うたたね日記

アニヲタ管理人の日常を囁いております。

Go on my way

2022年10月05日 00時00分15秒 | ノベルズ
あの日、もし出会わなかったら―――






あの日、初めて「彼女」に出会った。
研究室に尋ねてきた「彼女」と目が合った瞬間、ZAFTの攻撃が始まったへリオポリス。
避難どころか駆け出していった「彼女」を追いかけていったのが、全ての僕の「運命の始まり」だった。
何で追いかけたんだろう…でも
(―――放っておけない!)
僕の中の本能がそう告げた
そして、その感覚は嘘じゃなかった。
初めての出会い、じゃない。
16年前に僕たちは引き裂かれたとも知らず、運命は急峻な形で「彼女」と再会したんだ。
そして見つけてしまったGシリーズ。

―――「お父様の裏切り者!」

君の絶叫が全てのこの物語の始まりを告げた。
唯一残されたシェルターへ押し込んだ「彼女」とは、もうこれで出会うこともないと思っていたのに
何度別れても、運命は「彼女」と僕を繋げた。砂漠で、あるいはオーブで。
僕が誰にも辛さを分かち合えず、孤独に苦しんでいた時、僕を抱きしめながら

―――「よしよし。大丈夫。大丈夫だから…」

幾度となく「彼女」に心を救われた。何故か「彼女」が傍にいてくれると、心が安らいでいく。
そしてその秘密は、彼女の父から明かされて、初めて知った絆。
僕はこの運命で、何物にも代えられない「血の繋がり」を得たんだ。






あの日、彼女が向かった先にあったGシリーズ。
そこにいたのは負傷した女性と、女性を殺さんばかりにナイフを振り上げた「彼」。
殺させちゃいけない!
何故だろうね。また僕は本能的に彼女を助けるために、「彼」の前に降り立った。

―――「キ…ラ…?」

「彼」の動きが驚愕と共に止まった。
聞き覚えのある声、そしてその顔

―――「アス…ラン…?」

そして、運命は僕たちを弄ぶ。
幼い時、再会を誓って別れたのち、本当に再会できた時は敵だった。
何度も何度も、戦いたくなんてなかったのに。
大好きな親友を傷つけたくなかったのに。
それでも刃を向け合い、遂に命を懸けた戦いになった。
僕も「彼」も傷ついた。身も心も…
だけど僕は再び剣を取った。
自分の意志で。何ができるか分からないけれど、見ているだけじゃ何もしないのと同じ。
だからそのための力を持った僕の前に、再び「彼」は現れた。
敵?…また君は「敵」になるの?
でも「彼」は敵ではなかった。
僕と同じく、道を模索する同士だった。

―――「俺たちは何と戦わなきゃいけなかったんだ!?」
―――「探しに行こう、一緒に。」

「彼」が初めて笑顔を向けた。
手を携えたとき、背中を任せられる頼もしい安心感。
そして僕はこの運命で、改めて何よりも得難い「親友」を取り戻したんだ。






あの日、Gシリーズの中で唯一ZAFTに奪われなかった「ストライク」。
それを必死に守っていた「彼女」。
そして同じ軍服を着た「彼ら」。

―――「ここまで私たちを助けてくれて、ありがとう。」
戦いの中でも優しさを忘れない「彼女」と

―――「ほら、大丈夫か?ゆっくり力を抜け、坊主。」
どんな非情な時でも明るさと強さをくれた頼もしい「彼」と

―――「命令だ。休める時に休め。」
感情を押し殺す発言と行動は厳しかったけど、本当は情が深い「彼女」と

「彼ら」だけじゃなく、影日向に僕を支えてくれた「AAの皆」。
最初はただ命令のままに必死に地球軍本部を目指していたけれど
軍から切り捨てられた「彼ら」は、僕と同じく目指すべき道を探して一緒に踏み出してくれた。
たとえこの後、辛い現実が待ち受けようとしていても…
僕はこの運命で、信頼できる「仲間」を手にしたんだ。






あの日まで、ずっと一緒に学んで来た「彼ら」。
時にケンカもしたし、傷つけあったこともあったけれど
それでもコーディネーターの僕を「仲間」と呼んでくれた。

―――「お前が死んだと思った時、悲しかった。」
彼女のことでぶつかり合いながらも、それでも手助けてくれた「彼」と

―――「これで今度は俺も守るからな!」
明るくて、ムードメーカーで、支援してくれながらも僕が護れなかった「彼」も

―――「今度から私が担当するから♪」
いつも間に入って、僕たちの間を取り持ってくれた「彼女」も

―――「戦うなんて、そんなことは、できるやつがやってくれよ!」
素直に戦いを怖いと言って、自ら退艦を選んだ「彼」も

皆ずっと僕を支えてくれていた。
僕はこの運命で、かけがえのない「友人たち」と繋がりあえたんだ。






あの日まで、ずっと憧れだった人がいた。
美しく、驕慢だけど、そこが眩しい程キラキラと輝いていた「彼女」。
現実の辛さに目をずっと背け続けていた「彼女」。
あの日、手にした「ストライク」で、「彼女」を救ったことで、初めて言葉をかわせた。
でも「彼女」の言葉に、僕が皆と違うコーディネーターだという現実を突きつけられて。
それでも時に「彼女」は優しく僕を包んでくれて…
それはただのかりそめの愛でしかなかった。
嬉しさと羨望と、でも戦いの中で露になった孤独の辛さを埋め合おうとして傷つけて。
救ってあげられないまま光の中で消えた「彼女」

―――「私の思いが、貴方を守るから…」

それでも僕は、守ってあげられなかったよ。
僕はこの運命で、取り戻せない「果てない後悔」を背負ったんだ。







あの日、僕がストライクに、AAに乗らなければ、決して「彼」と出会うことはなかった。
でも、戦火の街で出会ったのは、偶然ではなく「彼」の策略。
陽気で、頼りがいがあって、それでいて戦略家で―――それでも今は「敵」。
「彼」が敵の大将だと知り、それでも憎めなかったのは何故だろう。
それは、多分きっと、「彼」も僕と同じ答えを探していたからだったんだ。

―――「戦争をどこで終わらせたらいい?どうやって決着をつける?」

あの時の言葉が、僕に何度も問いかけて、そして僕が剣を再びとる道を選んだきっかけになった。
そして共に手を取り合い戦うことになるなんて、思いもよらなかったよ。
僕はこの運命で、「思考する術」を覚えたんだ。



あの日、僕が選んだ運命は、のちに「彼」と引き合わせた。
戦わなければ、出会わなければ知らなかった僕の出生の事実。
数多の兄弟の犠牲の上に、唯一成功した「最高のコーディネーター」。
それを僕に教えた「彼」は、僕と正反対の「失敗作」だと言った。
クローン人間でテロメアが極端に短く、長くは生きられない。
人の業のせいで、望まぬ人生を押し付けられた「彼」は成功作だという僕に憎しみをぶつけられた。

―――「これが人の夢!人の業!」

そうせせら笑う「彼」の声は、幾重にも傷つけられたような悲鳴に聞こえた。
人間の欲望の犠牲となった「彼」は、人間の笑顔の裏を押し付けてきた。
僕はこの時、人間の、欲望の、戦争の「真実」を知ったんだ。







もういいよ

苦しい

戦いたくなんてない

息を吸うだけで涙が出る

どうしたらここから逃げられるんだろう

何時になったら解放されるんだろう

僕は


僕は…戦って死ぬしかないのかな…?





でも、この戦いを選んでいなかったら
僕は一生「君」に出会えなかった。
あの日、戦いに身を投じたからこそ、「君」の乗る救命ポッドを回収できて
そして「君」と出会った。
「君」は僕を責めることもなく、でも慰めるでもなく
ただ「どうしたいのか」だけを聞いてくれた。
だから僕は選んだんだ。
戦いを止める術はない。
どうしたら止まるのかもわからない。
でも、何もしないで見ているだけより、した方がいいから。
そうしたら「君」は笑って剣をくれた。
僕が思う未来と、「君」が思う未来は同じ。
やり方が違うだけで。
「思い」は「君」が、「力」は「僕」が。
携えて探して、選んで、つかみ取ろう―――

―――「貴方に会えて、私は幸せになりました。」

そう微笑んで涙してくれる「君」
ただこの美しい存在を守りたいと、初めて心から戦おうと思えた。
こうして僕はこの運命で、生涯「愛する人」と巡り合えたんだ。






「あの日」は僕に運命を選ばせた。

最初はただ翻弄され、押し付けられたものの重さに苦しんだけど

そうじゃない。

振り返れば、皆僕が選んでいた。

そして、これからも僕は選ぶよ。

後悔しないように

そして何よりも

僕らしくあるために




***



「あの日」―――
―――「また新しいガンダム始まるんだってさ」
―――「ふ~ん」
テレビを見て、1話で感じたよ。

(これは、きっと嵌るな)って

第1話からずっとDVDに録画して
毎週何度も見直して
そうしているうちに

もう20年経ったんだね。
まさかこんなに萌え続けるとは思わなかったよ!(笑)
だからあの日「君」に出会ったから
同人活動再開したり
オンラインで、多分人生で出会うこともなかったであろう人たちと出会えて、
何時までも一緒に飽きることなく語り合える仲間を得られたのは
「君」と
「君たち」がいてくれたおかげ。

「生まれて来てくれてありがとう」
そして
「これからも、ずっとよろしく!」


―――20周年おめでとうございます!


※ちなみに「あの日」こと放送開始日は「2002年10月5日」ですが、文中のキラ君の「あの日」は開戦日なので「C.E.71年1月25日」ですから、全くの別日なんですけれど(笑)
それでも感謝を形にしたくって、あえてこうしてみました。

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