Catch Ball

修業の時計を止めない教師でありたいです。

パイナップルの授業 1

2009-02-04 05:29:43 | 社会
 5年社会に「私たちの国土と環境」という単元がある。ここで,暖かい地方の暮らしについて学ぶ。

 向山洋一氏がパイナップルの授業を行ったのは,1989年度である。当時は4年の学習内容であった。

 この授業記録が『トークライン』93年7月号に掲載されているという。私は未所有であるが,『教育トークライン』2007年9月号から2008年2月号まで,谷和樹氏によるパイナップルの授業記録の分析が連載されている。

 また,根本正雄氏による分析がHP『根本直伝学級経営術』にて公開されている。

 向山氏のパイナップルの授業は,有田和正氏の授業の追試であると思われる。授業の流れはほぼ同じである。有田氏の授業記録は,『4年生に育てたい学習技能』(1992年)に詳しく載っている。

 谷氏,根本氏の分析,有田氏の原実践をもとにして,パイナップルの授業の研究をしていきたい。


 向山氏の授業の流れは,次のようである。

「これは椰子の実です。昔,島崎藤村という詩人が次の詩を作りました。着いたところは渥美半島ですが,『名も知らぬ遠き島』とはどこでしょうね。」
 
 知的で広がりのある発問である。しかし,深入りせずにさっと流している。
 
「椰子の実はどのようになっていると思いますか。想像して絵を描きなさい。」

 椰子の実の実物を提示しての発問である。モノを提示することで,具体的なイメージがわく。
 しかし,これはインドネシアにいたことがあるY君が全て説明してしまい,解決してしまう。想定外の出来事である。

 パイナップルは,2時間目に登場する。

向山:みんなとお勉強したくてですね,高いお金出して先生買ってきた。
子供:えーっ、なに、なに?
(箱を開け取り出す音)
子供:おーっ!
向山:何ですか。
子供:パイナップル

 単刀直入でスッキリした導入である。
 時間にして30秒。
 導入の技術として「モノ」を使用している。
 「パイナップル」というモノを直接見せることにより,子どもの意識を授業に引きつけることができたのである。