拝啓、世界の路上から

ギター片手に世界を旅するミュージシャン&映画監督のブログ(現在の訪問国:104ヶ国)

セッション6/カズさんのパート「発想転換」

2012-01-15 | ニッポンジン!



シンジへ。

お疲れ~、カズです。

相変わらずトラブル続きだねえ。


トラブルが続くと本当にへこむよな。オレもこれまで旅でトラブルが重なって「本当やってられねえ!!!」って泣きたくなったことが何度もあるよ。

でもシンジ。トラブルの中には、良いトラブルと悪いトラブルがあるって知ってるか?


そうそう、トラブルと言えば、オレがアフリカのタンザニアを旅していた時のこと。


タンザニアのザンジバルという島のビーチに、日本人のオーナーが経営するバンガローがあって、アフリカを旅する日本人達が集う日本人宿になっているんだ。

東アフリカを旅している中で、マラリアっぽい症状が出ていたのと、ザンジバルはオレがリスペクトしている、元クイーンのフレディー・マーキュリーの故郷ということもあって、オレはそのザンジバル島のバンガローにしばらく滞在し、安静にしていたのだけれど(結局原因は抗マラリア薬の副作用だったのだけれど)、そこで出会った日本人の旅人に、ジンバブエのハラレのアフリカンミュージックが良いらしいと聞き、体調も戻ってきていたから、ぜひ行ってみることにしたんだ。


ハラレ行きのチケットを電話で手配してもらい、ザンジバルからタンザニアの首都ダルエスサラームまで船で移動して、そこから飛行機で飛ぶことになったのだけれど、予約したフライトの前日に、そのオーナーが船着場のあるストーン・タウンまで用事があって車で移動するというので、自分もそのオーナーの車にご一緒させてもらうことにしたんだ。


でも当日、人通りの少ないサトウキビ畑のあぜ道で、突然車が故障して動かなくなり、他の車が通りがかるのを1時間以上待つことになってしまったんだ。


そしてやっと車が通りかかり、オーナーの知り合いの青年海外協力隊の技術者がいる修理工場まで、その車を運転していたアフリカ人に頼んで、ヒッチハイクで移動したんだ。

その後、その協力隊員と一緒に、車が故障している場所までレッカー車で戻って、車を工場まで運び、状態を見てもらったのだけど、エンジンの故障だからすぐには直らないと言われ、結局車を預けて、さらにヒッチハイクで車を乗り継いでストーンタウンに到着したのは夜。

もうその時には、ジンバブエ行きのフライトに間に合う為に、オレが乗らなくてはいけなかった、その日の最終の船が出た後だったんだ。


当初の予定では、翌日ジンバブエのハラレに飛び、そこでアフリカン・ミュージックを聴いた後、ジンバブエとザンビアの国境沿いにある、世界三大瀑布の1つビクトリアフォールズや、チョベ国立公園のあるボツワナへ行こうと思っていたのだけれど、この車のトラブルで、翌週のハラレ行きのフライトまで、待たなくてはいけなくなったんだよ。

でも実はその数日後、巨大なサイクロン(インド洋の台風)がジンバブエとモザンビークを襲い、日本のニュースでも報道される位、両国で多くの人達が死傷した、歴史気的な大災害が起こったんだ。


車が故障した時には、なんてオレはついてないんだろうって思ったけれど、もしあのままジンバブエに飛んでいたら、命に関わるような大変な目にあっていた可能性があり、ある意味すごくラッキーだったかもしれない。

その時ジンバブエに行けなかった代わりに、ダルエスサラームで会った人から「ミュージシャンなら西アフリカへ行ってみたら?」と言われ、オレはその後セネガルやマリを旅して、そこですごく貴重な経験をすることができたんだ。


西アフリカの話は長くなるから、また別の機会にでもするけど、本当に何がラッキーか、アンラッキーかは、長い目でみたらわからないなって、その時しみじみと思ったよ。


でも縁があればいつかそこへたどり着くことができるもので、その数年後に、ちゃんとビクトリアフォールズも、チョベ国立公園も訪れることが出来たんだ。

しかもチョベ国立公園は5~9月の乾季になると、チョベ川の水を求めて約6万頭もの象が集まる、世界最大の象の生息地で、数年後の日本のゴールデンウィークの5月に、何の予備知識もなく偶然ベストシーズンに訪れ、1日に数千頭を超える象の大群に出会うという、一生忘れられない程の感動的な体験をしたんだよ。
(ちなみにザンジバル島のエピソードは、2月の雨季の時期だった)


人間生きていると、"ついてないな"って思うことがよくあるけれど、それがついているか、ついていないかは、大きな視点でみると、またちょっと違っていたりすることがよくあるんだよ。

シンジも今回のトラブルはしんどかったと思うけれど、飛行機や電車が遅れたって、命をとられる訳じゃないからさ。


今おこっているトラブルは、ひょっとしたら自分にとって実はラッキーな、"良いトラブル”なのかもしれないって思うと、ちょっとワクワクしてきたりするんだよ。

もちろん命に危険が及ぶトラブルは、明らかに悪いトラブルだと思うけれど、命が無事なら、本当にそのトラブルが良いか、悪いかなんて、ずっと後になってみないとわからなかったりするものだからさ。


発想転換だよ!シンジ。



P.S.
写真はボツワナで象の大群に出会った時の1枚だよ。

この時は十頭から百頭を超える群れに次々と出くわし、1日で数千頭の象に出会ったんだ。

これまでケニアやタンザニア、南アフリカで、いわゆるサファリを体験したことがあるけれど、普通は1日車で走り回って、10頭位の象に出会えるかどうかなんだぜ。


日本を1歩出ると、予定通りにいかないのが当たり前。

仕事はそれでは困るのかもしれないけど、例え予定通りいかなくても、毎日この地球はちゃんと回っているのだから。


ちょっと位のトラブルを楽しめるようになると、きっと今見えている景色と違う世界が、見えてくるかもしれないぜ。



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