現行の消費税法では、3万円未満の取引については帳簿のみの保存で仕入税額控除を認める特例がありますが、インボイス制度開始後は、公共交通機関の運賃など一部を除いて、原則として認められなくなります。クレジットカードやコインパーキングなどの利用に注意が必要です。
カード会社の請求明細書はインボイスとして利用できない
Q1 インボイス制度では、クレジットカード会社から一定期間ごとに送付される「請求明細書」の保存で仕入税額控除が認められるのでしょうか?
A1 インボイス制度では「請求明細書」はインボイスとして認められません。クレジットカード会社が利用状況をまとめた「請求明細書」は、カード利用者に対して課税資産の譲渡を行った事業者(店舗等)が作成・交付した書類ではないため、現行の消費税法においても請求書等に該当しません。
Q2 クレジットカードを利用する際、何をインボイスとして保存すればよいのですか?
A2 買い物をした店舗等が適格請求書発行事業者であれば、店舗等が発行する「ご利用明細」「ご利用控」にインボイスに必要な記載項目が記載されていますので、これを必ず保存しておいてください。
Q3 これまで、店舗等が発行する「ご利用明細」等をきちんと保存できていないこともあったかもしれません。
A3 前述のクレジットカード会社が発行する「請求明細書」は、消費税法上の請求書等には該当しませんが、現行は3万円未満の取引の場合、帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められているため、少額のクレジットカード取引については、これまで「請求明細書」を保存することでも問題とされなかったと思われます。
インボイス制度の開始後は、3万円未満の特例が廃止されるため、クレジットカードの利用の際は、店舗等が発行する「ご利用明細」や「ご利用控」を必ず受け取って、保存することを徹底してください。
高速道路を利用する際に、料金所においてクレジットカードで支払う場合には、交付される「利用証明書」を保存することで仕入税額控除が認められることになります。
ETCの利用については、クレジットカード会社等が発行する「ETCクレジットカード」等を利用した場合は、Web上の「ETC利用照会サービス」において簡易インボイスが電子データにて交付される予定です。
Q4 コインパーキングの利用時は、どのような対応が必要でしょうか?
A4 インボイス制度では、3万円未満の自動販売機や自動サービス機からの商品の購入等については帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる特例があります。しかし、コインパーキングは対象になっていません。
そのため、コインパーキングから発行されるレシート(簡易インボイスに該当するもの)は必ず保存しておいてください。
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