本棚を整理していましたところ、てっきり捨てたと思っていた「テレビジョン制作技術」RUDY BRETZ著、五島丙午郎訳、価格1500円の本が出てきました。
この本の奥付を見ますと昭和33年2月15日発行。とありますから、いまから51年前の出版ということになります。
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当時、テレビジョンのスタジオ中心に手ほどきを描いた本が皆無でしたから、技術スタッフのほかに、テレビ制作部(演出部)関係、裏方までのバイブルでした。
全国のテレビ業界の技術者は読んでいたのではないでしょうか。
隠れた大ベストセラーだったと思っています。
豊富な図解でレンズの焦点深度からスタジオでの座談会の撮り方、セットの作り方まで、あらゆることを解説した本でした。
また、この本を見ることで、当時のアメリカのテレビ界の事情がよく分かりました。
テレビジョンの先輩である、映画にはこのような本はありませんでした。
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当時のテレビは、生放送時代ですから、3台のカメラを絶えず切り替えて、番組制作を進めて行かなくてはなりません。
今のVTR時代では、高いところからの俯瞰のショットは番組をストップさせて、カメラをクレーンに積み替えて、高いところから俯瞰で撮れるのですが、当時は、それができませんから、ミラーショットというのが考え出されていました。
図面左からカメラを構えて、右側に吊された鏡を撮れば、あたかも高いところから撮ったような画面が撮れます。
しかし、鏡1枚の画像を撮りますと、写っている人物の左右が反対になります。
それを直すために、カメラ側にある画像反転スイッチを操作します。
そうすると、鏡に映った画面は正常になりますが、カメラのファインダーは左右逆に写ります。
カメラ操作がややこしくなります。
どうしても、というのではなくては、大きな鏡や鏡の角度を合わせて吊るのも大変ですし、このミラーショットは歓迎されるものではありませんでした…。
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この図は、雨降らしと雪降らしの方法を解説しています。
日本のスタジオでも大体同じです。
発泡スチロールの雪ですが、雪がこちらの方にも降ってきまして、首筋に入りますと、体が痒くてたまりませんでした…。
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メディアに関する理論で、マーシャル・マクルーハンが 「メディアはメッセージである」の斬新なメディア論を展開して、日本のマスコミ界でもてはやされました…。
「水平思考」とか「垂直思考」というのも出てきました。なつかしい思い出のひとときでした…。