今日のうた

思いつくままに書いています

歌集以後の歌

2015-04-11 09:22:38 | ⑯第一歌集 『ふたりご』・その他
胸ぬちを歌い尽くししその後も瘡蓋(かさぶた)のごと七・七はあり

古井戸に向かい「やめる」と叫んだら「まんだまんだ」と返事のありぬ

からだじゅうが自意識なりし日日(にちにち)に置き忘れ来し傘・傘・傘・傘 (傘)

番長に庇護を求むる危うさに核の傘あり 傘の骨見ゆ (傘)

視神経つかい過ぎたる夕ぐれはわさびの花をくちに含みぬ (視)

「 四万十のお山に雪が降りました 」 友のいる町地図に確かむ (地図)

うっすらと髭(ひげ)の生えたる息子とはいかなるものか 貝割れを食(は)む
                             (うっすら)

少年僧のごとき目をして走りくる箱根七区の服部弾馬(はずま)    
                         ※2014年箱根駅伝にて

マスカレードに初めて会いし夜(よ)のわれのマスクを外す君のゆびさき (マスク)

余震あり 急停止せし車内には人がつぎつぎ水を飲みゆく (飲)

人間をあざ笑うがに大量の水をみずをと燃料デブリ

難題をテンション高く言い抜ける 「 完全にコントロールされています 」

2013年9月7日IOC総会で、2020年夏のオリンピック招致での安倍首相の言葉。
      「私が安全を保証します。状況はコントロールされています」
      「汚染水は福島第一原発の0.3平方キロメートルの港湾内に完全に
       ブロックされている」

  ※広辞苑によると、「保証」とは保証債務を負担することとある。
   総理大臣が世界に向かって明言したのだから、オリンピック期間中に何か
   あった場合に安倍総理は、全財産をなげうっても損害責任を引き受ける
   だけの覚悟があってのことなのだろう。
   何かあってはそんな額では済まないのだが。

実像がなぜ見えぬのか作られし笑顔と練られし言葉の裏の (実)

意のままに国を変えたき人のいて 「 アンタは王か 」 とチャンネル替える (王)

大砲にやられし傷か つくばいて白装束(しろしょうぞく)の傷痍(しょうい)軍人 
                                  (砲)

戦いに死して柱と数えられ神になりたり 若人(わこうど)のまま (柱)

ドラマにてまたも再生さるる声 地に正座せし人の耳へと

日本国憲法改正草案に 「 天皇は元首 」 と書かれおり (皇)

いまの世を筑紫哲也はなに思う 冷気を裂きてヒヨドリの声

崩れゆくその一瞬が止まりたり 永久(とわ)に倒れぬキャパの兵士は (倒)
                                 
背を洗うように墓石を拭いおり汗が目に入る盆の日盛り (暑)

竜巻のごとき水柱あらわれて排水口に吸われてゆきぬ

膳の上に首級(しるし)を置いて酒を酌(く)む男(おのこ)というをわれは
疎(うと)むも (首)

噛むたびにこめかみぴくぴく動きおり顳かみとうは痛そうな文字 (PIKUPIKU)  
                       ※こめかみの「かみ」の字が出ません。

ストレスは顎(あご)にくるらし歯科医師はわが顎もちてがふがふ揺する

びくびくとびくびくびくとあかままの花は揺れおりかすかな風に (BIKUBIKU)
          ※この歌は、これまでの自分の心境に一番近い歌だと思っています。

奮発し母購(か)いくれし雛人形 大小五箱はあなたの重み (雛人形)

記憶の母はすべてわれより年下でわがままなりしも今はなつかし

ひっそりと畳の上に置かれいき数字をもたぬ母の鯨尺 (鯨)

真夜中に空気ふるわせ嚏(くさめ)する女というはほとほとかなし


思うところがあり、短歌をお休みしようと思います。
今までお読みくださり、本当にありがとうございました。


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