2004年9月24日(金)キューバ
朝6時起床。洗濯ものは1晩ですっかり乾いていた。
荷物をまとめ宿をチェックアウトする。
6時半だがまだ外は真っ暗だ。
チェックアウトする際に日本人数人に声をかけられる。
この旅で初めて日本語で会話らしい会話をした。さすが日本人宿。日本人ばかり。
昨日行ったインターネットカフェの前を通ると、もう店が開いていたので、15分程ネットをしてメールとニュースをチェックする。
15分だけだったが1時間分の料金をとられる。約100円。
それならもう少しやっていたかったが、飛行機の時間もあるので、あきらめて地下鉄に乗る。
ヒダルゴから3号線に乗りララツァで5号線に乗り換え空港へ。
所要約30分。2ペソ、約20円。
10時15分メキシコシティ発の飛行機でキューバへ。
約3時間のフライトだ。ハバナに到着したのが午後2時。時差が1時間。
さすがは社会主義国と感じる、のらりくらりとしたパスポートコントロールを1時間程かけて抜け外へ出る。
キューバにはいわゆる格安宿が殆どないらしく、それならばここは短期旅行者の強みで奮発しようと、ガイドブックにあったキューバで最も有名なホテル、ナシオナルデークーパに向かってもらう。
キューバはアメリカの経済制裁を受けており、車も1950年台のまま時間が止まってしまったのではないかと思うくらい、軒並み車等が古い。
それでもタクシーの運転手と盛り上がったのはベースボールの話で、メジャーリーグの話題にはノリノリで、この年、メジャーリーグの最多安打記録を塗り替えようとしていたイチローのこともよく知っていた。
彼に好きなチームを聞くとニューヨークヤンキースとのこと。その他、メジャーリーグの最新情報にも非常に詳しいようだ。どうやって情報が入ってくるのだろうか。
彼曰くイチローはもうすぐヤンキースでプレーするだろうとのこと。
この年マリナーズは最下位を独走しており、このままの状況では本当に彼の言うとおり、イチローがヤンキース等でプレーする日がくるかもしれないなと思う。
20分程走ると車はハバナの新市街へ。
そして1930年に建てられたというコロニアルな外観を持ち、絵葉書にもなるほどハバナのシンボル的な、ナシオナルデークーパホテルの前でタクシーをとめてもらう。
レセプションに行き、恐る恐る宿泊料金を聞く。
シングルルームが1泊120USドルで空室ありとのこと。
VISAカードが使えるとのことなので、ここは思い切ってクレジットカード様にすがることに。
カードの引き落とし日のことは考えないようにしてチェックインする。
エントランスからエレベーター、客室に至るまで全てアンティークな感じで、「シーン」という音が聞こえてきそうな程、静かで落ち着いた空気が流れている。
外の喧騒とは別世界に迷い込んだようだ。
およそ部屋に似つかわしくない、大きなバックパックをドサッと部屋に置き、このホテルの目玉である、エルパリジャンのキャバレーショーを申し込む。
ここのショーは、有名なトロピカーナと双璧をなす、キューバでも屈指のキャバレーで、このショーを見る為だけにわざわざキューバまで足を運ぶ人がいる程の人気プログラムだ。自分もキューバに来たら1度見てみたいと思っていた。
それもあって今日はこのおおよそ自分に似つかわしくない高級ホテルをチョイスしたのだ。
値段を聞くと夕食込みで50USドル。ここでもカード様におすがりする。
またすぐ横にあるツアーデスクのおばちゃんに声をかけられ、そっちへ行ってみることに。
キューバに来たらやはりカリブ海のビーチに行ってみたいと思っていたので、オススメのツアーを聞いてみることに。
ハバナから車で2時間位行ったところにあるバラデロが良いと言うので、それを申し込むことに。
往復の送迎が50USドル、5つ星ホテルが110USドルと言われるが、予算オーバーなので、もう少し安い宿は無いかとたずねると、Mercure Cuatro Palmasというホテルを進められる。
まだ出来て間もないホテルでビーチも素晴らしく4つ星、朝食付きで90USドルとのこと。これまたカードで申し込む。
気づけばこの1時間のうちに、330USドルも使ってしまった。明らかに予算オーバーだ。カードは金銭感覚が麻痺するので怖い。気をつけよう。
(最も本当に怖いのは帰国後のカードの引き落とし日なのだが。汗)
部屋に戻りシャワーを浴びた後、ハバナの市内散策に出かける。
ホテルを出るとココナッツ型の黄色のカワイイ原付タクシーが数台とまっていた。
このタクシー、名前をウェボウェボと言う。
スペイン語で卵と言う意味だとか。
タイでいうところのトゥクトゥクのような存在だろうか。
アメリカのホワイトハウスをモデルに作られた旧国会議事堂(カピトリオ)に行ってみたいと思っていたので、幾らか尋ねると片道4USドルという。
往復8ドルで途中待っているのは無料だからと言うので、この卵型のバイクタクシーにまたがり市街へ。
10分程走ると旧市街の中心にあるカピトリオに到着。
途中の建物もそうだが、1959年に起こった革命戦争以降のアメリカの経済制裁の影響で、車から町から全て1950~60年前半で時代がストップしており、さながら50年代のアメリカにタイムスリップしたような気分になる。
車もさすがに50年も乗ると故障が多いのか、あっちでもこっちでも車やバイクがエンストや故障を起こしてストップしている。
それでもキューバの人にとっては貴重な足なのだろう。
日本では10年落ちの車というとかなり古びたイメージがあるが、ここでなら10年落ち程度なら、さながら最新モデルの新車、いや下手をすると未来の車といったところだろうか。
しばらくカピトリオ周辺の街の雰囲気を楽しんだ後、再びバイクタクシーにまたがりホテルへ戻る。
時計に目をやるとまだ4時過ぎで太陽の位置も高かったので、水着に着替えホテルのプールに繰り出すことに。
少し泳いだ後、プールサイドのBARでモヒートを頼む。これが2USドル。
そのままプールサイドで寝そべる。空がびっくりするほど青い。
雲がダイブしたら気持ちよさそうな真綿のクッションのようにフワフワで真っ白。その雲がいくつも連なり、ゆっくり、ゆっくりと空を流れていく。
こうしていると日常の様々な出来事は酷くちっぽけな出来事のように思えてくる。日ごろの自分がいかに些細な出来事で一喜一憂しているのだろうと、ばかばかしくさえ思えてくる。
空が青いただそれだけで幸せな気分になれる。本当に素敵なことだと思う。
ほんの数年前まで、幸せは酷く難しく、遠い存在のように思えていたけれど、年輪を重ねるごとに、幸せはというものは気づかず見過ごしてしまいそうだけれども、誰のそばにでもある非常に身近なもののように感じはじめている。
いつまでも小さな出来事の中に幸せを見つけることができる、そんな自分でいたいと心の底から思う。
夜になり、綺麗に手入れされた庭先にあるガーデニングレストランにて、ギターとパーカッションの3人組のキューバミュージックをBGMに夕食をとる。
9時半過ぎになり、ホテルのキャバレーの劇場へ移動。
2時間のショーは期待通り、いやそれ以上の華やかなエンターテイメントだった。
歌や踊り、演出共にかなり高いレベルのものだ。
思わずその幻想的な世界感の中に、魂ごとすっと引き込まれ不思議な気持ちになる。
それにしてもキレイなお姉さん達がギリギリの露出をして激しく踊るので、少し目のやり場に困った。
写真:キャバレーのショー