明日元気になれ。―part2

毎日いろいろあるけれど、とりあえずご飯と酒がおいしけりゃ、
明日もなんとかなるんじゃないか?

『ゴールデンスランバー』伊坂幸太郎

2008-01-19 04:05:36 | 生活
伊坂幸太郎の『ゴールデンスランバー』を昨日一気に読み終えた。
久しぶりに夢中になって本を読んだ。

彼の作品は全て読んでいるが、
『魔王』『砂漠』あたりから、どうも政治色が強くなってきたなぁと感じてはいたのだが、これはもうまさにその延長であり、集大成といったような作品で。
ただ、『ラッシュライフ』のような奇妙な関係性や、
『チルドレン』のような音楽にのせた爽やかさもあり、
伊坂ワールドがいろいろな形で見え隠れしているのも面白い。

簡単に言えば、大きな組織(←これは最後まで正体がわからない)による首相暗殺の犯人に仕立て上げられた一般市民の青柳さんが、警察から逃げるという物語。
単にそれだけなのだけど、さすがと唸らせられるのは、この構成。
そして、政治批判旺盛なのに、甘酸っぱい学生時代の恋愛を回想させながら話を進めたりして、決して読んでいる人のイデオロギーを刺激しないところ。
物語のほうに引き込んでしまう構成力は、さすがとしか言いようがない。
最近の伊坂作品では、これが一番面白かった。

そういえば、この間、びりけんのマスターに
「昨年読んだ本のベストワンは?」と訊かれたのだけど、
答えたのは佐藤多佳子の『一瞬の風になれ』だった。

ああいう罪のない、今時流行らないくらいの青春小説は、
単純に、読む人を幸せにする。感動させる。

今年のベストワンは何になるだろう?
去年はあまり本を読めなかったけれど、
今年はまたたくさん本を読みたいな。