かぜねこ花鳥風月館

出会いの花鳥風月を心の中にとじこめる日記

面白山(おもしろやま)高原駅の お・寒・い・思い出

2022-10-08 15:08:15 | 日記

仙台と山形をつなぐJRの仙山線。仙台から行く県境の仙山トンネル(5361m)を潜り抜けた標高444mの地点にひっそりと建つ無人の「面白山高原駅」。

この駅は、北蔵王の面白山系(南面白山・北面白山・中面白山・権現様峠・奥新川峠・長左衛門平・天童高原)に伸びるいくつかの登山ルートの起点となっていて、いわゆる「駅から登れる山」の典型のような駅。

30代のころから何度この駅を利用して面白山系を歩いたことだろう。

数年前までは、この駅からスキーリフトが走っていて、改札を出るとそのままスキー場に運んでくれる国内でも珍しい駅だった。が、いまはそのスキー場は廃業となり、往時のにぎやかさはない。スキーリフトやそれを繋ぐ索道や鉄塔類、スキースクールの建物などはそのまま放置され廃墟ホテル同様の廃れ具合である。

スキー場があった頃は、周囲に民宿などが数軒あったようだが、今は1、2軒微かにヒトの気配がするだけとなっている。登山者やハイカーのほとんどが、電車や車でやってきて日帰りするような周囲の山々ではあるので、宿屋はやっていけないのだろう。

だが、オイラはこの「面白山高原駅」に「泊まった経験」がある。仙台方面への終電は22時ころまであるので、登山で帰りが遅くなったという話ではない。

もう、かれこれ30年以上の4月のことである。

1年ばかり勤務地が山形市出会った頃の話。なぜか、仙台のアパートからから仙山線で通勤をしていた。

その職場で4月早々に開かれた歓迎会。職場の仲間たちとの話がはずんで、ついに終電の時間となった。山形の地酒と郷土料理をしこたまいただいたものだから、酔いに酔っていただろうから、仙台行きの暖房の効いた終電の座席につくや、すぐさま寝込んだものと思われる。「ガタン・ガタン・・・」在来線のレール走行音が子守唄代わりとなったのだろう。

車内アナウンス、「〇〇ヤマ―〇・〇〇ヤマ―〇~」の声で目が覚めた酔っ払いのオイラは、大いにあわてた。当時オイラが利用していた仙台の駅が「〇〇ヤマ駅」だったので、その駅に着いたものと判断して、あわててドアのボタンをあけて外に飛び降りた。

が、目の前の駅はポツンと駅舎というか待ち合いの小屋が建っている「面白山高原駅」であったのだ。

慌てて振り向いて、たったいま降りた電車に飛び乗ろうとしたが・・・・電車は非情にもゆっくり動き出し仙山トンネルに吸い込まれて行ってしまった。(愕然)

そのあと、オイラの朦朧とした思考回路がどのように働いたのか。

今の時刻表を調べてみると、23時に山形行きの終電車が来る。いまならそれに乗って山形までもどり、駅前のビジネスホテルに泊まればなんとかなっただろう。

しかし、オイラはその適切な行動をとらなかった。まず、明かりを頼りに、駅近くの宿屋らしい建物の玄関をたたいて宿の者を起して一宿の宿を乞うた。相当に酔ってふら付いてしどろもどろだったのだろう。にべもなく断られた。

腹を立てたオイラは、「ヨ~シ あの駅のコテージ風待合室に泊ってやれ、山男のおいらにとってヘノカッパだ。」わざわざまた山形に戻り、寝るだけのために数千円の大枚?をはたく気にはなれなかったし、はやく横になりたいという気持ちが勝っていたのかもしれない。

幸い、そのコテージ風待合室には、何とか横になれそうな木製ベンチがあったので、オイラは着ていたコートをかぶって横になって、少しは寝入ったのだろう。

標高444mとはいえ、4月の県境の山中。当たり前のように朝方には気温は10℃を下回っていただろう。酔いどれのオイラはまもなく目が覚め(寝ている間に山形行き終電は過ぎて行ったのだろう)、寒さに震えあがって、いちばん電車がくる朝7時まで眠れぬ時を過ごした。幸い当時のこの建物内に自販機があり、おいらは、ホットコーヒーを朝が来るまで何杯飲んだのだろう。

長くて寒くて辛い時を過ごしたオイラは、風邪を引いたのか、熱も出てきたので、一番電車で仙台に帰り、その日は、「風を引いたので休ませてください・・」と職場に電話をして、布団にもぐって無駄な一日を過ごした。

「面白山事件」・・・といまも脳裏から離れない「面白山高原駅」。

ホームに立ち、コテージ風待合室を目にするたびに思い出しては、失笑している。

「もう・・さんじゅう〇〇年にもなるか・・・昨日のようだが、あの迷惑そうな宿はいま廃墟・・か。」

 

 

    

 

 

    

 

 

    

    いま、自販機は撤去され、当時のベンチとテーブルがさみしく残っているだけ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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