昭和少年漂流記

破壊、建設、発展と、大きく揺れ動いた昭和という時代。大きな波の中を漂流した少年たちの、いくつかの物語。

第三章“石ころと流れ星”(短期集中再掲載)   34.不信と不安とゆらめきの〝ディキシー”

2013年02月27日 | 日記
不信と不安とゆらめきの〝ディキシー”   グラスを柳田に掲げて傾けた奈緒子の首筋が赤く染まっている。ダウンライトの光に、赤らんだ横顔もやけに大人びている。奈緒子のグラスの先には、柳田の端正な笑顔がある。奈緒子に送り返す視線が、意味ありげに思えてならない。 目を奈緒子に戻すと、小さく「おかえり~」ともう一度言って、僕のグラスにグラスを重ねてくる。「結構飲んだみたいやねえ。 . . . 本文を読む