変わった車椅子

奥様はだんな様の歩行器を借りている介護用品店の人が、歩行器代わりにもなる車椅子があると言うのでお店の展示場に行ってみる。

腰が伸びなくて傾姿勢のだんな様、車椅子の取っ手を持って歩くと前に体重がかかるので座面が浮き上がってしまいバランスを崩してしまう。
以前、まだ歩行が容易だったとき、重石代わりに奥様が車椅子に座り、だんな様が後ろから取っ手を持って歩いていたこともあった。
展示場の車椅子、歩行するときは取っ手が前に折れ曲がって座面の上ぐらいに来るので車椅子のバランスが保てる仕掛け。疲れたら座って、介護者が後ろから押すことも出来る。歩行練習がしたい障害のある方にはいい感じ。だんな様も５～６年前だったら便利に使っていただろう。
ちょっと小さくて、奥様が座ったらお尻がキツキツだったんだって。お部屋で座っていることもあるだんな様にはちょっと向かないかな。

種まき

寒い日が続く。
奥様は居間に土やらミニポットやら持ち込んで農作業。
ほうれん草と小松菜の種を２粒づつ蒔いて、苗作り。
芽が出て大きくなったら畑に移すんだって。
初めての試み、うまくいくのかな。

‘園芸療法’ってあるけどそれなのかもしれない。

アンケート

奥様はだんな様のいる施設へ。

昼食の介助でだんな様のテーブルにいると、施設長がアンケート用紙を持って食事に関する事を聞きに来た。
食事はおいしか、味は濃いいか薄いか、食べやすいか、どんなものを出してほしいか、などなど。

だんな様に聞いているのに、答えるのはほとんど奥様。
「食事はおいしいですか？」－－－「家の食事よりおいしそうです」
「食べやすいですか？」－－－「生野菜（サラダなど）が食べにくい。口の中で送り込むのが難しいみたい」
「温かいものは温かくお出しできていますか？」－－－「テーブルに来たときは温かいが、食べるのが遅く１時間もかかってしまうので、冷めてしまう」

施設長さん、丁寧に書き込んでいたんだって。

寒中見舞い

奥様は一生懸命机に向かって手紙を書いている。
絵手紙教室で描いてきた絵はがきを使って寒中見舞い。
ほーれんそうはわかるけど、もうひとつはワニのぬいぐるみを描いたんだって。
どうしてこれが寒中見舞い？　意味なんてないらしい。

介護者の集い

奥様は昨日、介護者の集いへ。

１５人ほどの出席で、日ごろ困っていることを話し合う。

若年性認知症のご主人を介護される方が、口をあけないご主人の口腔ケアに困っていること、今後虫歯や歯周病になったら痛がり、機嫌が悪くなってどんな行動に移るかわからないから、口腔ケアをきちんとやりたいのだがと言われる。
奥様も発言。だんな様は食事をするかベットに横になっているかの毎日。新聞はもちろんテレビも見なくなり、唯一の楽しみはお菓子を食べること。薬が効きだすと第一声が「・・・チョコレート（が食べたい）・・・」。
口腔ケアをきちんとできないのに始終お菓子を食べさせていいのか、入れ歯になること覚悟で楽しみを与えたほうがいいのか迷っていること。
すでにだんな様は上の前歯はかなりの本数なくなって入れ歯になっている。

検討会

奥様が３時ごろだんな様のいる施設へ。
部屋でおやつを食べさせていると、看護主任、ケアマネージャー、ケアスタッフ主任、そして本社からというリハビリの専門員が来室。
だんな様の歩行器の使い方を見たいという。
ちょうどだんな様は薬が効いていて調子がいいところ。歩行器で廊下をちょっと歩く。
奥様が歩行器で歩くとき、どうした訳か内股になり、足が絡まってしまうときがあることを報告。リハビリの先生は、肘で身体を吊り上げた状態で歩くので、体重が全部足に伝わらないので足が宙に浮いた感じでふらつくからと納得の行く説明。

４人の女性に囲まれて、自分が注目されていることがわかってか、だんな様は絶好調。いつもはできない動作が容易に出来たり、薬が効いている時間も長い。ドーパミンがいつもより出ている感じ。
日ごろの状態を知っているケアスタッフや看護主任がびっくりするやら喜ぶやら。

だんな様の体調に応じて歩行器を使ったり、車椅子を使ったり、絶好調のときはスタッフが支えて歩いて食堂まで行きましょうとの話し合いがされたらしい。
奥様はみんながだんな様のことを思って動いてくださることに感謝。感謝。介護スタッフとしては車椅子での移動が樂なのに余計な仕事を増やしてしまったかと申し訳ない気持ちも。

歩行器

だんな様があまりにも歩行困難になったので、レンタル業者から歩行器を借りる。
奥様が施設に持ち込み、薬が効いているとき、歩行器を使ってで歩いてみた。
調子がいい。肘がちょうど上のマットに乗るので腰が伸びる。前につかまる物があるのでだんな様も怖くないみたい。
廊下を２周歩いたが、いつもよりスムーズで、時間がかからなかったんだって。

風邪

奥様はだんな様のいる施設へ。

昼食を摂るために食堂へ。
だんな様の乗った車椅子を押して入るとどこか雰囲気が違う。空席が多い。
いつもの席に行くと同じテーブルの認知症のおじいちゃんがちょっと離れた隅のテーブルに一人だけ座って食事をしていた。
スタッフに聞くと、風邪を引かれた方が多くて（１０人以上）、３８度の熱を出された方もいらして、お部屋で寝ていられるとのこと。認知症のおじいちゃんは症状は軽いが他の方にうつすと悪いので少しはなれたところで食事をしてもらっているとのこと。
集団生活、施設側も大変。

だんな様が風邪をひきませんように。
春が早く来ますように。

誕生会

奥様はだんな様のいる施設へ

今日の昼食は１月の誕生会と新年会を兼ねて特別献立


　　　　　　特撰料理御献立

前菜　　　鯛わたの塩辛
　　　　　　胡麻豆腐
　　　　　　菜の花の胡麻和え
焼き物　　鴨の西京焼き
鍋物　　　あんこう鍋
お造り　　牡丹海老
　　　　　　ブリ
雑炊　　　うどん
　　　　　　ご飯
　　　　　　刻みのり
　　　　　　平飼卵
デザート　加賀屋特選春花秋月　　

奥様は食事介助で横に座って見てるだけ。
でもだんな様が残した鴨の西京焼きを一片こっそり食べたんだって。

歩行困難

だんな様が施設にお世話になるようになって８ヶ月。
歩行がみるみる困難になっていった。
奥様が極力訪問し、昼食の介助の後、薬が効いていれば２階の廊下を歩かせるが、月日がたつうちに歩き方もぎこちなく、膝は伸びず、腰も伸びず、バランスも悪く・・・・危なくてスタッフに　「歩かせて」　と頼めない状態。

家に居た時は、薬が効いていないときもトイレまで歩かせて、それもちょっと遠回りして行かせていたが、施設では部屋のトイレに行かせる時、車椅子を使っている様子。トイレの便器いっぱいに車椅子を寄せて移すだけ。介助するほうは一番安全で体力も要らない。だんな様は一度も腰を伸ばすことがないまま。

歩けなくなるのも仕方がないか。