田中くん、
「へーえ、ボクが自分で願って生まれてきたと言われるのですか。」
山田教授、
「そうだよ、田中くんに限らずみんな、願って今の姿で生まれてきたと、
経典にあるよ。
仏界を開き人々を救うのに一番よい立場を、自分で選んで生まれてきたの
だから、今の悩みは同じ悩みを持つ人々を救うための方便(仮の姿)なのだ。
だから使命を自覚し、使命を果たしていく内にぜんぶ、
マイナスを逆にプラスに変えていけるんだ。これをきみも知っているように、
変毒為薬というのだよ。
田中くん、
「教授のおはなしですが、自分で願ったなんて思い出しませんが、
忘れてしまったのでしょうかね。」
山田教授、
「覚えている人はほとんどいないが、
みな自分の使命を果たす目的を持って生まれているのだ。それこそ例外
なしだよ、でもそれに気づく人も少ないがね。
信仰の次元とは違うがこのあいだ面白い話を聞いたよ。
神奈川の産婦人科の先生の話だがね、自分の病院で生まれたナン百人
かのアカチャンの、生育状態を調べていて分かったそうだが、アカチャンの
中には自分の意思で生まれてきたことを覚えている子がいてね。
わたしはおおきくなったら女優になりたいの、
この両親なら私を女優にしてくれると思って、ここに生まれてきたの。
とか、
この家はいつも楽しそうな笑い声がしていたので、ここならキット幸せに
なれると思って、この家にうまれてきたの。など、
いろんな例をあげていたが、まだハッキリしないがアカチャンは偶然生まれ
て来るのではないと、その医者は言っているね。」
続く