1日1日感動したことを書きたい

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「厚い」

2013-01-31 07:28:16 | 韓国語
'두껍다 'と'두텁다 '  「厚い」

韓国語は、日本語に比べて形容詞がとても豊かな言語です。このことは、このブログでも何回か書いてきました。日本語の「厚い」にあたる言葉も、'두껍다 'と'두텁다 '、そして'두텁다 'から枝分かれした'도탑다 '、'두툼하다 'の4つがあります。

'두껍다 'も'두텁다 'も、'둩(厚)'からきた言葉です。'두껍다 'と'두텁다 'の意味の違いは、'두껍다 'は「本」とか「服」とかいった固体に主に使われる言葉ですが、'두텁다 'は液体や気体、「霧」とか「雲」とかいった手でふれることができないものにも使われるというところにあるそうです。また、'두텁다 'は、'두터운 대기층(分厚い大気層)''두터운 성벽(分厚い城壁)''두터운 방어진 (分厚い防御陣)'といった比較的規模の大きいものに使われます。

'두텁다 'の「手に触れることができないものにも使うことができる」という特徴は、'두터운 우정(あつい友情)'や'인정이 두텁다 (人情があつい)'といった、人間関係の親密さをあらわす表現へと広がっていきます。'두텁다 'から枝分かれした'도탑다 'は、人間関係の親密さをあらわす「あつい」にだけ使われる表現ですが、'두텁다 'に比べると'軽くて明るい'ニュアンスがあるそうです。陰母音우と陽母音오が与える響きの差が、ニュアンスの違いになるのでしょう。

物理的で客観的な'두껍다 '。主観的で心理的な'두텁다 '。'두텁다 'がもつ主観的な特徴は、1月29日のブログで書いた'느낌 있는 말'(感情がある言葉)を生み出していきます。'두툼하다 'は、'두텁다 'に対応する'느낌 있는 말'です。客観的にはどうかわからないけれど、話者が「分厚い」と思ったときに使う言葉です。

'두껍다 '→'두텁다 '→'두툼하다 'と、物理的・客観的に「厚い」を指す言葉から、気体や心情といった抽象的なものへ、そして話者の感情が込められた言葉へと、形容詞が豊かになっていくのがとてもよくわかる例です。日本人の僕にとって、韓国語というのはとても奥の深い言語です。

ちなみに、日本語の「面の皮が厚い」は、'낯가족이 두껍다'と'두껍다 'を使いますが、これは人間の顔を物理的なものとして表現することで、相手を軽蔑するニュアンスがこめられているそうです。なるほど。