児童虐待相談数が4万件突破=過去最多、5年で1.5倍-青少年白書(時事通信) - goo ニュース
内閣府が、3日に発表した2009年度版「青少年の現状と施策(青少年白書)」によれば、07年度の児童相談所での児童虐待に関する相談件数が初めて4万件を超え、過去最多になったことが判明した。ここ5年間に約1.5倍に増えていることになる。子どもの虐待に気がついた医師や保育士、近隣住民が児童相談所や警察に通報するケースが大半である。07年度は、前年度と比べて3316件増えて、4万639件となっている。周りに気づかれることのない虐待を含めれば、もっと多くの虐待が存在するものと思われる。※昔と比べて件数は変わらないのではないかとの指摘もあるが、どちらにしても、相談件数が増加していること、保護が必要な児童に対する施策の重要性には、関係のないことであろう。
相談内容の内訳は、身体的虐待が40.1%でトップとなり、保護の怠慢・拒否(ネグレクト)38.0%、心理的虐待18.8%、性的虐待3.2%と続く。
虐待者については、実母が62.4%で最も多く、実父の33.6%が続く。
白書では、こうした傾向を受けて、児童虐待問題は社会全体で早急に解決する問題であると指摘している。
今日のNHK番組「追跡!A to Z」は、虐待により、心と体に深い傷を負った子どもたちが入所する長崎県にある情緒障害児短期治療施設を長期取材した。
児童相談所は、保護した子どもを状況に応じて、里親制度の活用、児童養護施設・児童自立支援施設への入所などの方法をとる。虐待によりトラウマ(心的外傷)による情緒障害を有する児童が入所するのが、情緒障害児短期治療施設(情短)である。最も心の傷が重い子どもたちが入る施設で、児童精神科医、セラピストなどの専門スタッフが子どもたちに向かい合う。
衝動的な暴力行為のきっかけとなるイライラ感を抑えるため、また、不眠症のための薬を子どもが服用している。
突然暴れだす子ども。虐待の連鎖を防ぐ必要もある。おそらく、親も虐待を受けていた可能性がある。
子どもたちが柔らかな心を取り戻して、大人たちとの関係を再構築出来るようにスタッフは向き合っている。親子関係の修復も図られている。時には、親権の壁が立ちはだかることもあるという。
番組に出ていたコメンテーターの方が言っていた。虐待を受けた子どもの心は、コップの中の真水にインクを落としたようなものだと。元の透明な水に戻すことはできない。でも、新しい水を加えることで、水についた色は薄めることはできる。元の透明な水に近づけるためには、多くの水が必要であると。
世の中には、しっかりと子どもの声に耳を傾けてくれる大人が存在すること、暴力に訴えずに、言葉で気持ちを伝えることのできる大人が存在すること、そんなことに気づくことも難しいが、あきらめずに可能性に賭けている。本人も、スタッフも。
そして、親も変わることを期待して。