一般に、樹木は動物のように自力で移動することはできない。同じ場所で一生を過ごすことになる。しかし、人の手で移植されることはある。今回は山科疏水周辺にある松に関する四つの話題を紹介したい。
山科疏水の諸羽児童公園にあるプール前に、奇妙な形をした松が存在する。三重に巻かれて拳状になった松が斜面に沿って伸びている。散策者に聞くと自然説、人工説、病気説など意見が分かれるが、松の病気説が有力である。ご存知の方が居られたら教えてほしい。
ねじれ松 07-05-03 同左 07-05-03
さらに西に進むと安祥寺橋の少し手前に一本の松が折れ曲がったまま疏水の水面に垂れ下がっている。この松はかなり成長しているが、風雨の影響で一度折れたまま成長を続けて今の形になったと想像される。今回根元の部分に赤いテープが巻かれていたが、危険防止のため伐採される目印と考えて写真に収めた。
折れ曲がり松 09-07-25 立ち枯れ松 09-07-25
さらに西進すると、安祥寺舟溜りの北山は松林が多い。一時火災のため松枯れの山となったが再び幼木が育って昔の姿を取り戻している。しかし、緑の中に1本の松が茶色になっていた。これは松枯れ病が原因と推定され、周辺に広がることが心配である。
京都市では「区民の誇りの木」を選定しており、山科区では70件が選定されているが、その中に松は2本しかない。その内の1本は天智天皇御陵の参道の入り口にある赤松である。幹周1.7mある老松は人間でいえば勲章をいただいたようなもので、今後の生育を保障されている。帰りに疏水から降りて老松ご挨拶してから地下鉄・御陵駅に向った。