大映第1回総天然色映画「地獄門」は
初めての時代劇でしかもスタジオの
セット中心の映画です
何から何まで初めての経験でした
松竹の「カルメン…」「夏子…」は現代劇で
そして陽の当たるオール・ロケーションの映画でした
特に、カラーフィルムは色温度に敏感です
イーストマンカラーはタングステンタイプで
色温度3200度ケルビンに指定されています
スタジオ、セットの照明器具の
照明電球(タングステン)の色温度を
3200度ケルビンに
厳密に合わせなくてはなりません
セットで出演者のリハーサルも終わって
いよいよ本番が始まる前に
毎回、照明器具の電球の
色温度がチェックされました
映画冒頭のタイトルにはスタッフの
名前がずらりと並んでいます
その中に撮影、撮影助手のところで
目新しい色彩計測××というのがあります
その色彩計測さんが
照明器具の色温度に責任を持たされた人です
色彩計測さんは手持ちの
スペクトラ・スリー・カラーメーター
で照明器具の一つ一つの
色温度を計って(計測)していきます
少しでも色温度がおかしいと
電球の交換を照明係に促します
出演者の演技もうまくいって
少し緊張気味で本番を
撮ろうとしているときに
色彩計測さんからダメが出されると
スタッフ一同ガックリきたものでした