さのためバーナーが燃焼せず水ができなかったため、
出発が大幅に遅れていて、C1にまだいました。

ちょうどアイスフォールを通過していたラムカジは、危機一髪。
自分の前方(下方)20mくらいのところを氷塊が通過していったとのこと。

それでも、この雪崩で、他のチームの数名のメンバーが負傷し、
そのうちの1名が行方不明となり、捜索が毎日のように続けられていましたが、
残念ながら、未だに見つかっていないようです。