「先週はちょつと体調をくずし、教室がお休みになってゴメンね。
今週からまた始めますのでよろしく頼みます。
ケイタくん、
「人間は何をしに来て、どこえ行くのか」の朗読を長いあいだ
ご苦労さまでした。
朗読がたいへん旨いと、褒める人もいるので伝えておくよ。」
山本さん、
「先生、再開早々ちょっと質問があるんですが宜しいでしょうか。」
ジツチャン、
「どうぞ、どうぞ、休みのあいだに何か考えることがあったので
すか。遠慮なく聞いてください。」
山本さん、
「専門的なことはよく分かりませんが、
源頼朝はたしか征夷大将軍になって国を統治したと聞いています。
征夷大将軍が国を統治するというのは、鎌倉幕府から始まったの
ですね。
もともと征夷大将軍は朝廷の官職の一つでありますが、
それが朝廷(天皇)に替わって国を統治し、
しかも七百年も続いたのですからちょつと異状ですね。
徳川十八代の征夷大将軍である徳川慶喜が、大政奉還で政権を朝廷
に返したというのもうなずける気がします。
そのあいだに、
聖徳太子以来続いた法華経中心の思想は途絶えてしまうのですか。
それと、鎌倉時代に日蓮大聖人がお生まれになった意義はなんだ
ったのでしょうか。」
ジッチャン、
「山本さんいいことを聞いてくれましたね。
うれしくなりますよ。それを言いたくて待っていたのですから、
だが日蓮大聖人が、
鎌倉時代にお生まれになった意義を理解するには、当時の時代背景
を踏まえていないと分からないと思います。
しかし、それを話すと長くなりますので、
護国三部経の一つ金光明経に出てくる経文が、当時の背景をしる手
がかりになりますので、経文の要旨を取り上げてみましょう。
その前に、日蓮大聖人がお生まれになった前後の年表を表示します
ので参考にしてください。
1185(文冶元年) 源頼朝 鎌倉幕府を開く。
1222(承久四年) 日蓮大聖人 安房、小湊に生まれる。
1260(文応元年) 日蓮大聖人 「立正安国論」を北条時頼に
提出して幕府の政治をいさめる。
つづく