昭和少年漂流記

破壊、建設、発展と、大きく揺れ動いた昭和という時代。大きな波の中を漂流した少年たちの、いくつかの物語。

第三章“石ころと流れ星”(短期集中再掲載)   33. そして、ざわめきの始まり

2013年02月19日 | 日記
 そして、ざわめきの始まり 「いつも、手紙ありがとう。ちゃんと学生してるんだね」 腕を組み、黙って数十メートルを歩くと、奈緒子が言った。その笑顔と言葉には気遣いが溢れている。期待外れの気を取り直し、逢えた喜びを大切にしようとしているように見えた。 「うん。十分やないけど…」 自分の独りよがりに、僕は口籠る。 「いいの、いいの。約束は守ってくれてるんだし」 僕の腕 . . . 本文を読む