シンジへ。
お疲れ~、カズです。
相変わらずトラブル続きだねえ。
トラブルが続くと本当にへこむよな。オレもこれまで旅でトラブルが重なって「本当やってられねえ!!!」って泣きたくなったことが何度もあるよ。
でもシンジ。トラブルの中には、良いトラブルと悪いトラブルがあるって知ってるか?
そうそう、トラブルと言えば、オレがアフリカのタンザニアを旅していた時のこと。
タンザニアのザンジバルという島のビーチに、日本人のオーナーが経営するバンガローがあって、アフリカを旅する日本人達が集う日本人宿になっているんだ。
東アフリカを旅している中で、マラリアっぽい症状が出ていたのと、ザンジバルはオレがリスペクトしている、元クイーンのフレディー・マーキュリーの故郷ということもあって、オレはそのザンジバル島のバンガローにしばらく滞在し、安静にしていたのだけれど(結局原因は抗マラリア薬の副作用だったのだけれど)、そこで出会った日本人の旅人に、ジンバブエのハラレのアフリカンミュージックが良いらしいと聞き、体調も戻ってきていたから、ぜひ行ってみることにしたんだ。
ハラレ行きのチケットを電話で手配してもらい、ザンジバルからタンザニアの首都ダルエスサラームまで船で移動して、そこから飛行機で飛ぶことになったのだけれど、予約したフライトの前日に、そのオーナーが船着場のあるストーン・タウンまで用事があって車で移動するというので、自分もそのオーナーの車にご一緒させてもらうことにしたんだ。
でも当日、人通りの少ないサトウキビ畑のあぜ道で、突然車が故障して動かなくなり、他の車が通りがかるのを1時間以上待つことになってしまったんだ。
そしてやっと車が通りかかり、オーナーの知り合いの青年海外協力隊の技術者がいる修理工場まで、その車を運転していたアフリカ人に頼んで、ヒッチハイクで移動したんだ。
その後、その協力隊員と一緒に、車が故障している場所までレッカー車で戻って、車を工場まで運び、状態を見てもらったのだけど、エンジンの故障だからすぐには直らないと言われ、結局車を預けて、さらにヒッチハイクで車を乗り継いでストーンタウンに到着したのは夜。
もうその時には、ジンバブエ行きのフライトに間に合う為に、オレが乗らなくてはいけなかった、その日の最終の船が出た後だったんだ。
当初の予定では、翌日ジンバブエのハラレに飛び、そこでアフリカン・ミュージックを聴いた後、ジンバブエとザンビアの国境沿いにある、世界三大瀑布の1つビクトリアフォールズや、チョベ国立公園のあるボツワナへ行こうと思っていたのだけれど、この車のトラブルで、翌週のハラレ行きのフライトまで、待たなくてはいけなくなったんだよ。
でも実はその数日後、巨大なサイクロン(インド洋の台風)がジンバブエとモザンビークを襲い、日本のニュースでも報道される位、両国で多くの人達が死傷した、歴史気的な大災害が起こったんだ。
車が故障した時には、なんてオレはついてないんだろうって思ったけれど、もしあのままジンバブエに飛んでいたら、命に関わるような大変な目にあっていた可能性があり、ある意味すごくラッキーだったかもしれない。
その時ジンバブエに行けなかった代わりに、ダルエスサラームで会った人から「ミュージシャンなら西アフリカへ行ってみたら?」と言われ、オレはその後セネガルやマリを旅して、そこですごく貴重な経験をすることができたんだ。
西アフリカの話は長くなるから、また別の機会にでもするけど、本当に何がラッキーか、アンラッキーかは、長い目でみたらわからないなって、その時しみじみと思ったよ。
でも縁があればいつかそこへたどり着くことができるもので、その数年後に、ちゃんとビクトリアフォールズも、チョベ国立公園も訪れることが出来たんだ。
しかもチョベ国立公園は5~9月の乾季になると、チョベ川の水を求めて約6万頭もの象が集まる、世界最大の象の生息地で、数年後の日本のゴールデンウィークの5月に、何の予備知識もなく偶然ベストシーズンに訪れ、1日に数千頭を超える象の大群に出会うという、一生忘れられない程の感動的な体験をしたんだよ。
(ちなみにザンジバル島のエピソードは、2月の雨季の時期だった)
人間生きていると、"ついてないな"って思うことがよくあるけれど、それがついているか、ついていないかは、大きな視点でみると、またちょっと違っていたりすることがよくあるんだよ。
シンジも今回のトラブルはしんどかったと思うけれど、飛行機や電車が遅れたって、命をとられる訳じゃないからさ。
今おこっているトラブルは、ひょっとしたら自分にとって実はラッキーな、"良いトラブル”なのかもしれないって思うと、ちょっとワクワクしてきたりするんだよ。
もちろん命に危険が及ぶトラブルは、明らかに悪いトラブルだと思うけれど、命が無事なら、本当にそのトラブルが良いか、悪いかなんて、ずっと後になってみないとわからなかったりするものだからさ。
発想転換だよ!シンジ。
P.S.
写真はボツワナで象の大群に出会った時の1枚だよ。
この時は十頭から百頭を超える群れに次々と出くわし、1日で数千頭の象に出会ったんだ。
これまでケニアやタンザニア、南アフリカで、いわゆるサファリを体験したことがあるけれど、普通は1日車で走り回って、10頭位の象に出会えるかどうかなんだぜ。
日本を1歩出ると、予定通りにいかないのが当たり前。
仕事はそれでは困るのかもしれないけど、例え予定通りいかなくても、毎日この地球はちゃんと回っているのだから。
ちょっと位のトラブルを楽しめるようになると、きっと今見えている景色と違う世界が、見えてくるかもしれないぜ。
Copyright (C) 2012 http://blog.goo.ne.jp/katokitijp All Rights Reserved