昭和少年漂流記

破壊、建設、発展と、大きく揺れ動いた昭和という時代。大きな波の中を漂流した少年たちの、いくつかの物語。

第三章“石ころと流れ星”(短期集中再掲載)   32.奈緒子との夜の始まり

2013年02月15日 | 日記
奈緒子との夜の始まり 夏美さんの快諾を得て、奈緒子と過ごす二日間に心配なことはなくなった。よし!と部屋に戻ると、頭の中に一日中あった奈緒子の存在感とは無縁の空間がそこにはあった。奈緒子を受け入れるための最低限の、そして二人で過ごす基本となる環境を僕は用意できていないんだ、と思った。途端に、僕の中にいる奈緒子が消えていきそうな気さえした。 持ち歩いていた奈緒子からのハガキをポケットから取り出し、 . . . 本文を読む