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本当のエコとは/『割り箸はもったいない?―食卓からみた森林問題 』

2009-07-03 20:45:37 | 非合理主義・疑似科学
割り箸はもったいない?―食卓からみた森林問題 (ちくま新書)
田中 淳夫
筑摩書房

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 いつ頃から、割り箸の使用は森林破壊につながるという言説が世の中にはびこるようになったのだろうか。いまでも、マイ箸の使用を呼びかける動きは続いている。

 本書は、本当に割り箸の使用が、森林破壊の原因となっているかを、丁寧に検討している。その結果、日本国内での割り箸の使用が、森林の保護につながることも、森林政策を語る糸口になることを解き明かしている。

 「割り箸は熱帯林を破壊する」という論争の中で、数年にも及ぶ長期間の割り箸に対する批判が続いた1989年から始まった論争のきっかけは、世界自然保護基金(WWF)が「日本が割り箸の大量使用で、熱帯雨林を破壊している」と批判したレポートが提出したと報道されたことだとされている。しかし、本書では、こうしたレポートが公式に発表された事実がなかったことを解明している。

 割り箸不要論者の言い分は、感情的なものに過ぎないようだ。
「何年もかけて成長した木を、たった数分で使い捨ててしまう」⇒「割り箸は、廃材(端材)、背板(丸太の外縁部の弓型をした材)で作る」⇒「その廃材を他のものに有効使用できないか?」⇒「割り箸に使うのが何故有効利用と認められないのか?」

 「焼却時に地球温暖化を招く」⇒「バイオマスに関するゼロミッションとかカーボンニュートラルの考え方を知らないで発言している無知」

 外国の森林問題に関しては、1990年度では、木材輸出量に占める割り箸の割合は、インドネシアでは0.8%、フィリピン0.6%、マレーシア0.0003%で、日本から見た場合は、熱帯雨林の消費する木材の割り箸に関する割合は、0.3%である。中国から輸出される割り箸も同じような傾向にある。

 日本で、割り箸が普及したのは、東京オリンピックがきっかけとなっている。いわゆる衛生問題からであった。韓国でも、中国でも同様であった。色々な病気の感染を予防するためであった。

 もしマイ箸についても、問題にするならば、使用後に洗う時に使う洗剤や水の事や、レストランなどのトイレで洗う時の衛生面、ふき取る時にティッシュペーパーを使うことの無駄、結局は塗りがはげてしまった場合の廃棄方法、塗料の安全性(国内産の漆を使わないものが少なくない)等も指摘せざるを得ないであろう。

 日本における林業の衰退も指摘している。林業も人の手によるもので、伐採等の作業が必要であり、このように管理された森林の生物の多様性が、かえって、林業の衰退による森林の放置により失われている現実も本書では指摘されている。

 もう一度、割り箸文化を通じて、森林問題を考えるために、本書は、有効な1冊となりうる。

 


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