『Self-Reference ENGINE』 円城塔 (ハヤカワ文庫 JA)
通称“黄色い本”と呼ばれるJコレクション版の文庫化。2編追加で全編を読み解く解説付き。
追加の2編は最初や最後ではなく、中間地点に投入されている。可愛い靴下がぶっきらぼうに喋り始める「07 Bobby-Socks」と、その靴下が意外な活躍を見せる「14 Comming Soon」。後者には靴下ボビーだけでなく、リタやらジェイムズやらユグドラシルやら、鍵を握る人物(?)が勢ぞろいしている。これをその名の通りに“次回予告=新刊予告”と見るべきかというのは、ちょっと無いんじゃないだろうか。
その挿入された位置は、第1部の後半、かつ第2部の前半である。第2部の最後ではない。ならば、ここで予告されている事象というのは、第2部の中で描かれるべきものである。いや、第2部で描かれなかったものである、というのが正しいのではないか。なぜなら、この物語は自己消失オートマトンである“Self-Reference ENGINE”が物語らなかった物語なのだから……。
さて、わからないのがおもしろい円城塔の作品であるが、『Self-Reference ENGINE』は比較的わかりやすい方だと思われる。
ようするに、賢くなりすぎた巨大知性体=(コンピューターなのか増補脳なのかは曖昧)が世界を演算し始め、時間と因果関係が壊れ、混乱していく。
そしてさらに、人間に観測可能な世界を演算する知性体と、その知性体が観測可能な世界を演算する超越知性体と、その超越知性体が観測可能な世界を演算する超超越知性体と……が少なくとも30段階積み重なって、いわゆる世界は存在している。
その中で、あんなことやこんなことが起こるのだが、結局、少年は少女に出会えたのか、というのが大まかなストーリーである。と解釈している。
いや、それが唯一の解釈でもないし、正解でもないんだろうけどね。
今回は再読ということもあって、読む順番を変えてみた。
この本の目次はV字型をしていて、第1部のNearsideと第2部のFarsideの各編が対応するように配置されている。
それならばということで、上から順番に横に読んでみた。
つまり、プロローグの次にエピローグ、01の次に20といった感じ。
それで何かわかったかというと、別に何も(笑)
ネタの繋がりに気付きやすくなった程度かな。読み方のせいではなく、再読のせいかも知れないのだが。
なにしろ、最初に読んだときは、リタとジェイムスが再度登場していることにも気付かなかったくらいだからな。
もしかしたら、対応する2編は、ネタ帳(円城塔にそんなものがあれば)の同じ文章からひねり出されたものなんじゃないだろうか。
「02 Box」と「19 Echo」は言わずもがな。「03 A to Z Theory」と「18 Disapper」も同じテーマを別なストーリーで書いているように思える。
いや、そんなことはまったく信じていないのだけれど。
( P, but I don't believe that P. )
通称“黄色い本”と呼ばれるJコレクション版の文庫化。2編追加で全編を読み解く解説付き。
追加の2編は最初や最後ではなく、中間地点に投入されている。可愛い靴下がぶっきらぼうに喋り始める「07 Bobby-Socks」と、その靴下が意外な活躍を見せる「14 Comming Soon」。後者には靴下ボビーだけでなく、リタやらジェイムズやらユグドラシルやら、鍵を握る人物(?)が勢ぞろいしている。これをその名の通りに“次回予告=新刊予告”と見るべきかというのは、ちょっと無いんじゃないだろうか。
その挿入された位置は、第1部の後半、かつ第2部の前半である。第2部の最後ではない。ならば、ここで予告されている事象というのは、第2部の中で描かれるべきものである。いや、第2部で描かれなかったものである、というのが正しいのではないか。なぜなら、この物語は自己消失オートマトンである“Self-Reference ENGINE”が物語らなかった物語なのだから……。
さて、わからないのがおもしろい円城塔の作品であるが、『Self-Reference ENGINE』は比較的わかりやすい方だと思われる。
ようするに、賢くなりすぎた巨大知性体=(コンピューターなのか増補脳なのかは曖昧)が世界を演算し始め、時間と因果関係が壊れ、混乱していく。
そしてさらに、人間に観測可能な世界を演算する知性体と、その知性体が観測可能な世界を演算する超越知性体と、その超越知性体が観測可能な世界を演算する超超越知性体と……が少なくとも30段階積み重なって、いわゆる世界は存在している。
その中で、あんなことやこんなことが起こるのだが、結局、少年は少女に出会えたのか、というのが大まかなストーリーである。と解釈している。
いや、それが唯一の解釈でもないし、正解でもないんだろうけどね。
今回は再読ということもあって、読む順番を変えてみた。
この本の目次はV字型をしていて、第1部のNearsideと第2部のFarsideの各編が対応するように配置されている。
それならばということで、上から順番に横に読んでみた。
つまり、プロローグの次にエピローグ、01の次に20といった感じ。
それで何かわかったかというと、別に何も(笑)
ネタの繋がりに気付きやすくなった程度かな。読み方のせいではなく、再読のせいかも知れないのだが。
なにしろ、最初に読んだときは、リタとジェイムスが再度登場していることにも気付かなかったくらいだからな。
もしかしたら、対応する2編は、ネタ帳(円城塔にそんなものがあれば)の同じ文章からひねり出されたものなんじゃないだろうか。
「02 Box」と「19 Echo」は言わずもがな。「03 A to Z Theory」と「18 Disapper」も同じテーマを別なストーリーで書いているように思える。
いや、そんなことはまったく信じていないのだけれど。
( P, but I don't believe that P. )