9月の終わりの日に円楽が死んだ。肺がんだったという。
その肺がん健診のため、八木山にバスで行った。ついでに、青葉の森に行こうと思った。
三月ぶりだろうか、9月の終わりに青葉の森を歩く。
耳を澄ますと、まだツクツクがないている。森のところどころ、一匹か二匹によるさみしい発声。
遅れて生まれてきた者の孤独というものを感じるが、遅れてきた者同士、この暖かな秋の日に何とか結ばれて子孫を残せるように。
ツクツクの声が途切れると、森は静かなもんだ。あのオオルリ一家やキビタキやホトトギスたちはどうしたのだろう。
もう子供たちはすっかり大きくなってたので、家族で南の国に旅立ってしまったのだろうか。。
彼らの旅とはどういうものなのだろう。高層の気流に乗って一気に南下するのか、それともあちこち「観光名所」を訪ねながらののんびり旅行か。
子育ての6月以降の観察を怠ってしまったことを、少し悔いる。近郊の小さな森にも、何かしらの物語はあるはずだ。少なくとも二週に一度の「定点観測」は必要なのだろう。
秋から冬へ、今度は旅鳥や冬鳥がこの森にやってくるだろう。
森の出口付近で、なにやらざわめく野鳥の声を聞いた、やぶの中でしかとは確認できなかったが、黄緑色の小型のやつ。メジロさんたちだろうか。留鳥といわれるメジロ達は、さえずり時季を過ぎたら、必要な時以外は声を立てずに森に潜んでいるようだ。
春には元気だったシジュウカラやヤマガラさんたち、そして、うるさいほどいっぱい飛んでいたあのヒヨドリさんたちは、今頃どこで何をしているのだろう。3時間ばかり歩いた9月の終わりの青葉の森に、彼らの気配はなかったが、木の実が赤く熟れるころあいなので、10月になったら、また訪ねよう。
森が開けて、秋の花が咲いているところには、チョウたちが元気に舞っていた。秋のチョウには秋の花。虫たちがいるから花を咲かせるのか、花が咲くからチョウが生まれるのか、花のあるところ虫がいて、虫がいるところ花がある。なにやら、かれらが「ひとかたまりの生命体」のようにも思えてくる。

ナンブアザミだろうか。

タデ科ミゾソバ

あ、あいつだ。野草園で出会った、アシグロツユムシさん。

ハギの仲間だろうか、もう緑の実をつけている。
モンシロチョウ♂♀不明 花はヤナギハナガサか

ツマグロヒョウモン♀か

ミドリヒョウモン♀かオオウラギンスジヒョウモンの♀か 翅裏を観察すれば判明したのに

イチモンジセセリ♂♀不明かオチャバネセセリ♂♀不明