トッペイのみんなちがってみんないい

透析しながら考えた事、感じた事。内部障害者として、色々な障害者,マイノリティの人とお互いに情報発信したい。

透析患者の心理面の問題

2008-04-14 02:45:09 | 透析
 人間は、肉体を持っている。脳で精神活動を行っている。心身と言い表すこともある。両者を離して論じることはできない。肉体がうまく機能しなければ、心理的に気分もすぐれないし、気持ちがふさぎこめば体調も悪くなる。両者は、フィードバック作用をする。
 透析患者も、体内には壊死には至らないが、壊れていく腎臓という臓器を持っている。ダイアライザーが腎臓の機能の一部を果たすことで、透析患者は生きている。当然、精神面に何らかの影響を及ぼしているのではないか。
 おいらは、不眠症だ。他の透析患者にも多い症状だ。クリニックでも、睡眠導入剤を服用する例が少なくない。医師からみれば、透析患者のよくある症状の一つである。やはり、透析は精神面にかなり影響を与えているのは、個人的にも実感している。

 東京都の患者組織である東京都腎臓病患者連絡会では、2004年に都内の会員の実態調査を行った。その中で、患者の精神的状態の調査項目も含めた。
 質問事項は以下の通り。
※次にあげるのは、過去1ヶ月間に、あなたがどのように感じたかについての質問です。
 1かなり神経質でしたか(1.いつも2.ほとんどいつも3.たびたび4.時々5.まれに6.全然ない)
 2どうにもならないくらい、気分がおちこんでいましたか(以下、評価は第1問と同じ6段階)
 3おちついていて、穏やかな気分でしたか
 4おちこんで、憂鬱な気分でしたか
 5楽しい気分でしたか

 各質問を100点満点に換算し、点数が高いほど心の健康が高いことを表わす。
結果は、HDの場合、平均値±SDが「61.6±12.2」だった。回答数は4587。

 最近、岩波新書の椎貝達夫著「腎臓病の話」を読んだが、その中に透析患者の心理面の問題の記述があった。数字では、「血液透析の治療方法と患者の予後についての調査」(DOPPS,中心は米国アーバーリサーチ)の透析患者の心理についての2002~2004年に共通の質問表による世界12カ国での調査結果が挙げられている。
DOPPSは、現在も調査を続けており、世界12カ国、340施設、参加人数2万人の規模となっていて、世界標準とされている。
 先の調査では、諸外国の透析患者のうつの率は39~62%に分布し、日本は40%だった。しかし、医師が患者をうつと診断した率はほとんどの国が10%以上だったのに、日本では2%と、質問票による成績より極端に低い結果だった。この事は、日本の患者は、うつ状態にあってもそれを隠そうとする傾向にある事を示しているようだ。表面上、明るくふるまっていても透析療法の受容はできず、一生拘束され、ともに透析を受けていた仲間の死をみて、自分にもいつ降りかかってくるのかと不安におののいているのではないかと、筆者は推測している。
 精神科医で透析療法も行っている春木繁一医師(松江青葉クリニック)によれば、病気の予後、肉体能力・体力、経済面、仕事などに対する「現実的な不安」、人間関係、孤立感、自尊心の低下、同病者の死、将来計画の挫折などの「実存的な不安を抱えている人が多く、睡眠障害、食欲不振、意欲の減退、自殺願望、自殺企画といったうつ状態を示す人もいるという。
 以上、本書の記述によったが、患者が大なり小なり精神面の問題を抱えているの
は事実だろう。
 透析患者は、うつになるリスクも高いが、そのことを認識した上で自分の障害を受容して自己管理するのがベストなのだろう。それには、患者同士の連帯感も必要となるだろう。そして、うつになったら専門医に自分から診てもらうか、周りの人間が気づいて対処することが求められる。透析患者には、透析生活を楽しんでいる患者がいるのも確かだし、一方で愚痴と悲観的なことしか言わない患者もいる。
 長期生存者は、透析を、生きていく上の相棒だと受容して、自己管理をしながら前向きに生きている。仲間が支えになっている。この事の関しては、長期透析者の声を集めた、堀沢毅雄著「透析者と家族が元気になる本-全国の「達人」に学ぶ長生きの秘訣」(サンマーク出版)を読んでみてください。透析患者の精神面の解決に役立つと思う。



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