御彼岸ということもあり。
今回は、14年前にお亡くなりになった私の恩人・・
レコーディング・エンジニア大野進さんのお話をさせていただきたく思います
大野さんは私、井上香織のディレクターのみならず、
ミキシングも担当してくださっていました。
最初に紹介された当時、スタッフの方たちから、
大野進氏の経歴に関して、詳しく訊かされてはいなかったのですが。
のちに・・・
1973年 担当した井上陽水さんの『氷の世界』は
日本ではじめてLP売り上げ100万枚を突破
エンジニアとしての技術はもちろんですが、
ハスキーで味のある独特のお声をなさっていたので。
『もーれつア太郎』というアニメに登場するニャロメというネコ(?)の声を
担当なさったこともあったそうです
音楽に関しては厳しくも、とてもおやさしい方でした。
新人のエンジニアさんをはじめスタッフへの心配りはもちろん、
素人の女子大生である私に対しても、いつも穏やかに接してくださいました
井上香織・作詞の『静けさの中で』という曲のレコーディングの際、
音の世界に入り込みすぎて、サビの途中からこみ上げる感情があり、
私はつい涙ぐんでしまったのですが ・・笑・・
狭い歌唱ブースのガラス越しに、
卓の前にいる大野さんに助けを求めふと目をやったところ、
私の異変に気づいた大野さんは、微笑みつつ、大きくうなずいて・・
そのままラストまでオケをとめず、最後まで歌わせてくださいました。
歌い終えたあと。
「・・すみませんでした・・」
指先で涙をぬぐい、苦笑いを浮かべつつ、ブースから出て謝ると、
大野さんは、
「感情がのっていてすごくよかったよ。ちょっとだけ休んでこのまま、もう一回いこうか」
そう言って、紙コップのコーヒーを手渡してくださいました。
プロのシンガーとは決していえない私をいつも精神的に支えてくださっていたのは、
大野さんでした。
そして。。。
感情の起伏により、ムラのある私の歌唱を優れた技術でつないでくださいました
左側・・難しい表情を浮かべ煙草を手にしている方が、大野進さんです
このスタジオ、通称[KRS]
大学から近かったこともあり、
私は午後の講義を抜け出して、レコーディングに通っておりました。
・・・ちょっと長くなりそうなので、
続きは後日、書かせていただきますね・・・