神なる冬

カミナルフユはマヤの遺跡
コンサドーレサポーターなSFファンのブログ(謎)

[SF] ここがウィネトカなら、きみはジュディ

2010-10-31 22:27:41 | SF
『時間SF傑作選 ここがウィネトカなら、きみはジュディ』 大森望(編) (ハヤカワ文庫 SF)




時間SFと言えば、タイムパトロールだろ、JK。なんてことをつぶやいてみても、世間的に時間SFといえば、スキップでループでエマンノンで飛ぶ夢をしばらく見ないらしい。

たしかに、タイムパラドックスの絡んだ時間を超える恋愛物語というのは、知的パズルであると同時に究極のロマンチックで、それはそれは美しいものではあるけれど、時間SFってそれだけだっけ?

やっぱりマッドな時間超越理論と、奇想天外な歴史的発見と、それを無かったことにしようとするタイムパトロールと、すべてをつなげる神の見えざる手(違)が出てくる時間SFが入っていないと物足りなくないか。

マッドな時間ネタ短編はあるけど、あんまりマッド過ぎて俺的に時間SFじゃないし、それ。

宇宙開発SF傑作選は抒情的なところが良いと言ってみたり、時間SF傑作選は抒情的すぎてダメと言ってみたり、俺も軸が定まらんなぁと思いつつも、タイムパラドックス系の恋愛モノはとっくに亞北ネル。



「商人と錬金術師の門」 テッド・チャン
再読だけど、以前からあんまり好きじゃないんだよね、この話。できすぎというか、なんというか。ああ、そうさ。心の貧しい人間で悪かったな。

「限りなき夏」 クリストファー・プリースト
これも再読。美しさというよりは、無常観を感じる。

「彼らの生涯の最愛の時」 イアン・ワトスン&ロベルト・クアリア
セックスシーンを抜いたら、まるっきりエマノン(c)梶尾真治だと思うんですけど。

「去りにし日々の光」 ボブ・ショウ
なんだか読んだことがあるような気がするんだけど、何で読んだんだっけ。あんまり新鮮味が感じられない。

「時の鳥」 ジョージ・アレック・エフィンジャー
バカSF。でも、これは俺的タイムトラベルじゃない。時間なんて、どこにも無い。

「世界の終わりを見にいったとき」 ロバート・シルヴァーバーグ
これもバカSFだが、背筋が寒くなる。遙か遠くで不確かな未来と、今そこにある危機。

「昨日は月曜日だった」 シオドア・スタージョン
筒井康隆かよ! 初出はこっちの方が古いけど。

「旅人の憩い」 ディヴィッド・I・マッスン
これは確かに想像を超えた世界。

「いまひとたびの」 H・ビーム・パイパー
あっさりうまく行き過ぎる。

「12:01 PM」 リチャード・A・ルポフ
これも、だから…って感じだけど。

「しばし天の祝福より遠ざかり……」 ソムトウ・スチャリトクル
こっちのループの方がいろいろ考えさせられる。

「夕方、はやく」 イアン・ワトスン
これ、ラストシーンは進化の速度が変わっているという解釈でいいのか、よくわからん。

「ここがウィネトカなら、きみはジュディ」 F・M・バズビイ
これこそ亞北ネル。



面白かったのはシルヴァーバーグ、マッスン、スチャリトクルくらい。どこかで読んだような話しばっかりと思うのは、おれがすれっからしのSF読みだからなんだろうか。


[SF] 不動カリンは一切動ぜず

2010-10-31 21:27:48 | SF
『不動カリンは一切動ぜず』 森田季節 (ハヤカワ文庫 JA)




すべての子供が人工授精によって生まれる社会とか、掌に取り付けたセンサ同士の接触による思考の交換とか、それらのノードによる監視社会とか、変な名前の二人の少女とか、どことなく伊藤計劃を彷彿せざるを得ない小説。

話の筋は二つあって、未来社会の思弁的部分と、宗教に取り込まれた家族の物語部分。前半はSF色が強い社会の話が中心となるが、後半はオカルトバトルな家族の話へと行き着く。そのあたりが、好みが分かれるところだろうとは思うが、おおむね好印象で一気に読み切れる秀作。

HIVをさらに強烈にしたようなHRVにより、性交した男女、もしくは男男、女女はぶよぶよした不定形の存在へと変わってしまう。これは蛭子→昼子→光の子というところにつながっているんだろうとは思うのだが、ちょっとつながりが弱く、回収しきれない伏線になってしまっているか。

禁じられた性交という行為は、遺伝子がほぼ同じ同士、つまり近親相姦では可能というところから、おぞましい展開が待っているわけだが、それも前半のみで後半はどこへやら。

男でも妊娠可能とか(これが上記の近親相姦強姦DVの強い動機となるわけだし)、性交の否定による新たな家族関係とか、児童虐待とか、ジェンダーフリーとか、言語発達の遅れた児童とか、宗教の二面性とか、深く突っ込んでいけば面白い話がいくつもちりばめられているにも関わらず、すべては不動明王と合一すればおめでとうといった結末に読めないこともなく、ちょっと不満に思う。

家族愛やら百合愛やらで、「愛することってどういうこと?」という素朴でストレートな疑問を持ってくるあたりも、気恥ずかしくも魅力的ではあるのだが、ライトノベルレーベルではなく、ハヤカワ文庫としては、どうも突っ込みが足りなくて物足りない。

既存のカルト系宗教を皮肉ったり、ハルヒが将来的に宗教レベルにまで格上げされるだろうと外挿したりするあたりも非常に興味深いし、日本が誇る八百万の神々にすべての個別の宗教が取り込まれ阿呆っぽいカオスに突入するのは痛快でさえある。その裏側に、カオスを抱え込んだ人間の悲劇がそもそもの発端にあったりするんだけど。

SF読者から見るといまひとつ未消化な感じは否めないが、いろいろと面白くなりそうな要素を持った作家さんだと思うので、今後も読んでみたい。特に、テーマを絞って深く、なおかつ尖った作品を期待したい。←上から目線すぎw



10月30日(土)のつぶやき

2010-10-31 03:14:04 | つぶやき
09:42 from Tween
朝っぱらから不動産オーナー年金の勧誘なう。実家に職場のどうのこうのでかかってきた電話というのはこれかw おそらく、入社時の名簿がどこかに流れていたのではないか。そりゃ、会社名出されて昔同僚だったと言われれば、親も連絡先教えちゃうよな。
09:49 from Tween
ほう、東京緑は八王子なのか。スタジアムも八王子か、せめて立川あたりに出来れば、FC東京との住み分けも出来そうだが。稲城でも川崎でもできなかった地域密着型の活動がどこまでやれるかが鍵になるんだろう。
09:52 from Tween
なんか、朝から大田光の声が聞こえるので、日曜日かと錯覚するぅ。
11:10 from 読書メーター
【ダーウィンの子供たち 上 (ヴィレッジブックス F ヘ 3-3)】第1部の終わり方に驚愕。そして続く。 http://book.akahoshitakuya.com/cmt/8234492 #bookmeter
11:15 from 読書メーター
【ダーウィンの子供たち 下 (ヴィレッジブックス F ヘ 3-4)】進化に揺れる社会と家族の物語。抱き合って火砕流に呑まれたネアンデルタール人とホモサピエンスの... http://book.akahoshitakuya.com/cmt/8234500 #bookmeter
11:18 from 読書メーター
【機忍兵零牙 (ハヤカワ文庫JA)】を読んでる本に追加 http://book.akahoshitakuya.com/b/4150310130 #bookmeter
16:32 from Tween
昼寝から起きた。TVつけた。misonoかと思ったら若槻だった。
21:57 from Tween
あ゛!帰省の飛行機取るの忘れてた! と思ってweb見たら、29、30はAirDoもう満席じゃん。12/25から連休にしてもいいべか。
by kats_takami on Twitter