2014年12月1、2日の朝日新聞より
ローマ・カトリック教会のフランシスコ法王は記者会見で、「中東やアフリカなど世界各地
で戦乱が続く状況を「私たちは断片的に『第3次世界大戦』の中にいる」と強い懸念を示した。
その上で「広島と長崎から、人類は何も学んでいない」と核廃絶が進まない現状を批判した。
法王は「第3次大戦」について、「人よりお金を中心に置く思想」が、戦争の背景となる
政治経済の問題や敵対を生んでいると指摘。
戦争で利益を得る軍需産業を「最も力を持つ産業の一つとなっている」と批判した。
1945年の原爆投下を振り返り、その後も各国が核兵器を持ち続ける現状について
「そんな文明は新たな『無知』だ。『終末的』と呼ぶべきだ。
もし終末的なことが起きれば、人類は再び一から始めなければならない。
広島と長崎がそうしたように」と強く警告した。(引用ここまで)
福島第一原子力発電所の事故から3年9か月で、川内原発、高浜原発、大飯原発などが
再稼働しようとしている。
汚染水も深刻な状況で、廃炉のめども全く立っていないのにである。
自民党は再稼働を訴えるのみで、原発に付随した様々な問題を衆院選の争点には入れていない。
町の声を聞いても原発問題はあまり聞かれない。「アベノミクス」や「景気」ばかりが
聞こえてくる。
「被災地の復興」や「原発問題」、「集団的自衛権」や「特定秘密保護法」、
「財政再建」など、自分には直接関係ない、考えるのが面倒くさい、
出来れば目を逸らしていたい、暗い話より前向きで楽しいことを話題にしたい・・・
というところなのだろうか。
「株価上昇」や「2020年東京オリンピック」、はたまた2018年、2022年の
「FIFAワールドカップ」を日本に招致しようといったことには、より目を向けがちだ。
こんなことを考えながら以前、録画したETV特集「ヒロシマ 爆心地の
原子力平和利用博覧会」を観た。1945年8月6日に原子爆弾が落とされ、
その年に14万人もの命が奪われた。
それからたった11年後の1956年に、原爆資料館で「「原子力平和利用博覧会」が
3週間にわたり華やかに開かれたのだ。(主催は読売新聞で、社主の正力松太郎のもとに
準備が進められた)原爆資料館の展示物が一時的に近くの公民館に移され、原子力で飛ぶ
未来の飛行機の模型や実物大の原子炉の模型、そしてマジック・ハンドなどが展示され、
原子力が人類に明るい未来をもたらすことが描かれた。「原子力平和利用博覧会」は、
全国11カ所で開催され、100万人以上の来場者があった。
そして博覧会が終わった後の掲示物は原爆資料館と、東海村の研究用原子炉の運用が始まった
茨城県立原子力館に常設されることになる。
アメリカは、原爆資料館にある被害の実態を示す遺品や写真などの展示物を「
ホラー・ミュージアム」と呼び、アメリカ人来館者に恐怖を抱かせ、
また祖国に恥をかかせるような「ホラー展示」の撤去をと迫った。
そして「原子力平和利用博覧会」の展示物を原爆資料館に置くことで、陳列物を締め出し、
「ホラー展示」を可能な限り薄めようとした。
更に「ホラー」を観た後に博覧会の展示物を置くことで、「ホラー」の記憶よりも
最後は明るい記憶で観客を帰らせたいという思惑があった。最初に見たものの印象を、
原子力についての前向きな見方で和らげようとしたのだ。
ここに来るまでには、アメリカは日本人の文化・心理・歴史を熟知し、
多額のお金を使っての様々な根回しがあった。
外交官フツイは「広島アメリカ文化センター」の館長に就任し、アメリカの雑誌、
映画・コンサート、英会話教室、料理教室など、アメリカに憧れをもつような展示や
イベントを行った。
また38人もの学生をアメリカに留学させた。フツイ夫妻は日本人との親交を深めることで、
日本とアメリカの懸け橋になろうと務めたのだ。
被爆者団体代表として「原水爆禁止運動」を立ち上げた森瀧市郎は、原爆の恐ろしさや被爆者の
苦しみ、そして被爆者が抱える理不尽さや救済制度などを訴えてきた。
広島に原子力発電所を設置することにも反対してきた。
だが博覧会の2か月後に開かれた原水禁世界大会では、それまでの主張を
大きく変えて挨拶をする。
「破戒と死滅の方向に行くおそれのある原子力を、決定的に人類の幸福と繁栄の方向に
向かわせることこそが、私たちの生きる限りの唯一の願いであります」
原子力のもつプラス面ばかりが強調され、その怖ろしさは隠された。
原爆による苛酷な現実を、最先端の科学技術である原子力の明るい未来が上書きしたのだ。
こうして日本での原発の受け入れが本格化して、世界初の被爆国日本は、世界第三位の原発大国
へと変貌していった。
原水禁世界大会で、核の平和利用を支持すると宣言した森瀧市郎は、その後に考えを改め、
全ての核を否定する立場に立った。そして一度は核の平和利用を認めてしまったことを
悔やみに悔やみながら、1994年に亡くなった。
苛酷な現実を直視するよりも、威勢の良い、前向きな、夢を見させてくれる明るい言葉、
幻想をふりまいてくれる言葉を、人間は聞きたがっているのではないだろうか。
そこに救いを求めたいのではないだろうか。
高度成長期の、あの夢をもう一度!
GDP世界第2位の、あの頃をもう一度!
アメリカと共に世界を支配する、夢をご一緒に!
今は苦しくとも必ず富の滴り(トリクルダウン)がある、夢をあきらめないで!
日本は高齢化社会がすすみ、人口は否応なしに減っていく。
アジアの国々の台頭で、昔のように1人勝ちは出来ない。
国の借金1024兆9568億円(国民1人当たり806万円)を、国家予算約96兆円の国が
今後、どうやって返してゆくのだろうか。
2014年12月1日、米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは
日本国債の格付けを「Aa3」から、「A1」に一段階引き下げた。
「A1」は中国や韓国より下で、イスラエルと同格になる。
4月の消費税率8%への増税で景気が冷え込み、景気回復と財政再建を両立させる
経済政策のかじ取りが一段と難しくなったとの判断からだ。
安倍晋三首相は、税率10%への再増税を延期して景気回復に専念するというが、
そのカギを握る成長戦略にも疑問符が付いている。
そしてアベノミクス「第3の矢」である成長戦略の効果に「労働参加率の向上や人口問題へ
の対処など、構造的な問題への施策が不明だ」と疑問を呈している。
今後も金融緩和と財政出動に頼るようだと、改めて「日本の国債はもうダメだ」と
見られる恐れもあり、中期的には金利上昇のリスクが高まったとの見方もある。
最悪のケースは、国債を売り買いする債権市場で信用が落ちた日本国債が売られ、
金利が急上昇することだ。
国債金利が2%上がると、借金返済に充てる予算が3年後に8兆円超膨らみ、
財政を圧迫する。国債を持つ銀行にも巨額の含み損が出る。
(現在の国の借金1024兆9568億円は、たちまち増えてゆく)
企業の借金や住宅ローンの金利もすべて国債金利に連動するため、金利上昇の影響は
あらゆる国民生活に及ぶ。財政再建は待ったなしなのだ。
これ以上、政府は有権者の聞きたがっている言葉だけを語り、その政策を推し進めて行けば
大変なことになるだろう。
有権者も、借金まみれの国に暮らしているという自覚をもち、聞きたくない言葉にも耳を傾け、
将来を見据えて、堅実に政策を推し進めてゆく政党に、投票して欲しいと思います。
人間は誘導されやすい。
今回の選挙でも、私たちはすでに研究され尽くしているのかもしれないのだから。
(敬称略)
追記1
期日前投票は、入場券が届いてなくても投票できるそうです。
12月の忙しい時に選挙をするのだから、大いに利用しようと思います。
投票期間:公示日(告示日)の翌日から投票前日まで
投票時間:原則、平日土日ともに午前8時30分~午後8時まで
投票場所:各市区町村に1力所以上設けられる期日前投票所
(2014年12月6日 記)
追記2
昨日、入場券が届いたので期日前投票をして来ました。
入場券が無いといろいろ書かなければならないけど、入場券があると裏に住所や名前、
そして期日前投票をする理由にチェックを入れるだけです。
投票率は投票日のお天気に影響されるけど、期日前投票は13日まで好きな時に投票できます。
今日はとても混んでいました。
投票したって何も変わらない、誰に投票したって同じ・・・ではないのです。
この2年間に日本は変わってしまい、またこれからも大いに変わりつつあります。
すっかり変わってしまってからでは、もう取り返しがつかないのです。
(2014年12月7日 記)
ローマ・カトリック教会のフランシスコ法王は記者会見で、「中東やアフリカなど世界各地
で戦乱が続く状況を「私たちは断片的に『第3次世界大戦』の中にいる」と強い懸念を示した。
その上で「広島と長崎から、人類は何も学んでいない」と核廃絶が進まない現状を批判した。
法王は「第3次大戦」について、「人よりお金を中心に置く思想」が、戦争の背景となる
政治経済の問題や敵対を生んでいると指摘。
戦争で利益を得る軍需産業を「最も力を持つ産業の一つとなっている」と批判した。
1945年の原爆投下を振り返り、その後も各国が核兵器を持ち続ける現状について
「そんな文明は新たな『無知』だ。『終末的』と呼ぶべきだ。
もし終末的なことが起きれば、人類は再び一から始めなければならない。
広島と長崎がそうしたように」と強く警告した。(引用ここまで)
福島第一原子力発電所の事故から3年9か月で、川内原発、高浜原発、大飯原発などが
再稼働しようとしている。
汚染水も深刻な状況で、廃炉のめども全く立っていないのにである。
自民党は再稼働を訴えるのみで、原発に付随した様々な問題を衆院選の争点には入れていない。
町の声を聞いても原発問題はあまり聞かれない。「アベノミクス」や「景気」ばかりが
聞こえてくる。
「被災地の復興」や「原発問題」、「集団的自衛権」や「特定秘密保護法」、
「財政再建」など、自分には直接関係ない、考えるのが面倒くさい、
出来れば目を逸らしていたい、暗い話より前向きで楽しいことを話題にしたい・・・
というところなのだろうか。
「株価上昇」や「2020年東京オリンピック」、はたまた2018年、2022年の
「FIFAワールドカップ」を日本に招致しようといったことには、より目を向けがちだ。
こんなことを考えながら以前、録画したETV特集「ヒロシマ 爆心地の
原子力平和利用博覧会」を観た。1945年8月6日に原子爆弾が落とされ、
その年に14万人もの命が奪われた。
それからたった11年後の1956年に、原爆資料館で「「原子力平和利用博覧会」が
3週間にわたり華やかに開かれたのだ。(主催は読売新聞で、社主の正力松太郎のもとに
準備が進められた)原爆資料館の展示物が一時的に近くの公民館に移され、原子力で飛ぶ
未来の飛行機の模型や実物大の原子炉の模型、そしてマジック・ハンドなどが展示され、
原子力が人類に明るい未来をもたらすことが描かれた。「原子力平和利用博覧会」は、
全国11カ所で開催され、100万人以上の来場者があった。
そして博覧会が終わった後の掲示物は原爆資料館と、東海村の研究用原子炉の運用が始まった
茨城県立原子力館に常設されることになる。
アメリカは、原爆資料館にある被害の実態を示す遺品や写真などの展示物を「
ホラー・ミュージアム」と呼び、アメリカ人来館者に恐怖を抱かせ、
また祖国に恥をかかせるような「ホラー展示」の撤去をと迫った。
そして「原子力平和利用博覧会」の展示物を原爆資料館に置くことで、陳列物を締め出し、
「ホラー展示」を可能な限り薄めようとした。
更に「ホラー」を観た後に博覧会の展示物を置くことで、「ホラー」の記憶よりも
最後は明るい記憶で観客を帰らせたいという思惑があった。最初に見たものの印象を、
原子力についての前向きな見方で和らげようとしたのだ。
ここに来るまでには、アメリカは日本人の文化・心理・歴史を熟知し、
多額のお金を使っての様々な根回しがあった。
外交官フツイは「広島アメリカ文化センター」の館長に就任し、アメリカの雑誌、
映画・コンサート、英会話教室、料理教室など、アメリカに憧れをもつような展示や
イベントを行った。
また38人もの学生をアメリカに留学させた。フツイ夫妻は日本人との親交を深めることで、
日本とアメリカの懸け橋になろうと務めたのだ。
被爆者団体代表として「原水爆禁止運動」を立ち上げた森瀧市郎は、原爆の恐ろしさや被爆者の
苦しみ、そして被爆者が抱える理不尽さや救済制度などを訴えてきた。
広島に原子力発電所を設置することにも反対してきた。
だが博覧会の2か月後に開かれた原水禁世界大会では、それまでの主張を
大きく変えて挨拶をする。
「破戒と死滅の方向に行くおそれのある原子力を、決定的に人類の幸福と繁栄の方向に
向かわせることこそが、私たちの生きる限りの唯一の願いであります」
原子力のもつプラス面ばかりが強調され、その怖ろしさは隠された。
原爆による苛酷な現実を、最先端の科学技術である原子力の明るい未来が上書きしたのだ。
こうして日本での原発の受け入れが本格化して、世界初の被爆国日本は、世界第三位の原発大国
へと変貌していった。
原水禁世界大会で、核の平和利用を支持すると宣言した森瀧市郎は、その後に考えを改め、
全ての核を否定する立場に立った。そして一度は核の平和利用を認めてしまったことを
悔やみに悔やみながら、1994年に亡くなった。
苛酷な現実を直視するよりも、威勢の良い、前向きな、夢を見させてくれる明るい言葉、
幻想をふりまいてくれる言葉を、人間は聞きたがっているのではないだろうか。
そこに救いを求めたいのではないだろうか。
高度成長期の、あの夢をもう一度!
GDP世界第2位の、あの頃をもう一度!
アメリカと共に世界を支配する、夢をご一緒に!
今は苦しくとも必ず富の滴り(トリクルダウン)がある、夢をあきらめないで!
日本は高齢化社会がすすみ、人口は否応なしに減っていく。
アジアの国々の台頭で、昔のように1人勝ちは出来ない。
国の借金1024兆9568億円(国民1人当たり806万円)を、国家予算約96兆円の国が
今後、どうやって返してゆくのだろうか。
2014年12月1日、米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは
日本国債の格付けを「Aa3」から、「A1」に一段階引き下げた。
「A1」は中国や韓国より下で、イスラエルと同格になる。
4月の消費税率8%への増税で景気が冷え込み、景気回復と財政再建を両立させる
経済政策のかじ取りが一段と難しくなったとの判断からだ。
安倍晋三首相は、税率10%への再増税を延期して景気回復に専念するというが、
そのカギを握る成長戦略にも疑問符が付いている。
そしてアベノミクス「第3の矢」である成長戦略の効果に「労働参加率の向上や人口問題へ
の対処など、構造的な問題への施策が不明だ」と疑問を呈している。
今後も金融緩和と財政出動に頼るようだと、改めて「日本の国債はもうダメだ」と
見られる恐れもあり、中期的には金利上昇のリスクが高まったとの見方もある。
最悪のケースは、国債を売り買いする債権市場で信用が落ちた日本国債が売られ、
金利が急上昇することだ。
国債金利が2%上がると、借金返済に充てる予算が3年後に8兆円超膨らみ、
財政を圧迫する。国債を持つ銀行にも巨額の含み損が出る。
(現在の国の借金1024兆9568億円は、たちまち増えてゆく)
企業の借金や住宅ローンの金利もすべて国債金利に連動するため、金利上昇の影響は
あらゆる国民生活に及ぶ。財政再建は待ったなしなのだ。
これ以上、政府は有権者の聞きたがっている言葉だけを語り、その政策を推し進めて行けば
大変なことになるだろう。
有権者も、借金まみれの国に暮らしているという自覚をもち、聞きたくない言葉にも耳を傾け、
将来を見据えて、堅実に政策を推し進めてゆく政党に、投票して欲しいと思います。
人間は誘導されやすい。
今回の選挙でも、私たちはすでに研究され尽くしているのかもしれないのだから。
(敬称略)
追記1
期日前投票は、入場券が届いてなくても投票できるそうです。
12月の忙しい時に選挙をするのだから、大いに利用しようと思います。
投票期間:公示日(告示日)の翌日から投票前日まで
投票時間:原則、平日土日ともに午前8時30分~午後8時まで
投票場所:各市区町村に1力所以上設けられる期日前投票所
(2014年12月6日 記)
追記2
昨日、入場券が届いたので期日前投票をして来ました。
入場券が無いといろいろ書かなければならないけど、入場券があると裏に住所や名前、
そして期日前投票をする理由にチェックを入れるだけです。
投票率は投票日のお天気に影響されるけど、期日前投票は13日まで好きな時に投票できます。
今日はとても混んでいました。
投票したって何も変わらない、誰に投票したって同じ・・・ではないのです。
この2年間に日本は変わってしまい、またこれからも大いに変わりつつあります。
すっかり変わってしまってからでは、もう取り返しがつかないのです。
(2014年12月7日 記)