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碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

映画「鈴木先生」公式サイトに、「特別講義」の様子が

2012年12月06日 | 映画・ビデオ・映像

5日に行われた、ドラマ&映画「鈴木先生」についてのゲスト・レクチャー。

その様子が、映画「鈴木先生」公式サイトに、さっそく掲載されておりました。

WEBは早くていいなあ(笑)。


武富健治先生、河合勇人監督、山鹿Pが
上智大学で「鈴木先生」特別講義!

本日、武富健治先生、河合勇人監督、山鹿プロデューサー(テレビ東京)の3名が上智大学文学部の碓井広義教授が教鞭をとる《大衆文化論》で「鈴木先生」の特別講義を行いました!

《大衆文化論》では、TVドラマをテーマに、ドラマにおけるストーリーを軸にしながら文化論・社会論など幅広く考察しており、他学部生による受講も多い人気講座なんだそうです。

碓井教授は、昨年春のドラマ「鈴木先生」のオンエア開始直後にいち早く新聞でも紹介してくださっていた、強力スズセンサポーター。その熱い想いのお蔭で、今回の特別講義が実現しました!

以下、講義の中から一部ご紹介します!

●学校という社会をリアルに描いたドラマ「鈴木先生」を観て、碓井広義教授がまず感じたのは“原作者は教師の免許を持っているのか?”ということだったそう。その問いに・・・

武富健治先生
「(鈴木先生と同じく)中学の国語の免許は持っています。しっかりとした内容を求められる青年誌で漫画を書くにあたって、自分にはそれしか持ちネタがなかったんです(笑) 先生を探偵役に据えてみたら面白いかもしれないということに端を発して、単発から始まり、連載が始まりました。シリーズ化するにあたって、鈴木先生の欠点として、生徒に妄想してしまう要素を付け足していったんです」

そして、武富先生は、漫画家になっていなかったとしたらやってみたかった第2の職業が国語教師とのこと!

●また受講している学生さんからの“生徒たちが抱える問題はどこから来ているんですか?”の問いに・・・

武富健治先生
「20歳を過ぎてから30代半ばまでに体験したことを元に、それを中学校に置き換えています。観ている人の心に直接刃を当てたいと思ったから、あくまでも大人の問題として描いています」

●TVドラマから映画になるにあたってのお話で、、、

河合勇人監督
「機材からスタッフまでドラマと全部一緒。映画だから肩に力が入って・・・ということもありがちですが、今回は、ドラマでは描けなかった事件も多いから、それをどう盛り込んで、2年A組を掘り下げていくかというドラマの核を映画でも踏襲したかった」

山鹿プロデューサー
「TVドラマで好評を博したら映画化されるというルールのようなものがあります。このドラマは視聴率の面では振るわなかったけれど、熱烈なファンの方が応援してくれて、インターネットでの書き込みもすごかった。そういう人達のためにもやめられないという想いでした」

武富健治先生
「普通のドラマでは味わえない、あえてきめ細かく描くエンターテイメントがドラマになって映画にもなって、より広がりを持ちました。若い頃は、周りの誰も知らないものを自分だけが好きでいる優越感のようなものも持っていたけど、今は、自分がいいと思えるものを皆と共有できたらと思っています」

碓井教授、上智大学の皆さん、有り難うございました!!!

関東にお住まいの皆さま、本日深夜3:05〜はテレビ東京にて、いよいよドラマ「鈴木先生」最終回です!

武富先生の「大人の問題を中学に置き換えて描いた」という言葉とともに、再びあの伝説の<鈴木裁判>を見届けて下さい!!!

(映画「鈴木先生」公式サイト 2012.12.05)
 http://blog.tv-tokyo.co.jp/suzukisensei/

ドラマ&映画「鈴木先生」は、こうして生まれた

2012年12月06日 | テレビ・ラジオ・メディア

私の授業「メディアと文化(大衆文化論)」では、この秋学期、ドラマ
制作について考察しています。

昨日(水)は、ゲスト・レクチャーとして、ドラマ&映画「鈴木先生」の関係者の方々をお招きし、お話をうかがいました。

元々は、今年の6月に行われた、ギャラクシー賞の贈賞式で、テレビ東京の山鹿プロデューサーにお会いしたことがきっかけです。


今回のゲスト・レクチャー。

これがまた実に豪華なメンバーで。

原作者である漫画家の武富健治さん




ドラマと映画の監督である河合勇人さん




同じく両方でプロデューサーを務める山鹿達也さん



加えて、テレビ東京の映画担当者、映画の宣伝会社の担当者、原作漫画の版元である双葉社の担当編集者、さらにWEBライターの方などが参加してくださり、まあ、大変なスケールとなりました。


まず前半は、原作漫画の誕生からドラマ化までのお話です。

教育学科を卒業している武富さんが、ご自身の“切り札”として出してきたのが、中学校を舞台にしたこの作品だったこと。

その漫画を偶然目にした河合監督が、“映画”として撮ろうと動いたこと。

テレビ東京のドラマプロデューサーである山鹿さんともつながって、連続ドラマになっていったこと。

さらに、「相棒」「三丁目の夕日」などを手掛けた古沢(こさわ)良太さんの脚本。

チェコ在住のカメラマンの起用。

長谷川博己(ひろき)さんという絶妙なキャスティング。

そして、2011年4月末からの放送における、伝説的な低視聴率。

なんと平均視聴率は2%台でした。

これって、ゴールデンの連ドラとしては、歴代ワースト2位(惜しい!)の大記録なのだ。

しかし、いち早く「とんでもない傑作」と、あちこちの媒体で書いたり、語ったりする上智大・碓井教授など、熱い支持者も現れて(笑)。




・・・といった展開の裏側を、3人の当事者が、まさに当事者ならではのエピソードを交えて語ってくださいました。

そりゃ面白くないわけがない(笑)。




後半の始まりは、映画「鈴木先生」の予告編の上映。

今度は、ドラマから映画へ、というお話です。

ドラマから続く「製作委員会方式」についても触れていただきながら、映画化へ向けてのハードルのこと。

河合監督はドラマと同じスタッフにこわだわったこと。

全10回だったドラマを継承する意味を込めて、タイトルに「エピソード11」と入れたこと。

実際、ドラマの続きという“時制”であり、原作漫画を生かしつつ、あらたな要素も盛り込んでいったこと。

学生たちの側からも、物語の設定から制作費のことまで、いくつもの質問があり、それにも誠実に答えていただきました。

全体として、とにかく話が刺激的で面白く、「永遠に続いてもいいな」と思うほどでしたが、90分の授業時間いっぱいで、お開きとなりました。


武富さん、河合さん、山鹿さん、本当にありがとうございました。

1月12日公開の映画「鈴木先生」(試写を拝見しましたが面白いです)が、たくさんの人に届くことを祈っております。