『MM9 ─invasion─』 山本弘 (東京創元社)
MM9と言えば、大震災をどうしても思い出してしまうのだが、MM9自体は2005年に発表された小説で、このとき、地震や台風などの自然災害を怪獣というアナロジーではなく本物の怪獣として表現するというアイディアに脱帽したものだ。
そして、今回。舞台は2012年の3月、つくば。3月という表記をみただけで、ちょっとどきどきしたが、Webミステリーズ!での連載は2011年2月までなので、311当時はすでに連載を終えていたことになる。事実は小説に追いつき、さらにこれを凌駕したか。
それはさておき、前作では科特隊ならぬ、気特対(気象庁災害対策部気象庁特異生物対策部)が怪獣退治に大活躍だったが、今作ではついにウルトラマンならぬ、ウルトラ少女が登場する。
前作の怪獣、巨大幼女が成長した巨大少女がウガウガ叫びながら赤ビキニを着ての登場だ。敵は地球侵略をもくろむ異星人。と思いきや、黒幕は地球を科学世界から神話世界へ取り戻そうとたくらむ天狗やら河童やら。
ウルトラマンといえば、ハル・クレメントの『20億の針』にインスパイアされ、地球人ハヤタに光の国からやってきたウルトラマンが憑依一心同体となって活躍する物語だが、MM9でもこれを踏襲し、巨大少女に正義の異星人が間借りするという設定。しかも、必殺技は八つ裂き光輪。赤ビキニだって、ウルトラマンの身体の模様に見えてくる(笑)
もともと神話世界の産物であるヒメを再利用することによって、巨大化や必殺技といった科学的に嘘くさいものを合理化してしまうという力技。これは科学世界と神話世界のせめぎ合いの中で、「こちら」の側にウルトラマンを登場させるには、これしかないという解決案である。おバカな設定の割りに、細かいところまで、理屈が考えられた小説だ。
読めば読むほど完全なウルトラマンパロディで、げらげら笑い転げながら読んだ。正直言って、311後に災害小説をこれだけ笑いながら読めるとは思ってみなかったくらいだ。
この後はウルトラ兄弟のように巨大少女が増殖して、AKB48になるくらいまで書いてもらえると嬉しい。しかし、もっとまじめに言うと、311をどのように消化するかということは災害小説としては避けられないテーマだと思うので、その点でも注目したい。
MM9と言えば、大震災をどうしても思い出してしまうのだが、MM9自体は2005年に発表された小説で、このとき、地震や台風などの自然災害を怪獣というアナロジーではなく本物の怪獣として表現するというアイディアに脱帽したものだ。
そして、今回。舞台は2012年の3月、つくば。3月という表記をみただけで、ちょっとどきどきしたが、Webミステリーズ!での連載は2011年2月までなので、311当時はすでに連載を終えていたことになる。事実は小説に追いつき、さらにこれを凌駕したか。
それはさておき、前作では科特隊ならぬ、気特対(
前作の怪獣、巨大幼女が成長した巨大少女がウガウガ叫びながら赤ビキニを着ての登場だ。敵は地球侵略をもくろむ異星人。と思いきや、黒幕は地球を科学世界から神話世界へ取り戻そうとたくらむ天狗やら河童やら。
ウルトラマンといえば、ハル・クレメントの『20億の針』にインスパイアされ、地球人ハヤタに光の国からやってきたウルトラマンが
もともと神話世界の産物であるヒメを再利用することによって、巨大化や必殺技といった科学的に嘘くさいものを合理化してしまうという力技。これは科学世界と神話世界のせめぎ合いの中で、「こちら」の側にウルトラマンを登場させるには、これしかないという解決案である。おバカな設定の割りに、細かいところまで、理屈が考えられた小説だ。
読めば読むほど完全なウルトラマンパロディで、げらげら笑い転げながら読んだ。正直言って、311後に災害小説をこれだけ笑いながら読めるとは思ってみなかったくらいだ。
この後はウルトラ兄弟のように巨大少女が増殖して、AKB48になるくらいまで書いてもらえると嬉しい。しかし、もっとまじめに言うと、311をどのように消化するかということは災害小説としては避けられないテーマだと思うので、その点でも注目したい。
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