明日元気になれ。―part2

毎日いろいろあるけれど、とりあえずご飯と酒がおいしけりゃ、
明日もなんとかなるんじゃないか?

人生のターニングポイントはもう過ぎた

2010-08-02 18:11:49 | 生活
今日はちょっと時間があるので、最近書きたかったことをいろいろ書こうと思う。

土曜の夜は、プチ同窓会だった。
高校の時、男子バレー部のマネージャーだった私。
スポーツをやりたかったけど、亀のような運動神経でどうしようもなく、
中学のバドミントンでも懲りたので、マネージャーという道を選んだ。

この間、10年ぶりにもう一人のマネージャーと会ったことをきっかけに、
連絡をとれる部員にメールして、集まることになった。

この土曜日はその第一回目。(第二回は別メンバーでまた8月にある)

東京で仕事をしているNと、京都で仕事をしているO。
私たちの合計4人。
高槻で個室がある店を選んで、昔話に花を咲かせた。

不思議なものだなぁ、
私は、もっと若い時、「久しぶりに会って昔話をする」なんてこと、
絶対にやりたくないと思っていた。
それはなんだか年寄りくさくて、ちょっとカッコ悪く思えたからだ。

なのに、なんだろう、この感じ。

「あの時、こうやったやん?」
「あった!あった!そんなこと!」
「え?あの時、そんなこと思ってたん?」

そんなふうに、昔話に相槌を打って、自分も思いつくままに話して、
そうやって、過ぎ去った時間によって隔たれた距離を縮めていくような作業が、
なんだか心地良くて楽しくてたまらなかった。

歳をとるっていうのは、こういうことなんだな・・・と思いながらも、
それは、昔想像していたような、みじめな感じはしなかった。

たぶん、今が幸せだからなんだろう。

もし、不幸だったら、こんなふうに時間を戻していく作業は、
きっと後で私をみじめにしただろうと思うのだ。

Nは独身、Oはうちと同じで夫婦二人、もう一人のマネは3人の子どものお母さん。
それぞれの人生を歩みながらも、こうして共通の昔話で明るくなれることが嬉しかった。

NとOの二人がすっかり酒飲みになっていて、
「酒飲み始めたら、あんまり食べなくなる」と言ってるのに親しみが湧いた。
単なる酒飲みのオッサンやなぁと思いながらも、嬉しくなる。

土曜日で2時間制だったので、その後、別のバーに移動。
バーボンのグラスを傾けて、チーズ。
ビール、日本酒といった後で飲むには一番これがいい。
エズラ、エバン、またエズラ。

「さんちゃん、いつもこういうとこで飲んでるん?」
「さんちゃん、そんな酒飲みやった?」

二人が「さんちゃん」と言うのを聞いて、懐かしくなる。
今はあまり「さんちゃん」と呼ばれることがないからなぁ。
それも、男の人で私をそう呼ぶのはかなり限られていて、
たぶん部員だけだから、ちょっとくすぐったいような心地良さを味わっていた。
(たまに和田さんがふざけて、「おい、さんちゃーん」とツッコむけど)

Nが実家に顔を出さないといけないから帰るというので、
残った3人でまた別のバーに移動。
私のいきつけの店だ。
そこで、ウイスキーをストレートで2杯。

もうとっくに終電はなくなっていたが、みんなタクシーで帰れる距離。
高槻駅前で別れて、京都方面のOと二人相乗りで帰って来た。

「俺、高校のとき、さんちゃんのことちょっと苦手やったわ」とO。
「そうなん?!なんでよ?!」
「なんか怖かった」
「・・・まあ、ちょっと荒れてたしね」

そうなんやなぁ、部員には優しいつもりでいたんやけど。

昔の自分をちょっと不憫に思い出しながら、夜の街を眺める。

蒸し暑い体育館の空気
跳ねるボールの音
飛び散る汗
みんなの掛け声

「あの頃」が戻ってきて、ハッとする。

一生懸命な人たちを、一生懸命に追っていた。
コートの中は、マネージャーには遠かったから。

「また飲みに行こう」「うん、連絡してなー」と、
高校生の部員が、今度は飲み友達になった。

タクシーを降りて、大好きな我が家へと向かいながら、
やっぱり一生懸命やることは悪くないなと思っていた。
ほら、何年も経った後で、こんなご褒美をもらえる。
一生懸命やっていなかったら、たぶん、この「時」も「想い」もない。

最近、この歳になって、いろんなことが自分の中で完結していくのを感じている。
たぶん、人生のターニングポイントはもう過ぎた。
後は折り返しながら、人生を辿っていくのだろう。

でも、不思議なことに、それは思っていたようなみじめな下降ではなくて、
穏やかで、一歩一歩踏みしめられる、
自分を完結に導く、
そういう辿り方だ。

先斗町の路地奥でプチセレブな夜を・・・

2010-08-02 15:56:53 | 美味しいもの
四条河原町から先斗町を上がっていくと、
21番の路地奥に上品な灯りが見える。

「炭火割烹 いふき」

2年前の夏に初めて訪れ、昨年も一度。
そして、先週末が3回目になる。

本当はもっと行きたいけれど、さすがに京都・先斗町。
それも、メイン通りではなく路地奥なので、いいお値段がする。
庶民にはなかなか難しい。

そこで、昨年一年間かけて、私とゆうちゃんといわさきっちは
「美味しいもの積立貯金」をしていたのだ。
毎月2千円。
徴収役のいわさきっちの厳しい取立てのおかげで、なあなあにならず、
一年間で一人24000円がたまった。
今回はこれを使って豪遊しよう!!というわけで、
いろいろ悩んだ末に「いふき」へと。

近年では風情もすっかりなくなってしまった先斗町の路地奥へ一歩入るところから、
もうこの食事会は始まっている。
値段もメニューも何も出ていない戸の前で
「これ、全くの一見やったら入る勇気ないよなぁ」と顔を見合わせる。
ああ、こんなつぶやきも庶民である。

戸を開けると、優しい灯りの中に、白木のカウンター。
そして、その向こうで忙しく働く板前さんたち。
でも、私たちを見ると、笑顔になって、カウンターの席を勧めてくれた。

そう、これがこのお店を好きな理由。
こんな敷居の高そうな店なのに、店員さんがみんな笑顔で感じがいいのだ。
リッツカールトンで食事をした時も思ったけど、
一流の店というのは、接客も一流。
決して堅苦しくなく、びっくりするほど気さくだったりするのだ。

早速飲み物を聞かれ、後でお酒をいただくことにして、とりあえずはビール。
お料理はというと、前に行った時は8400円のコースを頼んでいたのだが、
今回はお金に余裕があるので、「おまかせ」で。

「おまかせでいいです」

これを言う時の快感ときたら・・・!!
プチセレブ気分をいちいち噛み締める私。



↑卵豆腐。ジュンサイや枝豆が夏らしくて上品。京都らしい、優しい味付け。



↑北海道の毛蟹に、鳴門ワカメ。こちらもさっぱりとしていて涼しげ。
器もいいねぇ・・・
備前とはちょっと違う土っぽいけど、焼き締めでお料理の緑が映える。



↑椀物は、鱧、アワビ、新生姜の葛寄せ。
これが3人とも急にざわざわと騒いで興奮し始めたほど、旨い

私はこういう割烹のコースをいただく時には、とにかく「椀物」に重きを置いている。
椀物を食べた時、どれくらい幸せな気分になるかが、全体の評価に繋がっている。
そういう意味でも、これは満点!!
アワビのちょうどいい歯ごたえと旨味。
葛のとろける食感と、生姜の爽やかさ。
そして、鱧と出汁のコンビネーション。
全体的なまとまりもあり、とても上品。
一気に幸せになった。

酒や!
酒持ってきて!



↑お造りは、アコウダイと鱧。
これがまたよかった。
お醤油もあるが、ゴマと塩を小皿に出してくれたので、基本的には塩でいただく。

鱧にべったりと梅肉が付けられていないのも助かった。
いつも鱧を出されると思うのだ、「なんで梅肉?」と。
自分で付ける場合はあまりたくさん付けない。
だって、せっかくの鱧が「梅味」になるやん!!

その点、こちらの鱧は、非常にまろやかで薄味の梅風味のたれが少しかかっている程度で、
これを塩で食べると鱧の甘味がしっかり広がってたまらなかった。



↑鰻の握り寿司。
これがまた!!ヤバイ!!
「最近、海苔に凝ってるんです」と、あぶった海苔が下に。
これを巻いて食べるのだ。
いろいろと試行錯誤した結果、この形になったという。
海苔、鰻、そしてミョウガのハーモニーが絶妙!!
「あと3貫!」といいたくなったほどだ。



↑炭火割烹というだけあって、炭火焼きを得意としているのだが、
この焼き野菜の盛り合わせも素晴らしかった。

こんなふうに盛られると、何から食べるかという順番がとても重要。
ホワイトアスパラ、唐辛子、赤万願寺、コーン、小芋、ズッキーニ、茄子田楽。
どれも美味しかった。
コーンは一度揚げてから焼いているとか。甘味が凝縮されている。
ホワイトアスパラも太くて甘くて、でもさっぱりとしていて美味しかった。

さて、いよいよ魚の焼物。

のどぐろ、金目鯛、鮎、ぐじから選べるという。
鮎はこの夏すでに2回食べていたし、やっぱりここはのどぐろか・・・。
(のどぐろに目がない)
でも、グジも捨てがたいし・・・

悩んでいたら、ゆうちゃんはさっさと鮎に。
いわさきっちものどぐろとグジで悩んでいたので、両方頼んで分けることにした。



↑のどぐろ~



↑鮎~



↑ぐじ~

どれも分けあって食べて美味しかったけど、やっぱりのどぐろやなぁ。
したたるほどに脂が乗っていて、身が柔らかくてほっこりしていて、
口の中に入れた瞬間、思わず目を閉じてしまうほど旨い。
ふと横のゆうちゃんを見たら、ゆうちゃんも目を閉じていた



↑口直しの冷たいトマト

この後、「お肉はどうしますか?」と聞かれたので、もちろん「いただきます!」
普通の女性はこんなに食べないんやろね・・・(こんな店に来る人やし)
「何人分ですか?」と聞かれたので、「3人分です!」



↑そりゃそうやろ~、こんな美味しそうな肉やのに~
部位は、ロースとイチボ。
口の中でとろける!ジューシー!
醤油焼きにしてあって、好みで付け合せの山わさびを付けて。
これならお肉があまり好きでない私も毎日食べたい!!

しかし、料理ももう終わる・・・



↑山芋とワカメの酢の物があって、



↑ご飯があって、



↑水物があって、

全部終了~

ご飯は香の物とちりめん山椒がついていて、
お米自体がおいしくて(土鍋で炊いたらしい)、
普段はシメのご飯があまり欲しくない私だが、もっと食べたいくらいだった。

とはいえ、しっかり3時間、かなりたくさんのお料理をいただいたので、
お腹はもうパンパンだった。

お酒はいわさきっちと分けて4合。
喜楽長、義侠、出雲藤、醸し人九平次。

いわさきっちは1合が限界なので、私が3合飲んでいるのだが……。

大将と女将さんも素敵なんだけど、私は修業中みたいな板前さんがとても好きで。
いつもめっちゃ笑顔。
こちらもつられてしまう。

ゆうちゃんにコソッと「あの人、好きやねん」と耳打ちしたら、
よほど声が大きかったのか、その向こうにいたいわさきっちが「聞こえてるよ」・・・

あかん
板前さんにまで聞こえたかもしれん・・・

お会計はなんと54300円也!
一人18100円・・・

「美味しいもの積立」の封筒からいわさきっちがお金を払ってくれたのでよかったが、
これ、普通にはやっぱり行けないなぁ。
おまかせにしないで予算を言っておけば1万円ちょっとでいけたけど、
やっぱりこの「おまかせ」のプチセレブ感がたまらない。
(こういうことを言うのが庶民・・・)

まあ、積立があったのはもちろんだけど、
そうでなくてもコスパは決して悪くない店だ。

料理の美味しさ、見た目の美しさ、完成度。
日本酒もいいものを数種類置いている。
そして、人の良さ、笑顔、あたたかくて気取らない雰囲気。
白木のカウンターや、1つ1つの器のクオリティ。
何よりも、先斗町の路地奥で、一見さんお断りのような佇まいの店で飲んでいるというシチュエーション。

すべてを総合してのコスパ。

3人ともとても幸せな気分になって店を出た。

満足じゃ!!
ほんまに大満足じゃ!!

積立は6千円になったので、この7月から1000円ずつにして再開。
年末の忘年会で、またちょっこしセレブになれるかな?