Catch Ball

修業の時計を止めない教師でありたいです。

教師の“言語技術”が子どもの運動技能を変える 4

2008-10-14 20:59:31 | 体育
 1・2年生のマットを使った運動遊びの中で,次のような場面があった。
 
【1】
 ゆりかごをしているときに,立ち上がれる子と立ち上がれない子がいた。

 「Aさんはどうして立ち上がれるのでしょうか。」
と問い掛け,立ち上がれない動きを教師が示範して比較させた。

 「Aさんのゆりかごと先生のゆりかごはどこが違うのか,4人組で話し合ってごらん。」
 
 ここで話し合い活動を入れた。いきなりクラス全体で話すようなことはしない。まずは少人数で話し合いをする。友達の意見に耳を傾け,それについて自分の意見を言うなどする中で,運動について理解が深まっていく。

 グループでの話し合いの結果を全体で聞き合い,考えを集約していく。その中で,「かかととお尻がくっついている」というポイントに気づくことができた。
 
【2】
 前転がりをしているとき,最後に立ち上がれる子と立ち上がれない子がいた。
 そこで,次のように発問した。
 
 「最後は,脚をどういうふうにすると立ちやすいでしょうか。」
   ①がに股 ②内股 ③まっすぐ

 はじめ,子どもたちは「まっすぐ」だという意見が多かった。

 「それでは,どれが立ちやすいか試してみましょう。」

 子どもたちはそれぞれに練習を始め,自分なりの解を確定した。

 「どれが立ちやすかったか。4人のグループで話し合ってごらん。」

 話し合い活動である。「内股が立ちやすかった」「いや,僕はまっすぐがいいと思う」などと意見を交換している。

 その後,グループの意見をまとめると,内股派とまっすぐ派に分かれた。
 このとき,「かっこいいのはまっすぐだけど,立ちやすいのは内股だ」という意見も出た。
 
 「どちらが立ちやすいか,もう一度試してごらん。」

 結果,立ちやすいのは内股であるとまとまった。

 この実践では,子どもたちが友達と意見を交換し合いながら,自分たちでコツを発見するように仕向けたのである。

 どちらの実践も,「言語化(発問)」→「体験」→「言語化(話し合い活動)」→「体験」という流れになっている。