昭和50年代、私の小学生のころの思い出です。
あの頃は毎年のように箱根に家族旅行に行きました。
電車に冷房など取り付けられておらず、夏場は車両の天井に扇風機が回っていて車窓を開けて換気を良くして走っていた時代です。
箱根に着くのは決まって夜。夜の箱根登山電車に乗って強羅にある旅館に向かったのです。
窓の開いた登山電車の中には、蛾を中心としたたくさんの昆虫たちが侵入して車内を舞っていました。
今、蛾が1匹でも車内にいたら、大変な騒ぎになってしまうでしょう。
でも、その頃は、それが当たり前だったのです。
私はその車内で、目に着いた蛾などを捕らえて図鑑で調べ、オオミズアオやコミズアオ、アゲハモドキといった蛾を憶えたのです。
2017年、母が他界して、とうとう両親ともこの世から去っていってしまいました。両親ともいなくなってしまうのは大変淋しく、この年から両親や先祖たちの供養の意味も込めて、お盆休みに箱根に行くようにしました。
ところが、蛾は全くといっていいほどいませんでした。
桃源台から坂を昇り徒歩10分ほどのところにある箱根ビジターセンターに行って聞いてみました。
すると「箱根も生態系が変わってしまったようで、昆虫が減った。」ということでした。
あの頃たくさん見られた昆虫たちは、すっかり姿を消してしまったのでしょうか。さびしいものです。
綱島公園でもライトトラップを仕掛けても、何も集まってきませんでしたが、夏らしい暑さが終わらないうちに、別の場所でチャレンジしてみたいと思います。
箱根では毎年大文字焼が行われます。両親や祖父母の供養の意味も込めて今年も見に行ってきました。
今回、夜の箱根登山電車に乗ったのは大文字焼の帰りだけでしたが、昔のようにたくさんの昆虫は見られませんでした。
あのころ出逢った昆虫たちにまた逢いたいです。