神なる冬

カミナルフユはマヤの遺跡
コンサドーレサポーターなSFファンのブログ(謎)

[SF] NOVA2

2010-07-13 23:27:54 | SF
『NOVA2』 大森望 責任編集 (河出書房新社)




大森望さん責任編集。最近流行りのアンソロジーSF総本山といったところ。SFではこれと創元の年間SF傑作選が両巨頭。SFマガジンセレクションも復活しないものか。

ところで、NOVA2イベント(@立川オリオン書房)で耳にした話によれば、一般小説のアンソロジー『Story Seller』は『NOVA』の10倍売れてるらしい。東浩紀はどうしてそっちに書かなかったんだろうと、しきりに残念がっていたが、SF小説なんてそんなもんだろう。河出だし(笑)

今回のNOVAは“ジャンルを超えた豪華メンバー12人”というだけあって、かなり雑多な感じ。SFからファンタジーからすこしふしぎから奇妙な味から、まさにアンソロジーって感じ。非SF者向けのショーケースとしては悪くないんだろうけど、SF者にはちょっと喰い足りない気がした。

NOVAは今後6まで出版確定だそうで。めでたいことだ。

12月刊行予定の『NOVA3』の方は、もっと濃いメンバーになりそうなので、SFファンとしてはそっちの方に期待大。




○「かくも無数の悲鳴」 神林長平
  メタ不確定性原理SF。苦笑、失笑の嵐を巻き起こすお笑いSF。
  神林には、あの足元が揺らぐようなSFを期待したいんだけど……。
  
△「レンズマンの子供」 小路幸也
  ああ、昔よくやったよ、廃屋工場探検にレンズマンごっこ。
  って言いたいけど、あんまりやってない。捻くれた良い子だったもので(笑)
  
◎「バベルの牢獄」 法月綸太郎
  なんじゃこれ、と思って読み進めていって、最後にワロタ。
  ページ重ねて、透かして見たりとか。
  
-「夕暮にゆうくりなき声満ちて風」 倉田タカシ
  すみません。結局、読めてません。3次元トーラス、何回ひねりとか。
  端のほうの重複部分のせいで、かえって繋がり先が探しずらかったです。

◎「東京の日記」 恩田陸
  想像力を無性に書き立てる日記風の、もうひとつの東京描写。
  何もオチは無いのだけれど、いったい何が起こっているのだろうかと惹き込まれてしまう。
  咲き誇る桜の上に落ちてくる鳩のシーンが怖すぎる。

○「てのひら宇宙譚」 田辺青蛙
  円城塔の結婚相手ってこの人なのか。言われてみれば、波長が合いそうな。

△「衝突」 曽根圭介
  冒頭からスピルバーグの『衝突』かと思いきや、まったく別な話。
  人間扱いされない人ってのはいつの世もいるものですが、自分も蜘蛛が嫌いなので、そうなのかも、とか。

○「クリュセの魚」 東浩紀
  ネルガルでアキトでボソン・ジャンプしてナデシコかよ!
  とか思ったら、アキトじゃなくて明仁様かよ!

◎「マトリカレント」 新城カズマ
  壷って、パンドラのアレでいいのか?
  《あたらしいもの》シリーズって言われてなければ、“海に住む人”の意味を取り違えたかも。
  海底ケーブルのうなる響きってあたりがポイントですかね。
  そんな意味を知らなくても、海の中の美しさと、地上の国境にこだわる滑稽さとの対比が趣深い。
  いや、意味がわかると、もっと趣深いわけだけれど。
  
○「五色の舟」 津原泰水
  津原作品はどうも納得のいかない設定やスジが多いのだけれど、これは普通に受け入れられる。
  SFネタがセオリーどおりということか。
  しかし、ここで描かれたフリークスたちの悲しさと自負はハッピーエンドなのにズドンと重い読後感をもたらす。
  
○「聖痕」 宮部みゆき
  パーマーエルドリッチ?
  さすがの筆力に感服するんだけど、ネタとしてはヒネリが足りないと思う。
  
△「行列(プロセッション)」 西崎憲
  午後の恐竜?
  なんだかよくわからなかった。



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