神なる冬

カミナルフユはマヤの遺跡
コンサドーレサポーターなSFファンのブログ(謎)

[SF] SFマガジン2012年7月号

2012-06-09 17:51:34 | SF
『S-Fマガジン 2012年7月号』 (早川書房)




特集「スチームパンク・レボリューション」。

最近はやりの“ネオ・スチームパンク”というのは、かつての“スチームパンク”とは違うのだそうだ。「かつての」というのは、パワーズ、ブレイロック、ジーターといったあたりのことを指すようで。

たしかに、俺もあの辺はそんなに乗れなかったんだよね。だけど、ギブスン&スターリングの『ディファレンス・エンジン』や、山田正紀の『エイダ』なんかは、格好良くて、ちょっと不思議な感じがして好きだった。

そんな中、インタビュー記事では「スチームパンクはファッション」とか、「新しい神話」なんていう発言が出てきて、なるほどと思った。スチームパンクは確かにSFのサブジャンルから始まったが、それを形式付けるものは、SF的テーマでもなんでもなくって、ビクトリア朝的なファッションだったり、バベッジやバイロンといったキャラクターだったりするのだ。

そういう意味では、19世紀的なファッションや、ゴテゴテした作りの蒸気機関は俺も大好きだったりする。やっぱり、未来的な継ぎ目のない流線型よりも、ボルトやリベットが見えるメカメカしい感じの方が燃えるぜ。

しかし、そういう部分は視覚的なものなので、挿絵付きのラノベや、コミック、映画といった分野の方が親和性は高いのかもしれない。確かに、俺も映画の『三銃士』を観たときに、スチームパンクじゃんと思ったし。

ただ、特集として収録されている読み切り短編小説はどれも今一つな感じ。やっぱり、ファッションだったり雰囲気だったり世界観だったりを楽しむためのエンターテイメントなので、短編小説という手法ではそれらが伝わり切らない部分があるような気がする。

ビジュアルだとひと目で伝わる部分が伝わり切らない難しさというのを例示してくれる分野であるわけだな。




○「マッドサイエンティストの娘たち」 シオドラ・ゴス
 フランケンシュタイン、モロー、ラパチーニ、ジキル、ハイド、レイモンド。タイトル通り、ゴシック小説に登場するマッドサイエンティストの娘たちが集まったらという小説。スチームパンクの登場人物がギリシャ神話のように固定キャラクターで描かれるという部分の好例。短編としては一発ネタ的だが、シリーズ化するとそれなりに面白いかも。

△「リラクタンス -寄せ集めの町」 シェリー・プリースト
 長編の中の一エピソードといった感じ。『ボーンシェイカー』がシアトルの一画という限られた地域であるのに対し、それが南部にまで広まっているという設定なのか。それがわからないと、怖さも伝わらない。

○「銀色の雲」 ティム・プラット
 これも長編の一部分といった感じ。銀で縁取られた雲というのは童話的でおもしろいし、その銀を取り過ぎたら雲が無くなって砂漠化するというのも寓意的でおもしろい。

△「ぜんまい仕掛けの妖精たち」 キャット・ランボー
雰囲気だけの作品なのか、深い意味があるのか、いまひとつよくわからない感じ。

△「河を下る旅」 ロバート・F・ヤング
なぜか特集外で収録されているヤングの作品。まぁそれなりのヤング(笑)

△「ストーカー・メモランダム」 ラヴィ・ティドハー
主人公の名前が一発ネタになっている。なんだかいろいろおかしな世界。ネオ・スチームパンクというより、ラブクラフト系?

△「奇跡の時代、驚異の時代」 アリエット・ドボダール
電車の中でぬぼーっとして読んだので、さっぱり意味が分からなかった。


[コンサ] 2012 ヤマザキナビスコカップ Bグループ 神戸 vs 札幌

2012-06-09 16:55:43 | コンサ
2012 ヤマザキナビスコカップ Bグループ ヴィッセル神戸 2-2 コンサドーレ札幌@スカパー


すでに予選敗退が決まったチーム同士の完全消化試合。しかし、両チームとも敗戦続きで何かを変えたいところ。

そんな中、前節に続いて札幌はいきなりの2失点。

1点目は榊がペナルティエリア内で相手選手に足をひっかけられて、PKを与えてしまう。

この1点目でまったく動けなくなるDF陣。ゴール前に張り付いてプレスもかけられず、相手ボールを見送るだけ。

2点目は低いDFラインの前からフリーで上げられたボールを、ゴール目の前でつながれて失点。あの位置で誰もプレッシャーをかけに行かなければ、そりゃいいボールも入るだろうさ。

これで前節と同様に一方的な展開になるかと思いきや、そこは若梟ががんばった。

PKを取られた榊が一気にDF裏に抜け出してシュート、キーパーがはじいたボールをさらに胸トラップからボレーシュート。ちょっと当たり損ねだったが、これが返って絶妙な感じのループになってキーパーの頭上を越えてゴール。

このプレーに引っ張られるかのように、札幌の選手たちが息を吹き返す。

その直後には、杉山からのパスをもらった岡本が神戸ゴール前まで独走。そこからパスを出すかと思いきや、意表を突いてそのままシュート。これが決まって、あっさり同点。

そこからはほぼ互角の展開。

後半は湿度77%の過酷さの中で両チームに足の攣る選手が出て来るが、カウンターの打ち合いでお互いにチャンスを作る。しかし、追加点なく、結局2-2で引き分け。


怪我人が多く、ベストメンバーどころか、ポジションによっては選手がいなくなるくらいの中、山本が先発復帰、さらに18歳の小山内貴哉が初先発。山本は当初からの予定通りに途中交代。しかし、小山内は90分間やり遂げた。これは朗報。小山内はちょっと判断が遅かったり、セルフジャッジでチャンスをつぶしたりしていたが、その辺はこれからの成長を待ちたい。

しかし、なんと練習中に奈良が怪我したとかで、先発発表だったのに急遽、櫛引に交代。まだ札幌に呪いは続いているのか。


今日の試合は、前節同様にズルズルといきそうだったところを、流れを引き戻した榊翔太のゴールに尽きる。やっぱり、ここ数試合の不甲斐無さは自信喪失というメンタル面の問題だったのだろうか。フレッシュな選手が夢中で頑張れば、中堅やベテランもそれに釣られてアゲアゲで行けるのかもしれない。

まだ調子を盛り返したとまではいかないまでも、悪い流れは今日の試合で終わったと思いたい。

来週はJ1再開。相手は首位の仙台。って、えー仙台首位なのかよ。かつてのライバルはみんな遠いところに行ってしまうな……。