叙事詩 人間賛歌

想像もできない力を持つ生命の素晴らしさを綴っています !

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人間賛歌 信仰に生きる 四

2008年10月29日 | 信仰に生きる

 「ツキを呼ぶ魔法のような生き方」

貧しい移民の子から大富豪になったカーネギーは言っている。

「私に幸せをもたらしてくれる全てのもの、
それは自分の健康であったり、よい家庭、よい友人、財産、地位、
仕事などであるが、それらは他人に奉仕する生き方で得たもので
あり、それ以外によって得たものは何ひとつないのだ。」

さらにカーネギーは、

自分が大成功して幸福になったように、
他の人にも自分がやったようにして成功させてやりたいと思った。

それには自分に成功をもたらしたノウハウが、
自分だけに通用したものか、
自分以外の他の人でも同じやりかたをすれば成功できるのか、
確認したいと思った。

自分で調べるには歳をとっていたので、カーネギーは若い青年の
ナポレオン・ヒルに調査を頼んで、

当時アメリカで大成功していた五百人以上の男女について、成功し
た原因を調べてもらったのである。
五百人以上の男女のなかには、
ヘンリー・フォード、ロックヘラー、ルーズベルト大統領、モルガ
ンなど、

アメリカ社会で成功をおさめていた男女の全てが含まれていた。


ナポレオン・ヒル青年は、カーネギーの期待にこたえ二十年間に亘
って、これらの男女の成功の過程を調べたが、その結果驚くことが
分かったのである。

それは成功をおさめた男女五百人以上の人が、
だれ一人の例外もなく、他人に奉仕する生き方をしていたことであ
る。
ナポレオン・ヒルもカーネギーの教えどおりにこのノウハウを実践
した結果、自分自身も大成功をし、ノウハウが正しいことを身をも
って証明したのである。


「一定のルールに従えばだれだって成功することができる。
それには積極的な心構えを身につけて、それを維持することだ。」

上に要約されるナポレオン・ヒルの成功哲学=成功する生き方はこう
して完成し、欧米で数百万人の人たちに恩恵をもたらした。
ヒルの調査でさらに分かったことは、
他人に奉仕する生き方をする人は、宗教の違いや、宗教の有無に
関係なく同じ結果を得ていたことである。

ただ宗教を持った人の方が、持たない人より圧倒的に数が多かった。
ということである。

つづく   

 

 



  


人間賛歌 幸運を呼ぶ法則 十九

2008年10月26日 | 幸運を呼ぶ法則

  恐怖心がツキをなくする*

恐怖心は人間だけでなく、他の生き物にもある。
他の場合はどうだろう。ここではアフリカ大陸の内陸部にある湖で、原
住民たちが漁をしている様子をのぞいてみよう。

良く晴れた日、太陽が湖の真上に来たころをみはからって、村の男たち
はカヌーを湖に浮かべ、横一列になるように並べる。
 それが終わると合図と共に、湖の真ん中をめざしていっせいに漕いで
いき真ん中まで来ると漕ぐのをやめる。そしてカヌーを岸の方に向き変え
て並び、長い棒でカヌーの船べりと船べりをつなぎ合わすのだ。

これを上から見ると、一本の途方もなく長い棒が、湖面に横たわっている
ように見えるのだ。
準備が整うと、掛け声を掛け合い岸に向かって全力で漕いでくる。真上
にある太陽のせいで湖底にかけて棒の影ができ、それがたいへんな速
さで岸に向かって動いてくるのだ。


魚たちは突然出来た真っ黒な壁が、自分たちに迫ってくる錯覚におちい
る。
こうして魚たちはパニック状態になり、岸に向かって逃げてくるのだ。
岸には村の老人や女たちが待ち受けていて、逃げてくる魚を手づかみに
したり、カゴですくって捕まえるのである。
笑い話のようだが、これは先祖から伝わっている大事な漁法なのだ。

 日本の九頭竜川にもこれと同じような漁法がある。
伝統的なアユ漁であるが、天気の良い日に漁師は、川の岸から岸に川を
またぐように綱を張る。
綱の下まできたアユは、水中に写った綱の影を恐れて、そこに通れない
壁があると思い込み、浅瀬の方に逃げて来るのだ。そこを待ち受けてい
た漁師が捕まえるというわけである。

 実体のない影を本物の壁と思い込み、恐れて逃げたために、自分の命
を落とす魚のようなあやまちを、人間も犯していないだろうか。


シカゴの職業相談所を訪ねた男も、自分の心の中にある恐怖心を、それ
を影とは知らず通りこせない壁があるように思い込み、ミシガン湖に身を
投げて命を捨てようとしていたのである。

この壁は男の心の中にだけあって、他の人にはうかがう事もできない。
従ってなんら実体はなく、男の心にできた影みたいなものである。

つづく    

    


人間賛歌 「新・仏教教室」 三十九

2008年10月23日 | 新・仏教教室

 白蓮華のような最高の法 * 

妙法蓮華経は、サンスクリット語の、
サ・ダルマ・フンダリキャ・ソラタン(白蓮華のように最高に正しい
教え)の意味でインドでは白蓮華が花の中で最高とされている。

これを訳経僧のクマラジュウが「妙法蓮華経」と漢字に訳したので
ある。
もちろん一いちの文字に深い意味があるが、
それを説明してもここでは書ききれないので、趣意を伝えることで
了承願いたい。


この法華経に四種類の法華経があると前回述べたが、それを古い順
にいうと、

一、 不軽(ふきょう)菩薩の法華経
二、 釈迦の法華経
三、 天台大師の法華経、一念三千の法
四、 日蓮大聖人の法華経、三大秘法総在の御本尊

以上の四つである。これを要約すると、

一  不軽菩薩の法華経

昔、むかし、釈迦もまだ生まれていないころ、不軽菩薩という仏道
修行者がいた。人を尊敬する菩薩道を修行していた不軽菩薩は、
会う人ごとに、

「私はあなたを軽んじない、なぜなら、あなたは仏道修行をして
 仏になる人であるからだ。」  (趣意)

と言って人々を礼拝して廻った。
礼拝された人々は、気味悪がったり、バカにしたりして不軽菩薩を
軽蔑したが、不軽は屈せず礼拝行を続けた結果、悟りを開いて仏に
なった。

経文の原文は二十四字の漢字で書いてあるので、二十四文字の法華
教といわれる。

二  釈迦の法華経

インドに生まれた釈迦が晩年になって説いた法華経で二十八品(部)
で成り立っている。

釈迦は方便品第二で、すべての人に釈迦と同じ仏界の生命が秘めら
れていることを明かした。
さらに如来寿量品(にょらいじゅりょうぼん)第十六で、
仏界の生命は不生不滅(生まれたり死んだりしないで常にいる)で、
久遠の昔から未来永遠に続いていると、仏界の生命が永遠であるこ
とを明かした。

注、 仏(ほとけ)

宇宙と生命の真理を悟った人で覚者とも、世尊(世の中で最も尊い
人)、世雄(世の英雄)、救済者とも呼ばれる。
智慧と慈悲の力ですべての人を救済しようとする人のことである。

つづく  

 





 

 

 

 


人間賛歌 「新・仏教教室」 三十八

2008年10月21日 | 新・仏教教室

 法華を知れば世間法が分かる!

山本さん、

「先生、経済教室をどうもありがとうございました。
それにしても仏教のことはともかく、経済や株のことについても
先生が詳しいので驚いています。
また折がありましたら経済教室も開いてください。」

ジッチャン、

「山本さんのお役にたてて私もうれしいです。
御聖訓(日蓮大聖人の教えのこと)に、

「天晴れぬれば地明らかなり 法華を識(しる)ものは世法を得べ
 きか」

いうのがあります。

要約すると、法華経を学んで生命の法を知れば、一般世間のこと、
たとえば仕事のことでも、生活のことでも、トラブルであっても、
すべて世法のうちに入りますが。
それらを間違いなく見通していけると教えられています。

ですから、その意味でも法華経を知る勉強を進めていきたいと思
います。


そこで問題になるのは、
法華経はいったい何を教えているのか、
生命の法則というが、生命の法則とは何なのか、
ということになります。

これは仏教を学ぶものにとって一番大事なことですが、
そうでない人にも大事なことであります。それ故に昔からたくさん
の人が法華経の研究に取り組んできました。


法華経が説く要点を現実的な言葉でいいますと、
法華経は不幸を繰り返している人類を、幸福に変える秘術を教える
宗教です。
秘術というのは、幸福な命の当体を妙法蓮華経といい、
それにナム(帰命)することで、幸福な命と一体になれることを仏
しか知らないから秘術(他の人は知らないこと)と言うのです。

不幸に甘んじている人間が、
法華経を信じて題目をとなえる(帰命する)修行を続けると、自分が
幸福に輝く太陽のような人になり、自分に縁する人すべてを自分と
同じように、輝く人に変えていくことが出来る。
と教えているのです。

この事実を膨大な時間と文字をもって、私たちに教えてくれている
のが法華経の経典なのです。
幸福に輝く太陽のような存在、これを仏界の境涯といいますが、
黒い雲が太陽を隠して輝きをなくしているのが、法華経を知らない
人のことです。

平安時代の人が法華経の経典を、
生身の仏のごとく敬い、尊んだのは、法華経のもつ不思議な力を感
じていたからだと思います。
この法華経に四種類の経がありますが、それは次回で学ぶことにし
ましょう。

つづく  

 


人間賛歌 信仰に生きる 三

2008年10月18日 | 信仰に生きる

 奇蹟が起きる ?

 ご紹介 

宗教に関心をもっているOL一年生の日名子さんが対話の相手に
登場します。対談相手は仏教教室のジッチャンですが、ここでは
先生と呼ぶことにします。 よろしくお願いします。

日名子さん、

「早速ですが先生に質問があります。
信仰に生きるというテーマなので、神様とか仏様のおはなしかと
思いましたが、
そうではなくて、砂漠の旅人や、鉄鋼王カーネギーが出てきました
ので少し驚いています。
これも信仰に関係があるのでしょうか。」

先生、

「日名子さん、よい質問ですね。
信仰するということは、自分の心を変えることですから、どのよう
に変えるかその例として、砂漠の旅人と鉄鋼王カーネギーのはなし
を紹介したのです。

砂漠の旅人は、自分の渇きを癒すことだけ考える自己中心的な人で
すが、
カーネギーは他人に奉仕する生き方をモットーにする利他の行いを
する人です。

信仰をする目的は、自分本位の利己主義から、
他人に奉仕する利他主義に変わるこどすが、
これに基づいてこれから話をすすめていきます。

 注、 自分を変える。
自分が幸福に輝く太陽のような人になり、自分に縁する人も輝く
人に変えていくこと。


日名子さん、

「私も自分を変えたいと思って信仰に興味をもっていますが、
自分中心の生き方から、他人に尽くす生き方に変えるには、信仰を
しなくても、考え方をかえれば出来ると思いますが、そうではない
のでしょうか。

それにひつこいようですが、
砂漠の旅人があとから来る人のために、何か目印を残したいと思っ
ても、何もない砂漠の中で何を使って目印をつくるのでしょうか、
へりくつみたいですが教えて頂きたいと思います。」

先生、

「なかなかてきびしいですね。
何もない砂漠の中でといわれましたが、確かに何もないし、他に
頼む人もいませんね。
ですが旅人が真剣に他の人を思いやる心をもっていれば、奇蹟が
起きるかもしれません。

砂の中に埋まっていた古い槍が出てきたり、目印にちょうどよい
動物の骨に出合えるかもしれません。
利他の行為をする人には全宇宙の働きが味方をするからです。それ
を確信するにはどうしても信仰がいるのです。

いまはピンとこないかもしれませんが、
そのうちに分かるようになります。この問題はとりあえずこのくら
いにして、次ぎに進みませんか。」

つづく   

 


人間賛歌 「新・仏教教室」 三十七

2008年10月16日 | 新・仏教教室

 レーガノミクスの終わり ? 

ジツチャン、

「なんか経済教室みたいになったが、前回の続きを話して次の回か
ら本筋にもどろう。

アメリカのサブプライムローン(住宅不良化貸付)問題がこれほど
深刻であったとは、金融政策の当局者でも分からなかったのではな
いでしょうか。
それがリーマン・ブラザースの倒産で、
隠れていた部分が一挙に表に出た感じですね。

不動産バブルをつくって、住宅貸付債権を証券化し、
それに投機資金をつぎ込んでさらに大きくし、大きくなったものを
証券化商品として世界中にバラまいたのですから、世界中の銀行が
同時に被害をうける結果になったのです。

放っておけば大恐慌の二の舞でしょうが、
主要国が協調して最良の対処法を選択したようですね。

どちらにせよ、人間がやったことですから人間の手で解決できない
ワケがないことの、よい例だと思います。」

山本さん、

「世界中の株も落ち着いたようですから、どうやら大恐慌になる
危険は避けられたと思いますが、どうでしょうか。」

ジッチャン、

「最悪の事態は避けられたと思います。
だが実体経済に影響がでるのはこれからですし、それにアメリカ主
導の世界同一化は、考えなくてはならないでしょうね。
今回の問題も、
アメリカに世界中のマネーが集中した結果起きた危機ですから・・

世界同一化には反対する国も出てきています。
世界同一化を進めた結果は人類に幸福をもたらすどころか、経済競
争と貧富の格差を大きくして、世界を不幸にしてしまった感じがし
ます。

どちらにしてもレーガノミクスとか、サッチャリズムが目指した
「小さな政府」政策は転換点にきたと思いますね。


 注、レーガノミクス
レーガン大統領のときとられた政策で、経済は市場の自由にまかせ
政府は出来るだけ干渉しないこと。イギリスのサッチヤー首相もこ
の政策を取り入れ、万年不況病の英国を立ち直らせた。


これからは政策当局が目を光らせて、金融機関の行き過ぎた投機活
動を規制する動きが広まるでしょう。
そして世界の景気をよくするために、いま出来ることは株を高くす
ることです。
株が高くなって怒る人や、困る人はいませんから世界が明るくなり
ます。個人もフトコロが豊かになって消費が増え、景気回復が期待
できると思います。

それまでは辛抱強く耐えることですね。

つづく  





 


人間賛歌 「新・仏教教室」 三十六

2008年10月14日 | 新・仏教教室

 世界恐慌か ?

山本さん、

「先生、仏教とは関係ないと思いますが、こんどの株の大暴落で、
一九二九年以来の世界大恐慌が来る、という説が出ていますが本当
なんでしょうか。」

ジッチャン、

「仏教は一般世間の出来事と無関係ではありません。
御書には「一切世間の冶生産業はみな実相と相違背せず」という文
言があります。
人間が生きていくために必要な農工業であれ、商業であれ、
ぜんぶ生命活動の現われなので、生命の法則に相違するものはない。
という意味です。

生命の法則についてここでは詳細に述べませんが、
善因は善果となり、悪因は悪果となる。 というのも大事な法則の
一つです。
善果というのは人々が幸せになることであり、悪果は人々が不幸に
なることです。

大恐慌が来るとか、来ないとかを論ずるより、
恐慌がきたらどうするか、
恐慌がこないようにするにはどうすればよいか、
その観点にたって判断するように、仏教は教えているのです。」

山本さん、

「なるほど、仏教は問題の捉えかたが前向きなんですね。

私は前回学んだ金光明経や仁王経の経文を見て、
いま世界中で続発している災害や、人種間、宗教間の対立で争いが
絶えないこと、
また国内でも家族関係が崩れて、人命軽視の殺人事件が頻発してい
るのを見ると、前途を悲観してしまいます。

そのうえに株の大暴落ですから、お先真っ暗で不安に駆られます。
本筋とは違うようですが、先生のご意見を伺って安心したいと思い
質問させてもらいました。」

ジッチャン、

「今後の見通しを考えるうえで重要なヒントになるのが、
日本で行われた洞爺湖サミットではないかと私は考えています。

あのときの主な議題は「地球温暖化防止」えの取り組みでしたが、
見逃せないのが原油市場や穀物市場に出回っている投機マネーを、
締め出すことて各国が合意したことです。

詳しい事は書きませんが、事実、それを境に、
原油相場は一バーレル・一四七ドルで天井を打ち、小麦やトウモロ
コシの穀物市場も下げに向かっているようです。

世界の指導者は、
先ずコストインフレの原因である商品市場を正常化し、
それから金融問題に取り組もうとしたのではないでしょうか。
コストインフレがおさまれば、
会社の収益はよくなり、株価にもよい影響を与えるからです。

商品市場から締め出した投機マネーを証券市場に呼び込めば、株が
高くなり、個人のフトコロが豊かになって個人消費をカッパッにす
ることが期待できます。

つづく  

  


人間賛歌 信仰に生きる 二

2008年10月12日 | 信仰に生きる

 砂漠の旅人と鉄鋼王カーネギー *

中国の西域部に伝わる民話で、「砂漠で道に迷った旅人」の話があ
ります。
深い意味がありそうなので紹介します。

旅人は砂漠のなかで道に迷い、持っていた水を飲んでしまったので、
もう三日も水を飲んでいません。
泉を探してヘトヘトになりながら歩いているうちに、青い水を満々
とたたえた泉に出逢いました。

旅人はあまりのノドの渇きに、
泉の水をぜんぶ飲んでしまえると思ったほどですが、それは錯覚で
実際に彼が飲んだのはホンの僅かで、胃袋の大きさ分だけでした。

旅人は水筒に水を入れるとまた歩きだすのですが、
この旅人と同じような錯覚を人生の旅人たちもしているのではない
でしょうか。


いくらでも富と名誉を欲しがりますが、
実際は自分に合った分相応のものしか手にしていません。
ムリをして得すぎた人もいますが、そのために失敗した例は数え切
れないほどあります。
そこで世界的な大富豪になり、鉄鋼王と呼ばれたアンドリゥ・かー
ネギーの場合を見てみましょう。

カーネギーは貧しい移民の子でしたが、一職工から叩き上げて大鉄
鋼会社をつくりました。

彼は常々こう言っていました。

「人間が一生のあいだに稼いだカネを、使い切らずに終わるほど
 不名誉なことはない。」

実際にカーネギーは、
有名なニューヨークのカーネギーホールをはじめ、アメリカ中に
三千もの図書館をつくって寄附したのです。

参考までに、カーネギーが引退のとき自分の会社の株を売って得た
カネは、当時のアメリカ国家の軍事費を上回っていたほどです。


前の砂漠の旅人の立場に戻ってみましょう。
彼は自分の渇きを癒し、いくばくかの水を水筒に入れるとまた旅に
出ますが、
自分と同じように道に迷って苦しむ人のために、なんらかの道しる
べを残して行ったかというとそうではありませんでした。

もし旅人が他の人のために何か目印を残して行ったら、
あとからくる人が喜び、泉の水ゼンブを役にたてることができたで
しょう。
旅人は尊敬され、恩恵をうけた人に感謝され、幸運が彼のもとに歩
んできたに違いありません。

「多くの富を得ようと思うものは、その富を他の人の役に立つよう
 に使える智慧が要請されるのです。」

つづく   


 

  


人間賛歌 「新・仏教教室」 三十五

2008年10月09日 | 新・仏教教室

 法華経の精神にかえれ。

ジッチャン、

「日蓮大聖人がお生まれになった当時の状況がだいぶん分かって
きたでしょう。
末法に入ってすぐの承久四年に生まれた大聖人は、
十二歳で出家し、三十歳までの十八年間諸国をまわって仏道修行
したと、伝えられています。

天台法華経を中心に、
当時日本に入っていた六千余巻の経典をぜんぶ読んだといわれます。」

ケイタくん、

「日蓮大聖人はたいへんな勉強家だったのですね。」

ジッチャン、

「もちろんたいへんな勉強家であったが、
別にノーベル賞をもらおうとか、人に褒められようとか、そんな
ことではなかったのです。

十二歳で出家したとき、虚空蔵菩薩に願をかけ、
「日本第一の智者にしたまえ」と誓願したのは、智者になって父母
や苦しんでいる民衆を助けたい。という思いが強かったのです。
そして誓願どおりに実践しました。

その結果、

諸々の災害が起きる原因を知り、それを退治する方法を究めたのです。

それは、

人々が法華経の教えに背くから正義がすたれ、邪義がはびこって、
国土を守護する諸天善神の力が弱くなり、
災難がつきまとうのです。それを改めなければさらに大きな災難が
国を襲うだろう。

それは国内での反乱と、外国からの侵略の二つである。
だから為政者はすみやかに信仰心を改め、法華経の正義にかえらな
ければならない。
 と主張したのです。

そして日蓮は、国に災害が起きる原因と、それを退治する方法を書
いた勧告書を最高権力者の北条時頼に提出しました。
これが有名な「立正安国論」なんですよ。

 注釈、

「立正安国論」(りっしょうあんこくろん)

日本国の重要文書の一つ、「正法を立て国を安んずる」の意で、
日蓮大聖人が三十九歳のとき、鎌倉幕府の最高権力者北条時頼に提出
した勧告書で、大聖人御述作中の最重要の書とされる。

内容は客と主人の対話方式で書かれ、
あらゆる経典を引いて災害が起きる原因をあげ、それを証明する和漢
の実例を示して、法華経の正義を立てるよう勧告している。

つづく  



 


人間賛歌 「新・仏教教室」 三十四

2008年10月07日 | 新・仏教教室

 仁王経の教え。

仁王経にはこう書いている。

「国王よ、

国が乱れるときは、先ず思想が乱れる。
思想が乱れるから、
人々は善悪、正邪の見分けがつかなくなり、心が荒廃する。

私が仏眼をもって、三世(過去・現在・未来)を見通せば、
いっさいの国王は、みな過去世において、
仏道修行をし、その福徳によって、

帝王主となることが出来た。
それ故に、

いっさいの聖人も、国のなかにあって、
国が栄えるのに、おおいに貢献するのだ。

しかし、

国王が法華経に背き、福運が尽きたときは、
いっさいの聖人はみな国を捨て、去るであろう。
その結果、種々の災禍が競い起きるのである。

 「御書 災難退治抄より趣意」

 注・十善の国王、仏法の十善戒を修めた功徳で国王になった人。
十善とは、五戒をたもち、煩悩、業、苦の三毒を消し、きれいごと
や二枚舌をしない人で最高の人格者のこと。


 聖徳太子以降、何代かの天皇によって、法華経、金光明経、
仁王経は尊重されてきました。
それが十二世紀末、平安朝の終わりごろになると、比叡山の天台
法華宗も力をなくし、

国内は、真言宗、律宗、禅宗、念仏宗など八つの宗派に分かれて
いました。そして各派が思い思いに、
自分の宗派が釈迦の真意を伝える正統な教えである。と言い張った
ので宗派間で争いが絶えなかったのです。これを仏教雑乱時代と言
います。

仏教が乱れると、思想が乱れ、
どれが正しくて、どれが間違いであるか、分からなくなるのです。

その結果、善人は少なく、悪人ばかりが多くなって、
人心は荒廃します。
こうなると本来なら、人間を援け守る天(諸天善神)の働きがなくな
り、災害や疫病、飢饉が起きて民衆は苦しみのどん底にいる。
というような時代になったのです。

当時の事情を記録した吾妻鏡によると、飢えて死ぬ人の数が多くて
死体が処理できず、道路のあちこちにガイコツが放置されていた。
という惨状を伝えております。

つづく