マトリョーシカ絵付けちょっと休んでいましたが、マトリョーシカの本家本元の絵付けを教わりたいものだと思っていました。
東京でも、マトリョーシカの体験・絵付け教室はたまにあるのですが、大体、デザインはご自由にという感じで、自分も半年ほどの体験教室を経て、あとはロシアのマトリョーシカの本を買って自己流で自由にやってました。なんでも自由に描けるのが白木のマトリョーシカの魅力ですが…。
そんな時たまたま、世田谷区経堂にある日本ユーラシア協会で、ロシアのセミョーノフマトリョーシカの絵付け教室があることを見つけ、喜んで申し込んで行ってきました。日本でマトリョーシカと言えばまずこれ、ですね。
講師はロシア人の若い職人さんで、ロシア語! 通訳の女性(たぶんこの方が仕事の関係でお招きしたのだと思います)がいて、教室開始。
道具はロシアのペン、筆、インク、塗料。筆は使う色によって分けてあります。
まず顔は、コンパスで丸く描きます。昔小学校で使ったみたいな、鉛筆をはめる式のコンパスに万年筆をはめて、黒インクをしみこませてぐるっと描きます。
これだけは、失敗が許されないので、先生がやってしまいます。
こんな小さいのもぐるっとコンパスで。
顔の見本。下が一番目の子の顔、上が二番目以降の顔。きちんと決まっていて、一番目の子だけ、口は赤いインクで描きます。間違えないように、と念を押されました。
全く下書きをせず、フリーハンドで、顔を描き、髪の毛を描き、プラトークを描きます。
(あ、生徒はもちろん鉛筆で下書きをして、一つ一つやる間、待っていてくれます)
プラトークの裾をぐるっと、マトリョーシカを回しながら描いている所。これが一番難しいそうです。最後がバランスよく襟元にちゃんと行き着かないといけないから。
袖まで描けたところ。
エプロンのお花。全部さっと描いていきます。
葉っぱ
女の子が右手で花束を持っているように、模様が描けたら、最後にアニリンという透明な色素でプラトーク(黄色)とボディー(赤色)を塗ります。これがむらになるので難しい。
アニリンが乾くのを待つ間に、頭にスタンプする渦巻きを作ります。
薄いジャージのような生地を几帳面に巻いていきます。つけた墨が固まるので、毎回ほどいて洗って、その都度巻くようです。
渦巻き出来
渦巻きを押して出来上がりです。アニリンの赤い色素はとてもむらになりやすく、それをちょっとぼかすためにも渦巻きを押すんだとか。
出来上がりは一番上の写真。真ん中から左4つは先生の描いたマトリョーシカです。
これ↓ が、昨日の絵付け教室。
18日に気付いた時点で、27日は満席、昨日20日は空いていました。
先生は下の方の写真のデニス・コロトコフ氏。静かな方で、でも時々ハラショー(いいですね)と小さい声で言ってくれていて、それだけは分かりました。(^^;)
それにしても、線は全部万年筆で描く、というのが驚きでした。絵具がしみこまないように下地材を何度も塗るそうです。それで線描きが間違った場合は乾いてからカッターでがりがりやると、下地にしみこんでいないのできれいに取れるということで、私が間違ったところもがりがりやって取ってくれました。自分(先生)の下地材の塗り方がよかったそうです(^^)。
マトリョーシカ工場なので、いかに素早くきれいに仕上げるかというのがまず大事なようで、手順や筆遣いも決まっていて、筆はさっと二度塗りなしで仕上げ。これは、お習字のうまい方にはいいかもしれないです。
ニスは、工場では専門の人が、手で何日もかけて何回も塗り、それであのむらのないぴかぴかの仕上がりになるそうです。今回はスプレーニスを一回です。
残念なことに、この教室はいつでもあるわけではなく、やはり単発の体験教室でした。
そうなんです。一番目の子は緊張してお手本見て描いているうちに、ちょっと怖いというか生意気な顔になってしまいました。下書きしているとはいえ、何せ、万年筆で描くもので、緊張します。
停電ですか…。そのあたり、停電になったら真っ暗でしょうね。
本当に、いい講習会でしたが、気が付いたのが遅くて焦りました。(^^:)。空きがあってよかったです、というか、キャンセルが出て私一人…、先生も余裕があったみたいです。
確かに百聞は一見に如かず、で、コンパスやペンや渦巻きスタンプなど、当然のように手順よくやってらしたです。
コンパスで描いたのに、真ん丸じゃなくて顔の下のほうが細長くなっているのが不思議でしたが、平面じゃないからですね。
ユーラシア協会にあった、つやつやのセミョーノフマトリョーシカ、(一番上の写真の後方に写っている)、工場だから誰が描いたかはわかりませんよね?と聞いたら、本気か冗談かわからないですが、僕のいとこが描いたものかもしれない…と言っていました。(^^)(もちろん通訳経由)
さて、とっても興味深く拝見しました。本などで見て、布を巻いてスタンプにするとか、コンパスを使うとかは知っていたのですが、karatさんの写真でとてもよくわかりました。
で、手元にセミョーノフを持ってきて、「コンパスを使っても平面ではないから微妙に丸が下で細長くなっているのか」としげしげと見ていたら、停電してしまったというわけでした。もう寝るしかなくて寝ましたが、夜半に電気は復活しました。
つけペンで描くとのこと、手元のセミョーノフも線に強弱がありますね。それに、小さい子のプラトークのおさまりが左右で高さが違ったりしています。先日、息子から昔のマトリョーシカをもらったのですが、まだ階段の踊り場に置いたままです。そこを通るたびに、年月を経た木の色が目に入り、美しさにうっとりしてしまいます。最近のものは階段下の棚に飾っていて、いつも逆光気味に見えるのですが、もちろんつや消しばかりなので光りません。いったい、50年後にはこれたちはどんな表情を見せるのか、ちょっと心配になったりします。
同じに見えて、セミョーノフもよく見ると個性があって(笑)、道上さんがあんなに持っていて飽きないのもわかる気持ちがしました。
いい講習会でしたね。
フリーハンドは先生で、彼は職人さんですから、それでどんどんやっていきますが、生徒はもちろん鉛筆で下書きしてからです。ペンで、インクでっていうのが緊張しましたけど。
フリーハンドっていうのが一番辛そうです。