ジッチャン
「ケイタくんk大学入学おめでとう。
ケイタくんもいよいよ大学生だから、ジッチャンも心を新たにして仏教教室にのぞもうと思うよ。
また山本さん、会社のプラント部門の責任者に昇進されたそうで、おめでとう。
日本の化学プラント技術は世界一といわれているから、ますます多忙になりそうですね。
でも、教室のほうもサボラないで、よろしくね。
注釈
ケイタくんは志望していた大学に入学し、ピカピカの大学一年生になった。
山本さんは、大手化学プラントメーカーの中堅社員であるが、四月の人事移動で部門の責任者に昇進した。
さて難しいことを言うようだが、
「 妙法蓮華経 薬王品.ヤクオウホン 」という経典があるんだ。
妙法蓮華経というのは、時代を変えることができる力をもつ仏界の名前であると、前にも言ったが改めて確認しておくよ。
その「妙法蓮華経」を未来の世に伝えて、世界中に広めなさい。
と釈迦が薬王ボサツにすすめた経典が薬王品なんだ。
薬王ボサツは釈迦の弟子の中でも有名なかたで、ミロクボサツなどと並ぶ指導的立場にいたボサツなんだね。
経典の中に、
「後の五百歳の中にエンブダイ(全世界のこと)に広宣流布して断絶せしむることなけん」
とあるんだ。
後の五百歳というのは、釈迦の死後二千年以降をさし末法(マッポウ)とも言うのだ。
エンブダイは全世界のことで、広宣流布というのは、法華経の思想を広めて
個人の幸福と世界の平和を達成するという意味なんだ。
どうだいケイタくん、仏教はスケールが大きいだろう。
ケイタくん
「個人の幸せは分かりますが、世界の平和まで考えるんですか、ボクにできるかなあ」
ジッチャン
「釈迦はね、自分の死後一千年のあいだ(正法時代という)は仏教が栄え、国土が安定し、民衆が幸せにくらせる時代であるとし、
そのあとの千年(像法時代という)は仏教が形式化し、寺院や仏典は満ちあふれるほどたくさんあるが、釈迦の教えどおりに仏教を実践する人が少なくなり、
仏教の利益も現れない時代になるだろう、と予告したのだ。
つづく