ちわきの俳句の部屋

メカ音痴おばさんの一念発起のブログです。
人生の後半を俳句にどっぷりと浸かって、…今がある。

〝Nくんのこと、どうしても書きたい!〟つづき(2)で~す。

2019年12月13日 | 俳句

 今日も晴れ時々曇り。でも気温は低そう…最高気温は11度ですって。今朝外を見ると霜が降りていましたから、昨夜はきっと0度以下だったのかも。でも霜が降りた日は天気がいいともいいますから、午後からのフラダンスとリハビリにはアリガタイです。

  霜晴の山々空を拡げけり        茨木和生

 それでは、〝Nくんのこと、どうしても書きたい!〟の最後のページです。どうぞ…

 「あとがき」

 私の中学校の国語の教師は教科書に詩歌が出て来ると必ずクラス全員に暗記させた。そして授業中に一人ひとり立たせて暗誦させた。できないとよく通る声で叱責した。俳句や和歌なら比較的覚えやすいが、次の二つには閉口したものだ。

  「小諸なる古城のほとり」      (島崎藤村)

 小諸なる古城のほとり/ 雲白く遊子悲しむ/ 緑なすはこべは萌えず/ 若草もしくによしなし/ しろがねの衾の岡辺/ 日に溶けて淡雪流る

 これが3段落あるので、6行×3段落=18行 実に18行!

 もう一つ、

  「落葉松」      (北原白秋)

 からまつの林を過ぎて/ からまつをしみじみ見き/ からまつはさびしかりけり/ たびゆくはさびしかりけり

 これが8段落あるので、4行×8段落=32行 もう無理!

 なんというバカバカしいことをさせるのだ、クソ坊主め!と生徒達は陰で罵った。この教師は近村の住職でもあったから

 「本当の教育者とは?」という朝日新聞の著名人へのアンケートが昔あった。

 三原脩は「教育の成果が10年後にあらわれるものを与えてくれる人物だ」と、

 「海軍兵学校の生徒教育の本当の効果は20年後にあらわれる。いいか、20年後だぞ、井上君」と、

 海軍兵学校の校長に就任する井上成美に鈴木貫太郎はこう説いたと。

   ※筆者注(三原脩は野球監督、井上成美と鈴木貫太郎は海軍大将。鈴木は内閣総理大臣にも)

 私の学んだ〇〇中学校の田舎教師は、上記の2者の神髄を与えてくれたのだ。ある貴人が、「読書は、あるときはわたしに根っこを与え、あるときはわたしに翼をくれました」と述べている。私はこの教師のおかげで本の中の詩歌が、「より大きな翼」を与えてくれたように思う。 

 このように締めくくられた「あとがき」を読み終わったときの私の気持ち…私が高校で生徒達にやってきたことは決してムダではなかったんだ!ということでした。私にも彼のような生徒がきっとどこかに一人はいるかも…そう思うととても嬉しくなったんです。

 私も漢文の授業の時は、孟浩然の「春暁」や杜甫の「春望」などは必ず、詩だったら高村光太郎の「道程」は絶対、古文では『徒然草』や『枕草子』、『方丈記』、『奥の細道』などの有名な冒頭の文章を暗記させました。

 高校生ですから当然その当時のカリキュラムにはこういう教材が組み込まれていましたし、また、この頃に覚えたことはきっと年数が経っても忘れないだろうと。すぐに役立つことではないけど、日本語の美しさに気付いてほしい…というより古文のリズムの快さを味わってほしくって、と言った方がいいかもしれません。

 私には、あのかつての武士の子供達が幼い頃から意味も分らないままに〝子曰はく(しのたまわく)…〟と、論語などを学んでいたこと、決してムダではないと思えましたから。彼の場合はまだ中学生のときです。古文調の言い回しや意味が難しかったのかもと思いますが、こうやって何十年後の実りを実証してくれたんですから、きっとその先生は本望だと思っていらっしゃるに違いありません。

 そうそう、冬休みの宿題として「百人一首」を、二年に分けて50首づつ覚えさせ、暗誦テストをしていましたね。喜んで覚える生徒もいましたが、苦手な子はきっと苦痛だったでしょう。陰で「クソばばあ!」と言われていたかも…。でもまだ若かったんですけどね~(笑)

 懐かしいと同時に…それでよかったのかなあと時々思うこともあります。でも卒業生に出会ったとき、必ず〝あれは忘れられんけ~〟と言って、笑い合えますから、私の指導の痕跡を何か一つは残せたのかなとも、これも自己満足でしょうか?

 彼のこの文章を読んで、これはナントしてでも書かなくては!と思ったんですが、とうとう今日になってしまったのです。ゴメンナサイ!

 彼は余り感情を人に見せません。いつも隅の方にひっそりと、静かに笑っています。一年によくて2回、OB会に参加しないときは一度も逢うことはありません。でも、こうして見えない1本の糸が…〝詩歌〟の糸が繋がっていると思えば、本当にアリガタイです。

 〝長崎は今日も雨だった〟でヒットした前川清さん、大好きなんですけど、あの真面目な顔からジョークが…本人はいたって真面目なのかもしれませんが、なぜか大爆笑になりますよね。彼にもそういう面があるんですよ。マジメに(?)言ってるのに人の笑いを誘う…これ、特技かも。あの前川清もイイ男ですけど、彼の方がハンサムかな…。

 ああ、ついでにおまけ…以下の文を読めば、彼の人柄が何となく分かると思います。とにかくイイ男です!

 子供のとき思い込んでしまった解釈…〝赤いくつ はいてた女の子 異人さんにつれられて 行っちゃった〟(野口雨情)

 (歌うときは、異人さんをいーじーさんと伸ばして歌う)…つれられていっちゃたけれど、人さらいのわるいじいさんではなく、きっといいじいさんだったにちがいないよ。

 と、ずうっと解釈していました。私はこのようなしょうもない馬鹿馬鹿しい話が大好きで、それが昂じて「笑いについて」の雑文を書いたことがある。

 写真は、我が家の〝水仙花〟。晩冬の季語なのに、これはもう早々と咲き始めました。きっと日当りのいいところだからでしょうね。

 

コメント (6)
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