『PSYCHO-PASS サイコパス/0 名前のない怪物』 高羽彩 (角川文庫)
アニメ『PSYCHO-PASS』のスピンアウト小説。同内容のドラマCDもあるが、どうやら小説の方が先に発表された模様。
『PSYCHO-PASS』そのままのノベライズの方ではあまり感じなかったのだけれど、どうにも文章が稚拙に思える。感情表現とかが直接的(もしくは教科書的)で、書き馴れていない感じがありありと。それでも、こっちの方がマシという感想も読むので、ノベライズの方はアニメを見た記憶により補正されているのかも。
こっちも、ドラマCDを聞いてから読むと気にならないのかもしれない。会話文はそれなりにうまいと思うし。
そういう文章の問題よりも気になるのが、果たしてこの小説はアニメのプロットに、足りないピースとしてちゃんとハマるのかということ。
狡噛と佐々山は、本編では親友だったような描かれ方をしているが、この小説だと、二人が理解しあって間もなく佐々山は殉死したように思える。二人の関係性を描こうとしすぎて、時間経過がおかしくなっていないか。
藤間幸三郎の件もそうで、事件がそんなに前の話なのであれば、そのとき槙島はいったい何歳だったのか。狡噛と槙島は同年代に見えたけど、槙島って若作りなジジイなわけ?
また、本編ではチェ・グソンや泉宮寺といった協力者の存在があり、槙島の犯行に係わっていたことがわかるが、標本事件の薬剤はいったいどこから出てきたのか。しかも、その薬剤は標本事件発覚の何年も前、藤間が少年時代に藤間の手に渡っていたということは、槙島の活動はそれ以前から始まっていたことになるが、これも時間経過がおかしいような気がする。
そんなこんなで、いまいち乗れない小説だったよ。
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