第1回ハヤカワSFコンテストの最終選考作品。大賞の『みずは無間』に続いて、続々と刊行中。
内容は首のない胴体と、手のひらに穴の開いた少年が、無数のパラレルワールドをひとつに束ねる話。……だと思うんだけど、正直言ってよくわからんかった。
SFというよりはファンタジー。さもなくば、幻想小説。日本ファンタジーノベル大賞が休止になっていなければ、そっちに応募されてういたのかもという作風。
おもしろいのは、ハヤカワ・オンラインでもジャンルが空欄(2/14現在)になっていること。なので、SFで検索しても出てこない。スタッフの怠慢でなければ、早川書房ですらジャンルを分類することができなかったということなのか。
個人的には、ファンタジーであっても理屈で解釈できる、いわば“腑に落ちる”作品が好きで、不条理物はどうしても脳味噌が受け付けない。この作品は不条理とまではいかないが、いろんなことに理屈がくっついていない(少なくとも作品中では)ので、正直言って読了後にポカンとしてしまった。
変拍子の手拍子とか、穴の向こうに見える青空とか、夜空を文字通り切り裂くホームランボールとか、印象的なシーンはあるのだけれど、なにぶん、何がどうなっているのか理解不能で頭の中に疑問符が深く降り積もった感じだった。しかも、積もっただけで解けやしない。
そうは言っても、日本SFはそういう「すこしふしぎ」な作品が昔から多かった(というか、その手の小説の受け皿がSFしかなかった)ので、いまさらどうということは無いのだけれど。
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