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碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

<春の改編で見逃せない番組 見てトクする番組>を3本、選んでみると・・・

2009年05月06日 | メディアでのコメント・論評

先日、『日刊ゲンダイ』から、「この春の新番組の中で、大人にオススメのもの、3本を挙げてください」という依頼があった。

大人にオススメ。

うーん、と唸りながら、頭の中で番組表を思い浮かべる。3本って、結構難しい。

私の他には、ジャーナリストの小田桐誠さん、放送評論家の松尾羊一さんが、それぞれ選ぶという。

お二人とも、放送評論の世界での大先輩だ。

何を挙げるだろう、と想像してみたが、記者さんは「重なっても構いません。それも情報です」とおっしゃる。

エイヤっと、3本のタイトル&その理由を説明した。

記事は、1日に掲載された。

3人が挙げた3本は、やはり少しずつダブっていて、面白い。

全体に、NHKが多い。今、「大人にオススメ」となると、そうなるように思う。

私が選んだのも、1本がNHKで、2本がテレビ東京だった。


<春の改編で見逃せない番組 見てトクする番組>

今春は例年以上に各テレビ局がゴールデンタイムの大改編を断行。

あまたある新番組の中から、大人も楽しめる見逃せない番組を松尾羊一氏(放送評論家)、小田桐誠氏(放送ジャーナリスト)、碓井広義氏(東京工科大メディア学部教授)の3人に挙げてもらった。

●「ルビコンの決断」は経済ネタをドラマ仕立てにして秀逸
2人が推奨したのは、木村佳乃がナビゲーターを務める経済ドキュメンタリードラマ「ルビコンの決断」だ。

「テレ東が得意とする経済ネタをドラマ仕立てで伝えていく作り方は面白い」(小田桐氏)

「『ガイアの夜明け』のような完全な経済ドキュメンタリーでは、登場人物の心情や内面を描き切れない。そこを表現するために、あえてドラマ仕立てにしたところが秀逸です」(碓井氏)

●「追跡!AtoZ」は社会面的発想が面白い
同じく2人がピックアップした「追跡!AtoZ」は、社会問題の現場を徹底的に追跡取材するドキュメンタリー。

「切り口と動きが抜群にいい。これまでのNHKは政治ネタや外交ネタが重視されていたが、この番組は社会面的な発想で、我々の目線に立って作っている」(松尾氏)

「不安な時代の社会ネタをどう切って伝えるか、この番組はそのひとつの形といえる。人と金をかけた密着取材は、NHKならでは」(小田桐氏)

同じNHKの「ワンダー×ワンダー」は、「見たことがないような光景や映像の面白さに的を絞っているところに好感を持てる」(松尾氏)と期待大。

NHKのバラエティー「サラリーマンNEO Season4」は、「相変わらずネタが作り込まれているし、シュールでアイロニーたっぷりのコントは大人が笑える」(小田桐氏)と高評価だ。

NHKで評判のもう一本は「タイムスクープハンター」。未来人が時空を超えて過去を探りにいく設定の歴史番組だ。

「過去の世界に降り立って“中継”しているところが面白い。氾濫する歴史モノというジャンルで、新しい手法にトライしている点を評価したい」(碓井氏)

ビートたけしと国分太一がMCを務める「たけしのニッポンのミカタ!」は、「現代を2時間で手軽に読めるのが今どきの『新書』なら、これはそのテレビ版」(碓井氏)。

前クールの「水曜ノンフィクション」をリニューアルした「関口宏モトをたどれば」は、「今回はひとつのテーマに絞って1時間かけて集中的にわかりやすく作っている」と松尾氏は評価している。

【識者3人に聞いてみた!!】
◆松尾羊一
(1)「追跡!A to Z」(NHK/土曜20時~)
(2)「ワンダー×ワンダー」(NHK/土曜22時~)
(3)「水曜ノンフィクション 関口宏モトをたどれば」(TBS/水曜19時55分~)

◆小田桐誠
(1)「ルビコンの決断」(テレビ東京/木曜22時~)
(2)「追跡!A to Z」(NHK/土曜20時~)
(3)「サラリーマンNEO Season4」(NHK/日曜23時~)

◆碓井広義
(1)「ルビコンの決断」(テレビ東京/木曜22時~)
(2)「たけしのニッポンのミカタ!」(テレビ東京/金曜22時~)
(3)「タイムスクープハンター」(NHK/火曜深夜0時10分~)

(日刊ゲンダイ2009年5月1日掲載)