今日のうた

思いつくままに書いています

妄動

2015-08-22 16:49:03 | ②一市民運動
NHKスペシャル「アニメドキュメント あの日 僕らは戦場で――少年兵の告白――」を観る。
沖縄では少年たちが『護郷隊』として、戦場に駆り出されていた。

護郷隊とは、
主にやんばる地域の十代の少年らで組織された第三、第四遊撃隊の秘密名。
それぞれ第一護郷隊、第二護郷隊と称した。
スパイ養成機関として知られる陸軍中野学校出身の将校が派遣され、
主に同地域を中心にゲリラ戦を展開することが任務とされた。
地の利を生かす狙いがあったが、全く知らない土地に配置された少年も多く、
162人が戦死した。
(2015年6月22日琉球新報より引用)

年端(としは)もいかない沖縄の子供たちを、スパイとして、あるいはゲリラ戦の兵士として、
米軍キャンプ地などに送り出し、戦争に利用していたのだ。
もし見つかっても、子どもであれば疑われないだろうという思惑からだ。
そのために陸軍中野学校出身の将校が指導に当たったというのだから、酷(むご)い話である。

『護郷隊』の一人であった方が、インタビューで「妄動」という言葉を使っている。
妄動・・・理非の分別もなく行動すること。
軍事教育により、あるいは戦場における殺戮を見過ぎたことにより、
身近な人が死んでいくことにも、人を殺すことにも、何の感慨も持たなくなる。
友だちが隣りで射殺されても、何も感じなくなるというのだ。
わずか15~17歳くらいの子どもにそれを強いたのだから、人間は酷すぎる
安倍首相は、集団的自衛権の行使による自衛隊の海外派兵について、
訓練によって危険のないように努めるとか、戦闘が行われていない地域に限定するとか、
戦闘が始まったら直ちに撤収するとか言っているが、こういうドキュメンタリー番組を
これまでに観たことがあるのだろうか。
小林よしのり著『新戦争論 ゴーマニズム宣言1』に出てくる「コンバット・アプリ」の
ようにしか、戦争を考えていないのではないかと疑ってしまう。

酷い事実は更に続く。
『護郷隊』の一員として闘い、負傷して歩けなくなった子供を、足手まといに
なるからといって軍医が射殺したという。

更に、1945年6月23日は沖縄が米軍に占領された日だ。(慰霊の日と呼ばれている)
この日に正規軍は敗北したが、『護郷隊』の子どもたちだけは、ゲリラ戦を継続するよう
指示されたという。
また、1945年6月23日には、「義勇兵役法」が制定された。
これは男子15歳以上、女子17歳以上の戦闘への参加が可能になるというものだ。
これにより2800万人が動員できるようになった。

戦争は一旦始まれば、予測不能の事態に陥る。
まさかこんなことが・・・ということが日常的に起こり得るのが戦争だ。
戦闘地域も非戦闘地域もない。いくら訓練しても、そんなものは通用しない。
子どももお年寄りも、女も赤ちゃんも関係なく巻き込まれる。
血が噴き出し、肉が飛び、骨が見え、死屍累々と国土を覆う。

こんな分りきったことに、安倍政権はなぜ関わろうとするのか。
目先の事柄だけでなく、なぜもっと大局的に物事を考えられないのか。

2015年8月22日の「折々のことば」を、安倍首相に是非、読んで欲しいと思います。

「目的を手近(てぢ)かな低いところにおくから、高遠の目的と、
 そのために必要とされる多くのものとは、一切きりすてられてしまふ」  田中美知太郎
(敬称略)

追記1
『はるまち』という雑誌をご存知ですか。
湯浅誠さんたち編集スタッフが作っている、生活保護を受けている方々を支援する雑誌です。
『はるまち』の由来は、
「春を待つ」と「春待草(スミレに似た花)」をかけました。
待っている「春」は、すべての人が人として尊重される世の中。
近年、生活保護はダーティーなイメージで覆われています。
でも、明るく、尊厳をもって生きたいと願うのが人間です。
その「開花」を表現できればと思っています。 (引用ここまで)

生活保護を受けていた、あるいは受けている人へのインタビューや、
ゲストのトーク・エッセイ、フォト・ジャーナリスト安田菜津紀さんのフォト・エッセイ、
ヨガあり、レシピあり、ほけん室だよりあり、読み物としてかなり面白いです。
6号までは既刊ですが、遡って購入できます。
私は7~10号までの通常定期購読を申し込みました。(1セット4冊分、1200円送料込)
今日、7.8号が届きました。
ブックマークに入れたブログから購入すると、1冊200円から購入出来ます。
(8号のみ送料込)
7号のゲストは、香山リカさん、8号は安倍昭恵さんです。
ブックマークの下から2つ目に入れましたので、一度、ご覧になって頂けたらと思います。


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