ロスは少女が、いままで生きていたことが奇蹟で、
感動しながら、耳をかたむけてきた。
だがそれ以上に、少女の変わりように驚嘆した。
「この子の耐えてきた苦しみを、私は想像できない。人間が信じられず、
恐れと憎しみで心がいっぱいだったに違いない。
それなのに人を憎むことをやめ、
人に優しくしようと思う心が芽生えたのは、なぜなのか、
少女のなかのなにが変化したのだろう。」
この疑問がロスの胸に長く残って消えなかった。
のちにロスは医者になってアメリカにわたり、死を迎えた末期患者の心の
ケアを専門にする精神科医になった。
医学者で始めて、死後の世界を研究し、数万人の臨死体験者と直接あって
話を聞いたといわれる。
その結果、
「人々が思っているような意味での死は存在しない。
生死を超えた世界にあるものは、無限の愛とも大慈悲心ともいえる
精神である。」
という思想を持つようになり、この思想を世界に広めるようになった。
はなしが飛躍したようだが、自分の心を変えるには、生命の根本に迫っていかねばならないのだ。
いま最先端の精神科学の分野では、生命は永遠で、
人間は何回も何回も生まれかわるという仏法の、輪廻転生を認めなければ
説明できないところまで来ている。と述べる学者もいるのだ。
いつまでも古い考えに固執していては、人類の未来に明るい展望を望む
ことはできない。
未開発のまま眠っている人間の能力を開発する以外に、地球と人類を救う
道はないことを、わきまえねばならないのだ。
死んでしまえばすべて終わり、ジタバタしたところで、
人間のこの運命はどうしょうもないのだ。と考えるのはよそではないか。
そして、自分は変えられる。運命というものがあっても、
それは自分で良いほうに変えることが出来るということについて、次の稿に
進んでいきたい。
この稿終わり。