初心者の老人です

75才になって初めてVISTAを始めました。

小説「活動寫真の女」⑦

2012年06月08日 22時13分22秒 | Weblog


…それはまるで甲羅をへた怪物のような

鋼鉄のキャメラだった

「ミッチェルNCサウンドというてな、

トーキーの時代を開いたキャメラや。

毎秒二十四コマの定速同時録音がでける、

今なら当たり前のことやけど、

それが輸入された昭和の初めには、

絵と音がいっぺんにとれるいうのんは、

魔法のようやった」

まるで国宝級の仏像の手入れでもするように、

辻老人は柔らかな絵筆と布とで

キャメラの埃を拭いながら説明を続けた…



…毎秒二十四コマの定速撮影のほかに

モーターの交換によって毎秒四コマから

三十二コマ変速回転ができるという、

しかもフィルム面のあるアパーチュアと

ルーペが後部のハンドルによって正確にシフトし、

撮影画面とピントが

ひとめで確認できるという、

当時としては画期的な機能を備えていたそうだ…



と小説「活動寫真の女」では

撮影所のキャメラの説明を

詳しく述べられています



当時の撮影所にはNCミッチェルのほかに

サイレント・ミッチェル、

ミッチェル・スタンダード

などありました



日本製のキャメラとしては

土井ミッチェルとか精機ミッチェルと呼ばれた

撮影機が作られていましたが。