インボイス制度では、適格請求書発行事業者が値引きや返品等を行ったときには、原則として返還インボイス(適格返還請求書)を発行しなければなりません。ただし、令和5年度税制改正において、税込金額1万円未満であれば返還インボイスの発行が免除される改正が行われました。
少額な値引き・返品は返還インボイスの発行を免除
Q1 決済の際に、売り手が負担する振込手数料を「売上値引き」として処理しています。この場合、返還インボイスを発行しなければならないのでしょうか。
A1 令和5年度税制改正において、税込金額で1万円未満の値引き・返品・割戻しなどの売上に係る対価の返還等については、返還インボイスの発行が免除されることになりました(少額な返還インボイスの交付義務免除)。振込手数料(税込金額1万円未満)を売上値引き処理する場合は、返還インボイスの発行は不要です。
Q2 上記の交付義務免除の適用対象者に要件はありますか。また、いつまで適用されるのでしょうか。
A2 適用対象者に制限はありません。すべての適格請求書発行事業者が対象です。また、恒久的な措置のため、適用期限はありません。
Q3 売り手が負担する振込手数料を「支払手数料」として処理していますが、交付義務免除の対象になりますか。
A3 売り手が負担する振込手数料を「支払手数料」すなわち課税仕入れとして処理している場合は、そもそも返還インボイスを発行する必要がありません。
支払手数料として仕入税税額控除を行うためには金融機関や取引先から支払手数料に係るインボイスを受け取って、保存することが必要です。
ただし、一定規模以下の事業者においては、税込金額1万円未満の課税仕入れについて、帳簿のみの保存で仕入税額控除を認める特例(注)の対象になります。
(注)1.対象期間は、令和5年10月1日から令和11年9月30日までです。
(注)2.対象者は、基準期間における課税売上高が1億円以下又は特定期間における課税売上高が5千万円以下の課税事業者です。
Q4 売り手が負担する振込手数料について、会計上は「支払手数料」、消費税法上は売上に係る対価の返還等として処理することはできるのでしょうか。
A4 振込手数料相当額について、会計上は支払手数料として処理していても、消費税法上は売上に係る対価の返還等として処理することが可能です。
この場合、振込手数料相当額が税込金額1万円未満であれば、返還インボイスの発行が不要になります。
消費税法上、売上に係る対価の返還等として処理する場合は、その基となった適用税率(判然としない場合には合理的に区分)による必要があるほか、帳簿に対価の返還等に係る事項を記載し、保存する必要があります。
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