所長はやがて鉄道会社の重役に昇進した。後年カーネギーが鉄鋼会社を興すために出資
者を募ったとき、このときの所長がカーネギー鉄鋼会社えの出資の保証を申しいでたの
だ。
このおかげでカーネギーは必要な資金を集めることができた。カーネギーの人に尽くす
生き方が後年幸運となって帰ってきたのである。
どうすれば鉄を安く売ることができるかを目的にした、カーネギー鉄鋼会社はやがてア
メリカ一の大鉄鋼会社に発展していったが、その頃のことである。
カーネギー鉄鋼会社のオーナーで、鉄鋼王ともてはやされていたカーネギーにひとりの
秘書がいた。この秘書は優秀な青年であったが若気のいたりか、酒を飲んで夜遊びをす
るようになった。それがこうじて会社を遅刻するようになったのである。
カーネギーの側近たちは、
「秘書をクビにして別の秘書を雇うように・・」と進言したが、カーネギーは、
「私に考えがあるから・・」と言って秘書をかえようとはしなかった。
あるときカーネギーはくだんの秘書を自宅に招いた。
夕食のあと秘書を書斎に通してコーヒーを飲みながら、ふたりは打ち解けた態度で話し
あった。
「きみは最近夜遊びがちょつと過ぎているようだが、私は若気のいたりで一時的なもの
だと思っている。たがいつまでも続くようだと健康にもよくないので、このへんで考え
直したほうがよいと思うが、きみはどう思うかね。」
カーネギーは自分の考えを率直に言ったあと、秘書の意見を聞いた。
てっきり叱られると思っていた秘書は、カーネギーの寛大な態度に、
「ご心配をかけて申し訳ありません。
秘書のひとりやふたりいつでもクビにできる立場のあなたのようなかたが、私のような
ものに、そこまで気を配っていただいたことを感謝します。
あすから心を入れ替えてやり直しますので、どうかこのまま私を秘書として使ってくだ
さい。お願いします。」
と応えた。クビになっても仕方がないと思っていた青年は、心を入れ替えてやり直すこ
とを決意したのである。
カーネギーは自分よりもはるか年下で、しかも部下である青年をひとりの人間として扱
い誠を尽くして接した。血気さかんで自暴自棄になりかけていた青年はこのおかげで救
われ、やがてカーネギーのパートナーとして会社の発展に大いに貢献したのである。
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