神なる冬

カミナルフユはマヤの遺跡
コンサドーレサポーターなSFファンのブログ(謎)

シロナガスクジラは宇宙船(大哺乳類展 海のなかまたち)

2010-08-10 21:16:55 | Weblog
久しぶりに上野の科学博物館へ行ってきた。現在のイベントは「大哺乳類展 海のなかまたち」。春に開催された「陸のなかまたち」の続編。

「陸のなかまたち」は見ていないので雰囲気もわからず、ショコタンの「飛び出せ! 科学くん」がキャラクターに使われていることも知らなかった。それでも、今回目玉のシロナガスクジラの全身骨格を目指してずいずいと。


開場時刻(朝9時)から少し過ぎた9時半に入ったのだが、ものすごい大盛況だった。入り口で詰まって進めないくらい。いつものように500円はらって音声ガイド使用。この解説、全部ショコタンとココリコ田中なのかと思ったら、最初と最後とクイズだけだったであるよ。

目に付いたのは、ひたすらメモってる小学生低学年。学校の自由研究か何かなのか。展示ケースの上でメモを取って、係員の人に注意される子供が複数。さらに目に付いたのが、興味なさそうな幼児に無理やり骨を見せようとする親とか。その頃だと、まだ意味がわかって無いんじゃないか。

そんなこんなで、ようするに子供だらけ。さすが夏休みですな。

記憶に残ったのは、なんといってもシロナガスクジラの頭骨。F1カーのノーズか、宇宙船の一部かといった感じ。本当にSFチック。この写真なんて、言われなければクジラの頭骨とは思えないでしょう。この角度からだと、なんだか巨大な昆虫の顔に見えてくる。いやー、これもある意味、文字の無いSFですな(笑)

クジラの頭骨は何種類も展示されていたが、面白いと思ったのは、頭部の巨大なマッコウクジラも、扁平なザトウクジラも、頭骨の形はほとんど同じということ。下顎の骨は種によって随分違うと思ったが、上顎というか、上部の骨は細長くて扁平で、あまり変化が無い。マッコウの頭部は脳油が詰まってるというのは知識として知っていたが、あそこって本当に骨が無いんだと驚いた。

で、そのふくらみを“メロン”というのがまたなんともおかしい。いったい、誰が名付けたものやら。

もうひとつ、今回知ったのだが、クジラ類は臭覚が無いそうだ。特に歯クジラ類では完全に退化していると言われている。ということは、シャチが血の匂いを嗅ぎつけることは無いんだな。ひとつ利口になった。

他にも、意味不明な歯を持つオウギハクジラとか、竜涎香のホンモノとか、いまだに海岸に流れ着いたクジラの死体が新種だったりするとか。

でも、今回の展示はちょっと優等生過ぎるというか、まじめに展示しましたという感じが強くて、テーマ性やメッセージ性が薄かった気がする。「クジラでかい! ゴマちゃんかわいい!」だけで終わらずに、自然保護と水産業の関係(鯨漁だけでなく、海獣類による水産被害とかも含め)とか、絶滅種の展示などで、問題意識的な興味を持ってもらうことができたらよかったんじゃないか。そんな中では、ストランディング(座礁)研究のコーナーがあったのは良かったかも。後は海岸で拾ってきたゴミで作った人形とか。あのあたりをもう少し、効果的に、悪く言えばショッキングに見せても良かったんじゃないかと思う。


で、毎回恒例のガチャガチャは、海生哺乳類図鑑。シャチ骨格、ジュゴンの授乳、そして、シークレットのスナメリが出た! ついでにカプセルミュージアムはヤンバルテナガコガネ。化石ガチャは巻貝化石ツリテラ。「ジュゴン 授乳」はなぜか「ナガスクジラ 採餌」の台座が入っていてミスマッチ(泣)


[SF] プロテウス・オペレーション

2010-08-10 20:32:17 | SF
『プロテウス・オペレーション』 ジェイムズ・P・ホーガン (ハヤカワ文庫SF)




東浩紀の『クォンタム・ファミリーズ』や、村上春樹の『1Q84』など、量子SF、時間SFが流行りなので、ということで上下巻から1冊にまとまって新装復刊されたこの本。期せずして急逝した著者、J・P・ホーガンの追悼本になってしまった。

しかも、訳者はやはり今年亡くなった小隅黎(柴野拓美)さん。実はSF大会中に読んでいた本でして、オープニングでも、クロージングでも泣けましたなぁ。

さて、感想なんですが、第二次世界大戦のヨーロッパ戦線は断片的な知識しかないので、どこまでが我々の歴史と重なっているのかが良くわかりません。このあたりがちゃんとわかっているのだと、もっとスリリングに読めたのだろうに。

それでも、実在の科学者や小説家の名前が出てくるたびにクスクス笑いを引き起こすようなくすぐりが満載で、著者も楽しみながら書いたんだろうなというように思える。

時間移動の仕組みはまったく意味不明だが、これが過去と未来に螺旋を描きつつ、無数の世界に発散していくイメージは、ある意味、美しくも哀しい。まさしく、美しくて格好良くて哀しいのがSFなのだ。

そして、それが明らかになったときの主人公たちの反応も格好よすぎる。

『星を継ぐもの』でサイコーにすばらしいのは、月面で発見された謎の死体から始まるミステリではなく、ダンチェッカー教授の演説であると思っている。あれほど、科学が持つ未来への希望を表した演説は他にない。

『プロテウス・オペレーション』においても、やはり登場人物のひとりであるウィンスレイドの言葉がすばらしい。

「すべての世界を変えられないなら一つの世界をいい方向へ変えようとするのは無意味だというのかね?」

まぁ、「エゴだよ、それは!」という反論は当然あるんだろうけれど、この言葉から始まる宣言は、世界を少しでもいい方向へ変えようとしている人々への大きなエールとなるだろう。そして、この複雑でスリリングでご都合主義な物語は、すべてこの言葉を語るためにあったのだと言い切っても良いだろう。

ホーガンは晩年にトンデモ系へ走ってしまったといわれているが、科学が拓く未来へのポジティブな信頼感という面では変わらない。核の軍事利用やバイオハザードの恐怖に怯えるのではなく、より良い未来を作るための科学であるのだというこの意志を、我々SFファンも持ち続けていかなければいけないんじゃないかと思うのです。


8月9日(月)のつぶやき

2010-08-10 00:34:43 | つぶやき
01:17 from Tween
なんとか二日分のブログを書いた。密度が濃い二日間だったので、すでに初日の方から記憶が崩壊している気分。
09:10 from Tween
2chの星雲賞スレに書こうと思ったら、また規制中か。《グインサーガ》の授賞タイミングについてゴタゴタ言っている人は星雲賞の規約を読み直すように。連載や刊行が続いていると、ノミネート対象にはならない。したがって、栗本氏が死去した次の年にノミネートされるのは、ある意味決定事項。
10:09 from Tween
今日は洗濯の日。1回目終了。2回目投入。第3の洗濯は……って、何十年前のネタだ。
23:03 from Tween
やっと北九州戦が見られる。@すかぱー。
by kats_takami on Twitter