ちわきの俳句の部屋

メカ音痴おばさんの一念発起のブログです。
人生の後半を俳句にどっぷりと浸かって、…今がある。

今日は〝重陽〟と詠んでもいいの?

2020年09月09日 | 俳句

 一年前の今日のブログが届いていました。それを見ると、台風15号が関東方面を襲った日だったんですね。「昨日の夜は一晩中テレビで台風15号の様子を観ていました。しきりに〝過去最強の台風15号〟とニュースで流すものですから…その名は「ファクサイ」(ラオスがつけた女性の名)なんですけど、そんなことより関東方面の知人や友人たちのことが心配で…」と、書いていました。

 この後また関東方面へ大きな台風が来たんでしたよね。今年は西日本が当たり年のよう…。気をつけなくっちゃ! 先日の台風10号では大きな被害が宇部には出ませんでしたが、潮風だったので木々の緑の葉が殆ど茶色っぽくなりちりちりになっています。これで今年の紅葉はダメですね。残念!以前にも高潮警報が出ている台風ではこんなことがありました。葉のなくなった木々が本当に哀れ。

 昨日も、今日も台風一過の爽やかさはどこにもなくて…蒸し暑い日が続いています。でも、空は確実に秋になっていました。これは昨日のリハビリから帰るときに撮った夕日といわし雲です。

 ところで、今日は9月9日ですよね。陰暦ならば、この日は五節句の一つで、最も重要なものとされていた〝重陽〟(ちょうよう)の節句です。陽の数(奇数)である九が重なることをめでたいとして、古くは菊の節句とも呼んでいました。中国では「登高」と称して、丘など高いところに登り、長寿を祈って菊花を浮かべた菊の酒を飲んだんだそうです。

  菊の香にくらがり登る節句かな       松尾芭蕉

  菊の酒醒めて高きに登りけり        高桑闌更

 日本では、奈良時代より宮中で観菊の宴を催し、菊酒をかわし、臣下に詩歌を作らせました。民間では農事に関連した祝いの行事として、九月の九日、一九日、二九日を「三九日」といい、「みくにち茄子」として茄子を食べる地方もあったんだとか。       

  菊の杯酌み重ねつゝ健康に          高浜年尾

 また、〝温め酒〟は、もともとは寒さに向かう境目頃にあたる重陽の日に、酒を温めて無病息災を祈ったものなんです。

  人肌といふはむづかし温め酒         瀧春一

 しかし、これらの句から見ても分るように、今日のような陽暦9月9日の残暑のまだ厳しい頃の感じではないでしょう。そうなんです。〝重陽〟も〝登高〟も〝菊の酒〟〝温め酒〟も、全て晩秋の季語なんですよ。実は今年の陰暦9月9日は、陽暦10月25日になりますから、その頃なら肌寒さも感じるでしょうし、菊の花も盛りになっていることでしょう。

 というわけで、今日のこのような日をもって、〝重陽〟や〝登高〟などの季語で詠むのは、やはり実感が籠りませんので気をつけたいものです。ほら、もう少し寒さが身に沁むようになったら、きっと〝温め酒〟も美味しいと思いますよ。それまで待ってくださいね!

コメント (9)
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