作家 井上香織 Official Blog

せつない純愛小説、やさしい目線で描かれたエッセイで人気の作家 井上香織が贈る癒しの空間 

彼岸花

2020-09-30 | ★Diary★

ようやく秋めいた季節になってまいりました 


と、いうことで。

Мちゃんと、久しぶりに 体育会系お散歩


マスク着用&リュックにはスポーツドリンク。


お気に入りの遊歩道の脇には、色鮮やかな彼岸花が点在しており、

秋を感じさせてくれました 

 

道中、9月も終わりというのにセミが鳴いていたり、

川べりに季節外れの謎の向日葵が咲いていたり・・・

 

そうそう向日葵。。。思わず、

「この時期に向日葵

「どこどこ?」

「ほら、あそこ」

石段を下り、顔を近づけて観察してみたら、よくできた造花でした・笑・


木漏れ陽が美しく、風はすがすがしく・・・

とても気持ちのよいお散歩でした 

 

帰宅してスマホの歩数計を確認したところ、本日の歩数は12,983歩 

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☆きらきら日記☆ PART39 キララがお見合い!? <1>

2020-09-26 | ☆きらきら日記☆

PART   39   キララがお見合い!? <1>


 それは小梅ちゃんの死を知らされて、しばらくした頃のことだった。

 キララが小梅ちゃんの死を理解していたのかどうかはわからない。

理解はできないまでも、最近、小梅ちゃんと遊べなくてつまらないなあ、

くらいは感じていたのかもしれない。

 中央公園で、首輪につけたリードを解き放つと、キララは少し首を伸ばすような姿勢で、

いつも小梅・パパが自転車でやってくる木立の向こうの小路に目をやる。

それから広場に向かって駆け出してゆくようになっていた。

 

 夕刻の中央公園には、入れ替わり立ち代り、常時大小とりまぜ十頭ほどの犬たちが

戯れている。

 その日、キララは久しぶりにやってきた黒ラブのブラッキーくんの姿を認めると、

いちもくさんに駆け寄り、興奮気味に荒い息を吐きながら、彼のお尻を追い回しはじめた。

 ブラッキーくんは体こそ成犬の大きさに成長しているが、生後まだ1年に満たない、

やんちゃ盛りの男の子だ。

 最初は迷惑そうに逃げ回っていたブラッキーくんだったが、キララの執拗さに

憤りを感じたのか、口角を上げ威嚇するような唸り声をあげはじめた。

 このままではケンカになりそうな気配を感じた私は、

「しつこくてごめんなさい」

 と言いながらキララの首輪を持ち、強引に引き離した。

 赤いハーフコートを着たブラッキーのママは、

「いえ、とんでもない。こちらこそごめんなさいね。

まだ小さい頃、キララちゃんにはよく遊んでもらったのに」

 そう言って、すまなそうに苦笑した。

「この間、去勢手術をしたんです。

そうしたら、なぜか男の子から好かれるようになっちゃって」

「ブラッキーちゃん、手術したの?」

 私たちの会話を聞いていた遥之介・ママが会話に加わってきた。

「はい。獣医さんに勧められて」

 ブラッキーを落ち着けようとなだめながら、彼女は答えた。

「まだ、こういうところに連れてきたらいけなかったのかな」

「そんなことない。去勢したばかりの子が男の子に好かれるっていうのは、

珍しくないみたい。ちょっとホルモンのバランスが崩れているだけじゃないな。

安定するまで少し時間がかかるかもしれないけど、大丈夫よ」

 遥之助・ママはそう言ったあと、「あ、そうそう」と私に向き直った。

「キララちゃんって手術してる?」

「さあ、どうかな」

 去勢について飼い主からなにも聞かされていなかった私は小首をかしげた。

「ジツはね。キララちゃんを見初めた飼い主さんがいるのよ。

お相手はティアラちゃんっていうの。今、二歳」

 遥之介ママは携帯に転送されてきたというティアラちゃんの写メを見せてくれた。


 ゴールデン・レトリバーは長毛犬だ。

 同じレトリバーでも短毛のラブラドールに比べると、太っているのか痩せているのか、

体型は見分けにくい。

 しかし、その写メの中、明るい陽射しを浴びたティアラちゃんはすっきりとした

美しい肢体を浮き上がらせていた。

 毛並みは艶やかな上、愛らしい顔立ちの女の子だった。


「奥さんが私の友達で杉並に住んでいるんだけど。子供のいないご夫婦でね。

この間、ティアラちゃんを車に乗せてここに遊びに来たとき、

キララちゃんをみかけたらしいの。でも、キララちゃんはちょうどママと自転車で

帰るところだったので、声をかけられなかったんですって。

それで私のところに、もしかして知ってる?って問い合わせの電話が

かかってきたんだけど。

どっしりした体格のゴールデンで、ママがピンク色の自転車に乗っていたって聞いて、

あ、キララちゃんだって」

 遥之介・ママはそう言って笑った。

「ふだんはすごく穏やかでやさしい子なんだけど、盗撮男を捕まえたことや、

バーニーズに襲われた小梅ちゃんを守ろうとして戦った武勇伝を話したら、

ぜひって、すごく乗り気なのよ」

 

 未だ犬の生態についてさほど詳しくはなかった私にも、お見合いとは

子供をもうけるためのものであることくらいはわかった。

 しかし、その頃、住んでいた西新宿のマンションは、新たなペットを飼うことは

禁じられている。

もし、キララの遺伝子を持つ愛くるしい子供が数頭生まれ、

どうしても仔犬を一頭、手元で育てたくなってしまったとしても、それは叶わない。

 先日、迷子のビーグル・びーちゃんをみつけたときに遥之介・ママには、

そんな住宅事情を話したはずだったのだが。

 あらためて、そのことを説明すると、

「でも、キララちゃんの子供、ほしいでしょう?」

「うん…….」

 私は言葉を濁した。

「今のマンションがダメだったら、引っ越せばいいじゃない?」

 遥之介・ママはこともなさげに言った。

「私、引っ越ししてきてまだそれほどたってないし。

もう当分、あんなに疲れる作業はしたくない」

「でも仔犬はかわいいわよね。うちも本当は遥之介の赤ちゃん、ほしいけど、

さすがにこんな大きいのが二人もいたら大変かなと思って、

今はまだ踏み切れずにいるけど。前向きに考えてくれない?」

 見初められたのは光栄だが、安易に即答できることではない。

「(飼い主に)聞いてみないと。少し考えさせて」

 私はそう答えた。

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うさぎの耳みたいだったサボテン・・

2020-09-22 | ★Diary★

例のサボテンですが。

今現在は、こんな感じ。

[うさぎの耳]はふたつどころか、数本に増え、

よく見ると、[耳]の上にも、さらに小さな芽がいくつも育ちつつあります。

もはや。

[うさぎの耳みたいな]面影は、どこにもありません・・・

 

上の写真は、約2か月前に購入したその日に撮影したもの。

現在と比較してみると、

[うちわ]の部分がちいさくなっているような。。。

[耳]の部分を成長させるため、栄養をとられちゃったのかしら・・・

またまた母と協議の結果。

ついに、日光を浴びさせるため、南側の窓辺に移動させることとなりました。


どうぞ元気に育ってくれますように・・・

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アンティーク風チェストのリングハンドル

2020-09-18 | ★Diary★

こちらは、かなり前に購入したちいさなチェスト。

決して高価なものではありませんが、小ぶりで使い勝手がいいので、

引っ越しをするたびに、

[文具や書類、原稿など入れる小物入れ]  [タオル類の収納]

用途を変え、

現在は寝室のテレビ置きとして活躍中 


もともとアンティーク調だったのですが、

その取っ手の部分が劣化し破損してしまい・・・

このチェストと合わせて遜色がない取っ手をネットで探していたのですが、

なかなかイメージに合うものに巡り逢えずにおりました。


そして、約2か月前。

ネットにて、この品の存在を知りました。


それは・・「セリア」さんのリングハンドル 

 

 

ところが。

近所のセリアさんに出向いたところ、この品はありませんでした 


その棚(DIYコーナー)には、様々な取っ手・・[引き出し・つまみ]が置いてあるというのに・・・

たまたまその場にいらした店員さんに伺ってみると、親切にも調べてくださり、

「現在、欠品中なので・・もう入荷しないかもしれません」

とのことでした。。

 

それからというもの・・・

諦めることができず、

実家へ帰った際も。

母と車で買い物に出かけたとき、「5分だけ寄り道してもいい?」と、

セリアさんに立ち寄らせてもらったり。

ずっと、捜し続けておりました。

そして。

「またダメだと思うけど、一応チェックしておこうかな・・」

昨日、買い物のついでにセリアに足を運んでみたところ、

なんと。

いつもの棚に、探し求めていたこのリングハンドルを発見

2個購入し、スキップしながら・・(嘘です)・・まっすぐ帰宅。


そして。取り付け開始 


付属品として、ネジが数本ついており、

うちのチェストの扉は、一番長いネジがぴったり 


先日の水漏れ修復工事にて家具の移動の際、

Мちゃんに貸してもらったドライバーセットが早速、活躍してくれました 

私が持っている簡易なドライバーとは大違い。

おかげで、5分もかからず装着することができました 


ここには写っておりませんが。。。

かろうじて今、健在な「取っ手」の色とも馴染んでいい感じ 

 

2個購入で、税込み220円。

ですが。

こんなにも幸せな気持ちにさせていただきました  


セリアさん。

ありがとうございました 

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☆きらきら日記☆ PART38 天国に逝った小梅ちゃん

2020-09-14 | ☆きらきら日記☆

PART  38  天国に逝った小梅ちゃん

 

「そういえば」

 膝丈のダウンコートに毛糸のマフラーで完全防備のディズニー・ママが

広場を見渡しながら言った。

「この頃、小梅ちゃん来ていないね」

「うん。私も気になっていたの」

 遥之介・ママも心配そうに眉をひそめた。


 キララが片想いしているマメ柴の小梅ちゃんをみかけなくなって一週間以上になる。

 ここ数日、コートでは汗ばむほど暖かな日があった思えば、夜中に冷え込み、

霙まじりの雨が降る日もあり、天気予報のキャスターは、

「寒暖の差が激しいですから、体調をくずさないように、じゅうぶん気をつけてください」

と繰り返していた。


「小梅ちゃんのパパ、風邪でもひいたかな」

「風邪ならいいけど」

「そうね。もうお年みたいだから」

 私たちは小梅・パパの体調を案じながら、そんな会話をかわしていた。

 

 小梅・パパが公園に現れたのは、それから数日後のことだった。

 傍らに小梅ちゃんの姿はない。

 おまけに愛用の自転車のフレームはひどくひしゃげていた。


「お久しぶり。どうしていらっしゃったのか、みんな心配していたんですよ」

 遥之介・ママが声をかけた。

「あれ? 小梅ちゃんは?」

 私はあたりを見回した。

 小梅・パパは私たちの問いかけには答えず、ゆっくりとした動作で自転車をとめたあと、

静かに口を開いた。


「小梅は亡くなりました」

 そして広場を駆け回っているキララたちに遠い視線を向けた。

「えっ、どうして?」

「あんなに元気そうだったのに」

 ディズニー・ママがベンチから立ち上がり、足の悪い小梅・パパに腰かけるよう促した。

「交通事故でした。ここからの帰り道、交差点を渡りかけたとき、

信号無視の車が突然、猛スピードで突っ込んできたんです。それで……」

 彼は声をつまらせた。

「運転していた男は覚せい剤をやっていて、ほとんど意識がもうろうとしていたと、

あとで警察の人に聞きました」

「ひどい」とディズニー・ママは眉間に皺を寄せた。

「私のケガはたいしたことなかったんですけど、小梅はひどい怪我を負って。

そのまま息をひきとりました。小梅は私を守ろうとしてくれたのかもしれません」


 いつも寡黙な小梅・パパがそんなに話すのははじめてのことだった。

「おとうさん、ご家族は?」

 ディズニー・ママが問いかけた。

 彼女は妊娠してからことに感情の起伏が激しくなっているようで、その瞳は潤んでいた。

「うちは女房と二人暮らしなんです。ただ女房は腰を悪くして今はほとんど寝たきりで」

 小梅・パパはちいさくため息をついた。

「小梅と遊ぶのをとても楽しみにしていてね。

認知症も患っているので、まだ小梅が死んだことが理解できていないようです」

「お子さんはいらっしゃるの?」

 遥之介・ママが訊いた。

「息子と娘が。でも私のケガはたいしたことがなかったので、一度、見舞いに来たきり。

みんなそれぞれ忙しくしているので仕方ありません」

 私たちは彼にかける言葉もなく、しばらく沈黙した。

 

「じゃあ」と小梅・パパが腰を上げようとしたとき、

広場の向こう側にいたキララがこちらに駆け寄ってきた。

 キララは小梅・パパに寄り添っているはずの彼女の存在を確認するように、

彼のまわりを一周し、彼のズボンの匂いを嗅ぎはじめた。

「あ、キララちゃん」

 小梅・パパはわずかに微笑みながらキララに声をかけた。

 キララは小梅ちゃんの痕跡を探し求めるかのように鼻をふがふがさせ、

ズボンにまとわりついて離れない。

「あのときはうちの娘を守ってくれてありがとうな」

『あのとき』とは、もう1年以上前のことになるが、この公園に大型犬のバーニーズがやってきて、

小梅ちゃんにからみはじめたときのこと。

 小梅ちゃんは嫌悪感をむき出しにしてうなり声をあげていたが、

なにしろバーニーズは小梅ちゃんの何倍も体が大きい上、しつこい。

 そのとき、小梅ちゃんからバーニーズの注意を引き離すかのようにキララが

全速力で駆け寄り、野放図なバーニーズに闘いを挑んだのだった。

 
「キララちゃん、元気でな」

 彼はキララの背中をそっと撫ぜた。

 そして「ああ、この感触」とつぶやき、キララの頭を抱きしめた。

 きょとんとした表情を浮かべたキララは、微かにしっぽを振りながら、

小梅パパがその抱擁をとくまで、静かに佇んでいた。

「みっともないところをお見せして、すみません」

 そう詫びて彼は立ち上がった。

「女房に小梅はどこにいるの?と訊かれると辛くてね。

小梅に似た犬をまた飼おうかとも思ったんですが、これから仔犬を飼って、あと十数年、

その子を看取るまで、こっちが元気で満足に世話ができるか」

 言葉を濁した彼は自転車のハンドルに手をかけた。

「今日は、みなさんにお礼を言いたくて来ました。

今まで小梅がお世話になり、ありがとうございました」

 ぎしぎし軋む自転車に乗った小梅・パパの背中はひとまわり小さくなったように見えた。

 

「ペットロスで鬱にならなければいいけど」

 遥之介・ママがつぶやくように言った。

「それ聞いたことある」

 ディズニー・ママが頷いた。

「ペットの死って家族をなくしたのと同じ、っていうか、

淋しさで立ち直れなくなっちゃうんでしょう」

「あまり考えたくないけど。犬の方が人間より寿命が短いから。

私もこの子が今、いなくなっちゃったらどうしようって、ときどき思う」

 遥之介・ママは、最近、ここへ来るようになったミックス犬のアイちゃんと戯れている

遥之介くんに目をやりながら言った。

「だから、そのときのことを考えて、二世をもうけたり、もう一匹仔犬を飼う人が多いのよ」

 

 あらかじめ、そんなふうに心の準備をしていたとしても。

実際に長く連れ添った愛犬を看取るというのは、耐え難いほどの喪失感を伴うものだと聞く。

 しかし、小梅・パパのような高齢者は、その喪失感を埋めるため、新たに仔犬を飼おうと思っても、

自分の年齢と、仔犬の寿命を考えてしまう。

 奔放に跳ね回り、「遊んで」とねだる仔犬に己の体力がついてゆけるのか、

また、その子が天寿を全うするまで、自分の生があるのか。


 不思議そうに小梅・パパを見送っていたキララは、やがてまた広場へと駆け出していった。

 

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